1人に相続分を集中させるための相続放棄はできる?
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相続人の1人に相続分を集中させるための相続放棄
(最終更新日:2025年12月18日)
1.相続放棄の理由について
2.相続分集中のための相続放棄と遺産分割協議の違い
3.後順位の相続人がいる場合に注意
1.相続放棄の理由について
相続放棄は、被相続人(亡くなった方)が借金を抱えたまま死亡した場合に、その債務を引き継がないために利用されることが多い手続きです。
しかし、必ずしも債務がある場合にのみ相続放棄をするわけではありません。たとえば、裁判所の「相続の放棄の申述」のページに掲載されている「相続放棄申述書」の書式には、「放棄の理由」として次の6つが記載されています。
- 被相続人から生前に贈与を受けている。
- 生活が安定している。
- 遺産が少ない。
- 遺産を分散させたくない。
- 債務超過のため。
- その他
相続放棄をする理由は、上記の選択肢に限られるものではありません。また、上記のいずれかを選択すれば、相続放棄の申述が必ず受理されるという意味でもありません。それでも、債務超過以外の理由で相続放棄をすることがある点は、ご理解いただけると思います。
2.相続分集中のための相続放棄と遺産分割協議の違い
上記のとおり、相続放棄は必ずしも、被相続人の債務を引き継がないためだけに利用される手続きではありません。
相続人中の1人に相続分を集中させるために、他の相続人が相続放棄をすることもできます。典型的な例としては、被相続人である父が営んでいた事業を子の1人が引き継ぐために、他の相続人が相続放棄する場合です。
相続放棄した人は、最初から相続人でなかったものとみなされます。したがって、上記の例でいえば、唯一の相続人となった子がすべての財産を相続することになるわけです。
ただし、相続放棄の手続きをしなくても、次のような方法により財産を1人の相続人に集中させることも考えられます。
- 遺産分割協議により、相続人中の1人がすべての財産を相続するものとする。
- 相続人中の1人に、他の相続人が自己の相続分をすべて譲渡する。
このような方法によっても、不動産やその他の財産の名義変更をすることは可能であり、相続分を集中させるという目的を達成することができますが、被相続人に債務(マイナスの財産)がある場合には話が別です。
被相続人の債務は、法定相続人に対して、その相続分に応じて引き継がれます。相続人間で、1人の相続人がすべての債務を相続するとの遺産分割協議を成立させたとしても、それをもって債権者に対抗することはできません。債権者の同意を得ることができなければ、相続人の間だけでの取り決めに過ぎないのです。
相続人中の1人がすべてを相続するという場合、債務(借金)も含めたすべてを承継すると考えるのが通常でしょう。そのため、債権および債務のすべてを含めた一切の遺産を相続しないものとするには、家庭裁判所での相続放棄の手続きをすることが必要となります。
なお、遺産分割協議を行うことは、相続の法定単純承認事由に該当します。したがって、遺産分割協議をした後に相続放棄をすることはできないのが原則です。
3.後順位の相続人がいる場合に注意
ここまでご説明してきたのは、被相続人の子のうちの1人に相続分を集中させる場合についてですが、子の全員が相続放棄をした場合には、後順位者が相続人になることがあるため注意が必要です。
たとえば、被相続人の配偶者に全財産を相続させようとして、子の全員が相続放棄をしたとします。この場合、被相続人に兄弟姉妹(または、その代襲相続人)がいれば、その者が後順位の相続人となります。
つまり、配偶者に全財産を相続させるつもりであったにもかかわらず、被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲相続人)が新たに相続人となってしまい、子たちが望んでいた結果とはまったく異なる事態になる可能性があるのです。
したがって、被相続人に配偶者と子がいる場合に、配偶者に全財産を相続させたいのであれば、相続放棄ではなく遺産分割協議によるべきです。相続放棄を検討する際には、後順位相続人の有無について、必ず慎重に検討する必要があります。
相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)
相続放棄の申述受理申立は、相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所へおこないます(相続放棄をする方が住んでいる場所ではありません)。
たとえば、相続開始地が千葉県松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市の場合には千葉家庭裁判所松戸支部、市川市、船橋市なら千葉家庭裁判所市川出張所、東京23区内であれば東京家庭裁判所(霞ヶ関)です。
ただし、家庭裁判所への相続放棄申述受理の申立ては郵送によりおこなうこともできます。当事務所では、多数の相続放棄を取扱い豊富な経験と実績がありますから、郵送による手続きでも全く問題ありません。
したがって、全国どこの裁判所への申立であっても、松戸の高島司法書士事務所へご依頼いただくことが可能ですし、遠方だからといって追加費用がかかることもありません(ただし、ご依頼いただく際には、面談によるご相談が原則として必要です)。
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