お墓、遺骨は相続財産に含まれるか(祭祀財産の所有権) | 松戸の高島司法書士事務所

お墓(墓地、墓石)は相続財産(遺産)に含まれません。お墓などの祭祀財産は、相続とは関係なく祭祀を主宰すべき者が承継するものとされています。

お墓(墓地、墓石)、遺骨は相続財産に含まれるか

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お墓(墓地、墓石)、遺骨は相続財産に含まれるか

(最終更新日:2025年10月31日)

お墓(墓地、墓石)は相続財産(遺産)に含まれません
これらは「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれ、一般の相続とは別に、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するものとされています。

祭祀財産とは

祭祀財産とは、祖先を祭るために使用される物の総称であり、具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 家系図(系譜)
  • 位牌
  • 仏壇
  • 墓碑・墓石
  • 墓地 など

これらの財産は「相続財産」に該当しないため、被相続人の指定により、法定相続人以外の者(たとえば内縁の配偶者など)が承継することも可能です。
また、相続放棄をした場合でも、祭祀財産の承継には影響しません

1.祭祀財産の所有権は誰に帰属するのか

お墓や位牌、仏壇などの祭祀財産を誰が引き継ぐかについては、民法第897条に規定があります。

(相続の一般的効力)

民法第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

(祭祀に関する権利の承継)

民法第897条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

民法第896条によれば、原則として相続人は被相続人のすべての財産上の権利義務を承継します。
しかし、第897条はその例外として、系譜・祭具・墳墓(これらを総称して「祭祀財産」)は慣習または被相続人の指定に基づいて承継されると定めています。

したがって、これらの祭祀財産は遺産分割の対象にはならず、相続人間で分け合うものではありません
祖先の祭祀を主宰すべき者、すなわち「祭祀承継者」が単独で承継します。

2.祖先の祭祀を主宰すべき者(祭祀承継者)とは

祭祀承継者が誰になるかは、原則として慣習によって定まります。
ただし、被相続人が特定の者を指定している場合には、その指定された者が祭祀承継者となります。

被相続人による祭祀承継者の指定方法には特に制限はなく、遺言による指定も可能です。
また、書面によらず、口頭での指定であっても有効とされています。


家庭裁判所による指定

被相続人が祭祀承継者を指定しておらず、かつ慣習が明らかでない場合で、利害関係人の間に争いが生じたときには、家庭裁判所が祭祀承継者を定めます。
この場合、手続きとしては「祭祀財産承継者指定の調停申立」を行うことになります。


祭祀承継者と相続人の関係

祭祀財産は相続財産(遺産)ではありません。
したがって、祭祀承継者が相続人であるかどうかは関係ありません

そのため、被相続人が明確に指定していれば、法定相続人でない内縁の配偶者などが祭祀承継者となることも可能です。
また、相続放棄をした人であっても、祭祀承継者になることに問題はありません

3.祭祀財産の範囲

(1) 遺骨について

遺骨は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者に帰属するとされています(最高裁平成元年7月18日判決)。
この判例により、遺骨も祭祀財産の一部として扱われることが明確にされています。

もっとも、人が他人の「所有物」となることはありません。そのため、遺骨が所有権の対象となるのか疑問となりますが、遺骨について、埋葬・管理・祭祀・供養の範囲で所有権の客体となると判断されている裁判例があります。

(2) 墓地について

墳墓(墓石)だけでなく、墓地も祭祀財産に含まれます。ただし、墳墓と社会通念上一体の物ととらえてよい程度に密接不可分の関係にある範囲の墳墓の敷地である墓地に限られます。

参考:広島高等裁判所 平成12年8月25日 判決

民法897条1項は、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、・・・祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。」と規定しているところ、墓地が墳墓として祭祀財産となるか否かが問題となる。墳墓は、遺骸や遺骨を葬っている設備である、いわゆる墓石等をいい、墓地は、その墳墓を所有するための敷地であるので、墳墓と墓地とは、一応、別の客体ということができる。

しかしながら、墳墓が墳墓として遺骨などを葬る本来の機能を発揮することができるのは、墳墓の敷地である墓地が存在することによるのであって、墳墓がその敷地である墓地から独立して墳墓のみで、その本来の機能を果たすことができないことを考慮すると、社会通念上一体の物ととらえてよい程度に密接不可分の関係にある範囲の墳墓の敷地である墓地は、墳墓に含まれると解するのが相当である。

したがって、墳墓と社会通念上一体の物ととらえてよい程度に密接不可分の関係にある範囲の墳墓の敷地である墓地は、民法897条に規定する墳墓として祭祀財産と解される。

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