相続放棄申述の必要書類
司法書士に相続放棄申述の手続を依頼すれば、家庭裁判所に提出する相続放棄申述書の作成の他、申立添付書類としての戸籍謄本、住民票除票などの取得も全ておまかせいただけます。
よって、ご依頼者様には、司法書士が作成した書類に署名押印していただくだけなのが通常であり、とくに必要書類の詳細を知る必要は無いのですが、ご参考のために解説します。
ここで解説しているのは、相続放棄申述する際に最低限必要な書類です。申立をする裁判所によって、必要書類が異なる場合があるので、事前にご確認ください。
1.相続放棄申述で、全てに共通する必要書類等
- 相続放棄の申述書
- 被相続人の住民票除票、または戸籍附票
- 申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本
- 収入印紙 800円分
- 郵便切手 82円×4枚、10円×8枚(東京家庭裁判所の場合)
2.申述人と被相続人の関係に応じた必要書類
上記書類の他に、申述人と被相続人の関係に応じて、次の書類が必要となります。
2-1.申述人が、被相続人の配偶者(妻、夫)の場合
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
申述人が被相続人の配偶者の場合、申述人の戸籍謄本と、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本等は同一のものであることが通常でしょう。このときは、双方を兼ねた戸籍謄本が1通あれば良いことになります。
2-2.申述人が、被相続人の子、またはその代襲者(孫、ひ孫等)の場合
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 申述人が代襲相続人の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった子(または兄弟姉妹)が、相続の開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときに、その子(または相続人になるはずであった兄弟姉妹の子)が代わって相続することです。くわしくは、代襲相続のページをご覧ください。
2-3.申述人が、被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)の場合
- 被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 被相続人の子(または、その代襲者)で亡くなっている方がいる場合、その子(または、その代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 被相続人の直系尊属に亡くなっている方がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)(注1)
(注1について)
直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本等が必要になるのは、相続人より下の代の直系尊属が亡くなっている場合に限ります。たとえば、祖母が申述人(相続人)となる場合、祖母より下の代である、父母の死亡の記載のある戸籍謄本等が必要です。祖母が相続人となるのは、下の代である父母がいずれも死亡している場合に限られるからです。
2-4.申述人が、被相続人の兄弟姉妹、またはその代襲者(甥、姪)の場合
- 被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 被相続人の子(または、その代襲者)で亡くなっている方がいる場合、その子(または、その代襲者)の出生から死亡に至るまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)
- 申述人が代襲相続人(甥、姪)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲相続人)であるのは、第一順位相続人である子(または、その代襲相続人)、第二順位相続人である直系尊属がいない(または、相続放棄している)場合に限られます。そこで、申述人が被相続人の相続人であることを証明するために上記の戸籍謄本等が必要となるのです。
相続放棄申述の必要種類についての補足など
- 戸籍謄本等が同一の場合は1通を提出すれば足ります。たとえば、被相続人と申述人が夫婦であれば、「被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本等」と、「申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本」は同一のものとなるのが通常です。この場合、1通を提出すればよいのです。
- 同一の被相続人についての「相続の承認・放棄の期間伸長事件」、または「相続放棄申述受理事件」が先行している場合,その事件で提出済みのものは不要です。
- 相続が開始(被相続人が死亡)してから3ヶ月が経過した後の相続放棄申述では、「熟慮期間の起算点」や「3ヶ月以内に相続放棄しなかった特別な事情」についての上申書(事情説明書)、資料(債権者からの督促状の写しなど)も提出します。上申書の作成についても司法書士にお任せください。
- 相続放棄申述が受理されたことの証明書(相続放棄申述受理証明書)が必要な場合、別途、交付申請をすることになります。その際、1通につき150円の収入印紙と、郵送の場合には返信用の切手も、申請書とあわせて提出します。相続放棄申述受理証明書は、不動産の相続登記の際などにも必要となります。
- 相続放棄できる期間(3ヶ月の熟慮期間の起算点)
- 3ヶ月経過後の相続放棄(特別な事情がある場合)
- 相続人が未成年の場合(特別代理人選任の要否)
- 相続放棄申述をしているか不明な場合
- 相続放棄申述受理証明書の交付を受けるには?
- 相続放棄申述受理通知書は相続登記の添付書類となる?
- 相続放棄申述の撤回、取消は出来る?
- 3ヶ月以内に放棄、承認の選択が出来ない場合
- 一部の相続人が相続放棄した場合の、債務の取り扱い
- 相続放棄しても生命保険の死亡保険金を受け取れる?
- 相続人が相続放棄する前に死亡したとき(再転相続)
- 遺贈の放棄はどうすればよいのか?
- 相続放棄が出来なくなる場合とは?(法定単純承認事由)
- 1人に相続分を集中させるための相続放棄はできる?
- 遺産分割協議が成立した後に、相続放棄はできる?
- 被相続人の生前に相続放棄できる?
- 相続分の譲渡と相続放棄の違いは?
- 相続放棄する際の必要書類の集め方
- 先順位相続人が相続放棄した場合(代襲相続する?)
- 相続放棄は自分で出来る?
- 相続放棄しても未支給年金は受け取れる?
- 相続放棄しても遺族年金は受け取れる?
- 兄弟姉妹の相続放棄(手続き、必要書類)
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