遺産分割協議の手続きと流れ
(最終更新日:2026年8月20日)
相続人が2名以上いる場合に、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことを「遺産分割協議」といいます。
松戸の高島司法書士事務所では、2002年の事務所開業以来20年以上にわたり、遺産分割協議など、相続に関する手続きのご相談を多数いただいてまいりました。
遺産分割協議書の作成、相続登記、その他の相続手続きのことなら、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)にご相談ください。
遺産分割協議の手続きと流れ(目次)
1.遺産分割協議とは
2-1.相続人の範囲の確定
2-2.相続分の確定
2-3.遺産の内容(範囲・評価額)の確定
2-4.特別受益・寄与分
2-6.遺産分割協議書の作成
2-7.相続財産の名義変更・登記手続など
1.遺産分割協議とは
被相続人が遺言により遺産の分け方を指定していた場合には、原則として、その遺言の内容に従って遺産を承継することになります。
遺言書がなく、相続人が2名以上いるときには、相続人全員の話し合いにより遺産の分け方を決定します。この遺産の分け方についての話し合いを、遺産分割協議といいます。
それぞれの相続人は、遺産に対して法定相続分に応じた権利を持ちますが、遺産分割協議では、相続人全員が合意するのであれば、どのように遺産を分けても構いません。
法定相続分と異なる割合で遺産を相続することも、相続人のうち1人が遺産のすべてを相続することもできます。実際に、被相続人の配偶者が遺産のすべてを相続するケースも多くあります。
また、具体的な相続分を算定する際に考慮されるものとして、寄与分と特別受益があります。協議による遺産分割ができないときには、家庭裁判所へ遺産分割調停または審判を申し立てることができます。
2.遺産分割協議の手続きと流れ
このページでは、遺産分割協議が成立するまでの流れについて、順を追って解説しています。相続人全員の間で、誰がどの遺産を取得するかがすでに決まっているのであれば、遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更や銀行預金の払い戻しなどの相続手続きを進めることになります。
どのように遺産分割の話し合いや手続きを進めたらよいか分からない場合には、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。ご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧のうえ、事前にご連絡くださいますようお願いいたします。
2-1.相続人の範囲の確定
遺産分割協議は、相続人全員でおこなう必要があります。たとえば、被相続人が再婚しており、前妻(前夫)との間に子がいれば、その子も相続人となります。また、婚外子であっても、被相続人が認知していれば相続人となります。
そこで、被相続人の子をすべて明らかにするため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本等を取得する必要があります。そのほか、代襲相続が生じている場合や、兄弟姉妹が相続人となる場合などには、非常に多くの戸籍謄本等を取得しなければならないこともあります。
司法書士に不動産の相続登記や、家庭裁判所へ提出する書類の作成をご依頼いただいた場合には、その手続きに必要な戸籍謄本等の取得もおまかせいただけます。また、住所や連絡先が分からない相続人がいる場合には、相続手続きに必要な範囲で戸籍の附票などを取得し、その住所を確認できることがあります。
相続人の範囲の確定でお困りのときは、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)にご相談ください。
(参考)誰が法定相続人となるのか
2-2.相続分の確定
相続人が2名以上いる場合には、民法により各相続人の法定相続分が定められています。相続人が配偶者のみであるときは、配偶者が相続財産のすべてを取得します。子(または直系尊属、兄弟姉妹)のみが相続人である場合も同様です。
配偶者と、子(または直系尊属、兄弟姉妹)がともに相続人となる場合の法定相続分は、次のとおりです。
| 法定相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者が2分の1、子全体で2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者が3分の2、直系尊属全体で3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者が4分の3、兄弟姉妹全体で4分の1 |
同順位の子(または直系尊属、兄弟姉妹)が2人以上いるときは、それぞれの法定相続分は同じです。たとえば、配偶者と子2人が法定相続人である場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつとなります。
ただし、被相続人の兄弟姉妹が相続人である場合、被相続人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の半分とされています。
子や兄弟姉妹の代襲者が相続人となる場合、代襲相続人は被代襲者の相続分を引き継ぎます。たとえば、相続分が2分の1である被代襲者に2人の子がいた場合、それぞれの相続分は遺産全体の4分の1ずつとなります。
2-3.遺産の内容(範囲・評価額)の確定
遺産分割の対象となるのは、原則として、相続開始時に存在し、かつ、遺産分割時にも存在する未分割の遺産です。具体的には、次のような財産が対象となります。遺産分割の基準となる評価額は、一般に、遺産分割時の価額を基準とします。
ア)不動産
イ)不動産の賃借権
ウ)預貯金
エ)現金
オ)株式、国債、社債、投資信託など
カ)著作権、特許権、商標権など
キ)動産(貴金属、着物、家財道具など)
預貯金は、原則として遺産分割の対象となります。そのため、相続人全員による遺産分割協議によって、誰がどの預貯金を取得するかを決定することになります。
金銭債務(借金、保証債務など)は、原則として遺産分割の対象とはならず、各相続人が法定相続分に応じて引き継ぎます。相続人間の合意により、誰が債務を負担するかを決めて遺産分割協議書に記載することは可能ですが、債権者の同意がない限り、その合意によって他の相続人が債務の負担を免れることはできません。
2-4.特別受益・寄与分
各相続人の具体的な相続分を算定する際に考慮されるものとして、寄与分と特別受益があります。
・寄与分
寄与分とは、共同相続人のうち、被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献をした人について、その貢献を具体的な相続分に反映させる制度です。
寄与分が認められるのは、「被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付」「被相続人の療養看護」その他の方法により、「被相続人の財産の維持または増加」について特別の寄与をした場合に限られます。
・特別受益
特別受益とは、共同相続人が被相続人から「遺贈」「婚姻や養子縁組のための生前贈与」「生計の資本としての生前贈与」を受けたことをいいます。
特別受益がある場合には、相続開始時の財産に特別受益に該当する贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、特別受益を受けた相続人の相続分から、その特別受益の価額を差し引きます。
したがって、特別受益の額が多い場合には、遺産分割において新たに取得できる財産がないこともあります。
なお、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割では、一定の例外を除き、原則として特別受益や寄与分を考慮しないこととされています。ただし、相続人全員が合意すれば、10年経過後であっても、これらを考慮した遺産分割をすることは可能です。
(参考)寄与分・特別受益について
2-5.具体的な相続分、取得分額、および遺産分割方法の決定
特別受益や寄与分がある場合には、それらを反映させて各相続人の具体的な相続分を算出します。そして、遺産分割時における遺産の評価額に基づいて、各相続人の取得分額を算出します。
各相続人の取得分額を算出したら、どのように遺産を分割するかを決定します。遺産分割の方法には、遺産そのものを分割する現物分割のほか、代償分割、換価分割、共有分割があります。
代償分割では、特定の相続人がその相続分を超える財産を取得し、その代わりに、その相続人が他の相続人へ代償金を支払います。たとえば、相続人のうち1人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う場合などです。
換価分割では、相続財産を売却して、その売却代金を相続人間で分配します。共有分割とは、遺産を複数の相続人が共有で取得することをいいます。
上記のうち、まず検討すべきなのは現物分割です。現物分割が難しい場合には代償分割を検討し、代償分割も難しい場合には換価分割を検討します。遺産を共有のまま取得する共有分割は、将来の管理や処分が難しくなる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
ただし、相続人全員が合意するのであれば、どの遺産分割方法を採るかは自由であり、現物分割が可能な場合であっても、不動産を共有で取得することは可能です。
2-6.遺産分割協議書の作成
相続人による遺産分割の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、とくに決められた形式はありませんが、記載内容に不備があると、相続財産の名義変更などの手続きをおこなえないことがあるため、注意が必要です。
遺産分割協議によって取得した不動産について相続登記を申請する際には、遺産分割協議書が添付書類となります。そこで、司法書士に相続登記をご依頼いただいた場合には、遺産分割協議書も司法書士が作成するのが通常です。遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印で押印します。
相続人の中に未成年者がいる場合、親権者と未成年者がともに相続人となるときなど、両者の間に利益相反が生じるときには、家庭裁判所に、その未成年者のための特別代理人の選任を申し立てる必要があります。この場合には、選任された特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加し、遺産分割協議書に署名・押印します。
また、成年後見人が選任されている相続人については、原則として、成年後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加します。
(もっと詳しく)遺産分割協議書の作成について
2-7.相続財産の名義変更・登記手続など
作成した遺産分割協議書の内容にしたがって、預貯金の解約(払い戻し)、株式・投資信託などの名義変更、不動産の名義変更(相続登記)などをおこないます。
相続登記の手続きは、司法書士に依頼するのが通常です。それ以外の手続きは相続人ご自身でおこなうこともできますが、相続財産管理業務として司法書士に委任することもできます。
この場合、銀行預金などの解約手続き、株式・投資信託などの名義変更手続き、生命保険金などの請求も司法書士へおまかせいただけます。
なお、遺産分割が成立し、それによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記を申請する必要があります。
3.協議による遺産分割ができないとき
被相続人が遺言によって遺産の分け方を指定していない場合には、相続人全員の話し合いによる「協議分割」をおこなうのが通常です。相続人間の協議がまとまらないときには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます(調停分割)。
家庭裁判所での調停手続きでも話し合いがまとまらず、調停が不成立となった場合には、自動的に審判手続きへ移行します。審判が確定すると、相続人はその内容に従って遺産を分割することになります(審判分割)。
協議分割をしようとする際、親権者と未成年者がともに相続人となるときなど、両者の間に利益相反が生じる場合には、家庭裁判所に、その未成年者のための特別代理人の選任を申し立てる必要があります。また、認知症などにより判断能力が十分でない相続人がいる場合には、その判断能力の程度に応じて、成年後見制度(後見・保佐・補助)の利用が必要となることがあります。
このほか、被相続人が遺言によって遺産の分け方を指定する「指定分割」があります。
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