相続の基礎知識(よくある質問)
(最終更新日:2026年8月26日)
相続が開始すると、誰が相続人になるのか、各相続人の法定相続分はどれだけか、遺産を分けるにはどのような手続きが必要かなど、さまざまな問題が生じます。
このページでは、不動産の相続登記やその他の相続手続きを進める際に、知っておきたい相続の基礎知識を、よくある16の質問にお答えする形で解説します。
実際に誰が相続人となるかは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを確認して判断する必要があります。また、遺言書の有無や相続関係によって、必要となる手続きも異なります。
相続登記や遺産分割協議書の作成など、相続手続きについては、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。当事務所へのご相談は完全予約制ですので、「ご相談予約・お問い合わせ」のページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。
相続の基礎知識(よくある質問)【目次】
Q1.被相続人・相続人とは
Q2.相続登記とは
Q3.相続登記はいつまでにする必要があるのか
Q4.誰が法定相続人になるのか
Q5.代襲相続・再代襲とは
Q6.法定相続分はどのように決まるのか
Q7.相続放棄とは
Q8.婚姻していない男女の間の子にも相続権があるのか
Q9.遺産分割協議とは
Q10.遺贈とは
Q11.遺留分とは
Q12.推定相続人の廃除とは
Q13.行方不明の相続人がいる場合はどうするのか
Q14.失踪宣告とは
Q15.寄与分とは
Q16.お墓や遺骨は相続財産に含まれるのか
A1.被相続人・相続人とは
被相続人とは、亡くなって相続される人のことをいいます。民法では「相続は、死亡によって開始する」と定められており、人が亡くなると、その人を被相続人とする相続が開始します。
これに対し、被相続人が有していた財産上の権利や義務を引き継ぐ人を相続人といいます。相続人は、不動産や預貯金などの財産だけでなく、借入金などの債務も原則として引き継ぎます。
ただし、被相続人本人だけに帰属する一身専属の権利や義務は、相続の対象となりません。
誰が相続人となるかは民法で定められています。実際に相続手続きをおこなう際には、戸籍謄本などによって相続人を確認します。
A2.相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、その不動産について相続を原因とする所有権移転登記をすることです。土地や建物、マンションなどの「相続による名義変更」と呼ばれることもあります。
不動産の所有者が亡くなっても、法務局の登記記録に記載されている所有者の住所や氏名が、自動的に相続人へ変更されるわけではありません。被相続人から相続人への所有権の移転を登記記録に反映させるためには、法務局へ相続登記を申請する必要があります。
なお、不動産の「名義変更」には、相続のほかにも、売買、贈与、遺贈などによる所有権移転登記があります。また、所有者本人の住所や氏名が変わった場合にする、登記名義人住所・氏名変更登記は、相続登記とは別の登記です。
A3.相続登記はいつまでにする必要があるのか
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
令和6年4月1日より前に開始した相続についても、相続登記の申請義務化の対象となります。施行日前から相続の開始と不動産の取得を知っていた場合には、令和9年(2027年)3月31日までに相続登記を申請する必要があります。
また、遺産分割協議が成立し、その協議によって不動産を取得した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由がないのに期限までに相続登記を申請しなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割協議が成立しないなどの理由により、期限内に通常の相続登記をすることが難しい場合には、相続人申告登記の申出によって申請義務を履行する方法もあります。ただし、相続人申告登記は、不動産の所有者や持分を確定する通常の相続登記とは異なります。
A4.誰が法定相続人になるのか
誰が法定相続人となるかは、民法によって定められています。
被相続人に法律上の配偶者がいる場合、その配偶者は、次の順位により相続人となる人とともに相続人となります。婚姻届を提出していない内縁関係の配偶者は、法定相続人にはなりません。
第1順位 被相続人の子
第2順位 被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
被相続人に子がいる場合には、子が相続人となり、直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。子がいない場合には直系尊属が相続人となり、子も直系尊属もいない場合には兄弟姉妹が相続人となります。
直系尊属が相続人となる場合には、親等の近い人が優先します。たとえば、父母のいずれかが存命であれば、祖父母が同時に相続人となることはありません。
また、被相続人の子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合などには、代襲相続が生じることがあります。
A5.代襲相続・再代襲とは
代襲相続とは、本来であれば相続人となるはずだった被相続人の子または兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡している場合などに、その人の子が代わって相続人となる制度です。
たとえば、被相続人の子が相続開始前に死亡している場合、その死亡した子に子がいれば、被相続人の孫が代襲相続人となります。
代襲相続人となる孫も被相続人より先に死亡している場合、その孫に子がいれば、ひ孫が再代襲します。被相続人の子の系統では、代襲相続がさらに続くことがあります。
これに対し、兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲相続は、その兄弟姉妹の子である甥・姪までです。甥・姪の子への再代襲はありません。
代襲相続は、相続人となるはずだった人が相続開始前に死亡した場合のほか、相続欠格に該当した場合や、推定相続人の廃除を受けた場合にも生じます。ただし、相続放棄は代襲相続の原因にならないため、相続放棄をした人の子が代わって相続人になることはありません。
A6.法定相続分はどのように決まるのか
法定相続分とは、民法によって定められている各相続人の相続割合です。
配偶者と、子、直系尊属または兄弟姉妹が共同で相続人となる場合の法定相続分は、次のとおりです。
各相続人の相続分
| 相続人 | 相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者が2分の1、子が2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1 |
同じ順位の相続人が複数いる場合には、その相続分を人数に応じて分けます。
たとえば、配偶者と2人の子が相続人である場合には、配偶者の法定相続分が2分の1、子の法定相続分がそれぞれ4分の1となります。
兄弟姉妹が相続人となる場合、被相続人と父母の一方だけが同じ兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の法定相続分の2分の1です。
なお、法定相続分は、遺言書がない場合や遺産分割協議をする際の基準となる割合です。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることもできます。
A7.相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産や債務を一切引き継がないために行う手続きです。
相続放棄をするためには、家庭裁判所へ相続放棄の申述をしなければなりません。相続放棄の申述が受理されると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。
相続放棄をすると、財産と債務のいずれも相続しないことになります。預貯金や不動産などの財産を相続する一方で、借入金などの債務だけを放棄することはできません。
相続放棄は、原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内にしなければなりません。
相続人間の話し合いによって遺産を取得しないことにしたり、取得する遺産をゼロとする遺産分割協議書に署名押印したりしても、法律上の相続放棄をしたことにはなりません。この場合、債権者との関係では、被相続人の債務を法定相続分に応じて負担することがあります。
また、相続放棄をする前に相続財産を処分した場合などには、相続を単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。相続放棄を検討しているときは、被相続人の預貯金や不動産などを処分しないよう注意が必要です。
先順位の相続人全員が相続放棄をすると、後順位の人が新たに相続人となることがあります。たとえば、相続人となる子の全員が相続放棄した場合、被相続人の直系尊属が存命であれば、その直系尊属が新たに相続人となります。直系尊属もいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
ただし、相続放棄は代襲相続の原因にならないため、相続放棄をした人の子が、その人に代わって相続人になることはありません。
なお、3か月の期間は、必ずしも被相続人が死亡した日から始まるとは限りません。死亡から3か月以上が経過している場合でも、事情によっては相続放棄の申述が受理される可能性があるため、できるだけ早く司法書士へ相談することをおすすめします。
A8.婚姻していない男女の間の子にも相続権があるのか
婚姻していない男女の間に生まれた子も、法律上の親子関係があれば相続人となります。
母と子の法律上の親子関係は、原則として出産によって生じます。これに対し、婚姻していない男女の間に生まれた子と父との間に法律上の親子関係が生じるためには、父による認知などが必要です。
父が子を認知していれば、その子は父の相続人となります。父母が婚姻しているかどうかによって、子の法定相続分が異なることはありません。
相続登記などの相続手続きをする際には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集し、認知した子を含めて相続人の範囲を確認します。
なお、認知の記載は、転籍や戸籍の改製などによって作られた新しい戸籍には移記されないことがあります。そのため、現在の戸籍だけでなく、転籍前の戸籍や改製原戸籍なども確認する必要があります。
A9.遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、被相続人の遺産を誰がどのように取得するかについて、相続人全員で話し合うことです。
遺産分割協議が成立するためには、相続人全員が同じ内容に合意しなければなりません。相続人の一部を除外しておこなった遺産分割協議は無効です。
ただし、相続人全員が一堂に会して話し合う必要はありません。相続人のうちの1人が各相続人の意向を確認しながら話を取りまとめたり、電話、メール、郵便などによって合意したりする方法でも差し支えありません。
遺産分割協議の結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。相続登記などに使用する遺産分割協議書には、相続人全員が署名して実印を押印し、それぞれの印鑑証明書を添付します。
なお、遺言書により遺産の取得者が定められている場合、相続人が1人の場合、法定相続分どおりに相続登記をする場合などには、遺産分割協議書が不要となることがあります。
相続人全員による話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停の申立てをすることができます。
A10.遺贈とは
遺贈とは、遺言によって財産を特定の人や法人などに与えることをいいます。
遺贈を利用すれば、法定相続人ではない人に財産を引き継がせることができます。たとえば、婚姻届を提出していない内縁関係の配偶者は法定相続人にならないため、財産を残したい場合には、遺言書を作成して遺贈する方法を検討します。
遺贈には、特定の不動産や預貯金などを与える特定遺贈と、遺産の全部または一定割合を与える包括遺贈があります。
ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分があるため、特定の人へすべての財産を遺贈すると、相続開始後に遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
また、不動産を遺贈する場合には、遺言執行者の有無や遺言書の内容によって登記手続きが異なります。遺贈を希望する場合には、遺言書を作成する段階で司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
A11.遺留分とは
遺留分とは、一定の法定相続人について、最低限確保されている遺産の取り分です。
遺留分を有するのは、被相続人の配偶者、子またはその代襲相続人、直系尊属です。被相続人の兄弟姉妹や甥・姪には遺留分がありません。
遺留分全体の割合は、直系尊属のみが相続人である場合には遺産の3分の1、それ以外の場合には遺産の2分の1です。遺留分権利者が複数いる場合には、この遺留分全体の割合に各人の法定相続分を掛けて、それぞれの遺留分を計算します。
遺言や生前贈与によって遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は、遺贈や贈与を受けた人に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求できます。これを遺留分侵害額請求といいます。
遺留分が侵害されていても、自動的に金銭が支払われるわけではありません。遺留分権利者から請求する必要があります。
遺留分侵害額請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。また、相続開始から10年を経過したときも行使できなくなります。
A12.推定相続人の廃除とは
推定相続人とは、現時点で相続が開始した場合に相続人となる人のことです。
推定相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人に一定の事情がある場合に、家庭裁判所の審判によって、その人の相続権を失わせる制度です。
廃除が認められるのは、推定相続人が被相続人を虐待した場合、重大な侮辱を加えた場合、その他の著しい非行があった場合です。
推定相続人の廃除は強い効果を生じさせるため、家庭裁判所へ申立てをすれば簡単に認められるものではありません。被相続人との家族関係を破壊し、その修復が著しく困難となるほどの事情があるかなどが審理されます。
被相続人は、生前に家庭裁判所へ廃除を請求することができます。また、遺言によって廃除の意思を表示した場合には、相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所へ廃除を請求します。
廃除された人は相続権と遺留分を失います。ただし、被相続人の子が廃除された場合、その子に子がいれば、被相続人の孫が代襲相続人となることがあります。
A13.行方不明の相続人がいる場合はどうするのか
遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。相続人の中に連絡が取れない人がいても、その人を除外して遺産分割協議をすることはできません。
まずは、戸籍の附票や住民票などによって、その相続人の現在の住所を調査します。単に他の相続人が現在の住所や連絡先を知らないというだけで、直ちに法律上の不在者となるわけではありません。
住所を調査しても所在が分からず、従来の住所または居所を去って容易に戻る見込みがない場合には、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。
不在者財産管理人の権限は、不在者の財産の管理や保存が原則です。不在者に代わって遺産分割協議をするためには、家庭裁判所から権限外行為の許可を受ける必要があります。
家庭裁判所の許可を受けるためには、不在者の法定相続分を確保するなど、不在者に不利益とならない内容の遺産分割であることが原則として求められます。
A14.失踪宣告とは
失踪宣告とは、生死が一定期間にわたって不明である人について、家庭裁判所の審判により法律上死亡したものとみなす制度です。
不在者の生死が7年間明らかでない場合には、利害関係人が家庭裁判所へ普通失踪の申立てをすることができます。失踪宣告が確定すると、その7年間が満了した時に死亡したものとみなされます。
戦争、船舶の沈没、震災その他の死亡の原因となる危難に遭遇した人について、その危難が去った後1年間生死が明らかでない場合には、危難失踪の申立てをすることができます。この場合には、その危難が去った時に死亡したものとみなされます。
失踪宣告によって法律上死亡したものとみなされると、その人について相続が開始します。
ただし、単に住所や連絡先が分からないというだけで失踪宣告を申し立てることはできません。また、後になって本人の生存が判明した場合には失踪宣告の取消しが必要となり、財産関係が複雑になることがあります。
A15.寄与分とは
寄与分とは、被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献をした相続人について、その貢献を考慮して取得する遺産を増やす制度です。
寄与分が認められる可能性があるのは、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、療養看護などによって、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合です。
親族として通常期待される扶養や介護をしただけで、当然に寄与分が認められるわけではありません。扶養義務の範囲を超えた特別の貢献があり、その貢献によって被相続人の財産が維持または増加したことが必要です。
寄与分の有無や金額は、まず相続人全員の協議によって決めます。協議がまとまらない場合には、遺産分割調停や審判の中で家庭裁判所に判断を求めることができます。
なお、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割では、原則として、寄与分や特別受益を考慮した具体的相続分を主張することができません。
また、相続人ではない親族が、無償で被相続人の療養看護などをおこない、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合には、相続人に対して特別寄与料を請求できることがあります。これは、相続人に認められる寄与分とは別の制度です。
A16.お墓や遺骨は相続財産に含まれるのか
お墓や仏壇などの祭祀財産は、通常の相続財産には含まれません。
祭祀財産とは、家系図などの系譜、位牌や仏壇などの祭具、墓碑や墓地の使用権などの墳墓をいいます。これらは法定相続分に従って共同相続されるのではなく、祖先の祭祀を主宰する人が承継します。
祭祀財産を承継する人は、被相続人による指定があれば、その指定に従います。指定がない場合には地域や家族の慣習に従い、慣習も明らかでない場合には家庭裁判所が定めます。
遺骨についても、法定相続分に従って相続人が分けて取得するものではなく、通常は祭祀を主宰する人が管理し、供養することになります。
祭祀財産の承継は通常の相続とは別に取り扱われるため、相続放棄をした人が祭祀財産を承継することもできます。
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