相続登記で遺産分割協議書が必要なとき
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相続登記で遺産分割協議書が必要な場合・不要な場合
(最終更新日:2026年8月21日)
不動産について遺産分割協議をおこない、その内容に基づいて相続登記をする場合には、遺産分割協議書を添付します。相続登記に使用する遺産分割協議書には、相続人全員が署名して実印を押印し、それぞれの印鑑証明書を添付します。
一方、遺言書に基づいて登記する場合、相続人が1人の場合、法定相続分どおりに登記する場合、遺産分割調停や審判に基づいて登記する場合には、遺産分割協議書は不要です。
このページでは、相続登記をする際に遺産分割協議書が必要となる場合と、不要となる場合について具体的に解説します。
なお、司法書士に相続登記を依頼する場合には、司法書士が遺産分割協議書を作成するのが通常です。そのため、ご相談前に遺産分割協議書を作成しておく必要はありません。
相続登記に遺産分割協議書が必要な場合・不要な場合【目次】
2-1.遺言書に基づいて登記する場合
2-2.相続人が1人の場合
2-3.法定相続分どおりに登記する場合
1.相続登記で遺産分割協議書が必要となる場合
相続登記をする際に遺産分割協議書が必要となるのは、相続人全員の話し合いによって、不動産を取得する相続人や取得割合を決めた場合です。
たとえば、被相続人が遺言書を残しておらず、法定相続人が2名以上いる場合に、相続人のうちの1人が不動産を単独で取得するためには、相続人全員による遺産分割協議が必要です。
具体的には、次のような場合が該当します。
- 相続人のうちの1人が不動産を単独で取得する場合
- 2名以上の相続人が、法定相続分とは異なる割合で不動産を取得する場合
- 複数の不動産を、それぞれ別の相続人が取得する場合
遺産分割協議による相続登記では、遺産分割協議が成立したことを証明するため、登記申請書に遺産分割協議書を添付します。
遺産分割協議には、相続人の全員が参加しなければなりません。相続登記に使用する遺産分割協議書には、相続人全員が署名して実印を押印し、それぞれの印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議をする際に、相続人全員が一堂に会する必要はありません。たとえば、相続人のうちの1人が各相続人の意向を確認しながら話を取りまとめ、最終的に全員が同じ内容に合意する方法でも差し支えありません。連絡の方法も、実際に会って話し合う方法に限られず、電話やメール、郵便などによることもできます。
なお、相続人が2名以上いる場合でも、法定相続分どおりの共有名義で登記するのであれば、遺産分割協議書は必要ありません。また、遺言書がある場合でも、対象となる不動産を取得する相続人が遺言によって定められていないときは、遺産分割協議が必要となることがあります。
2.遺産分割協議書が不要となる場合
相続登記をする場合でも、遺産分割協議に基づかずに登記できるときは、遺産分割協議書を添付する必要はありません。遺産分割協議書が不要となる主な場合は、次のとおりです。
2-1.遺言書に基づいて登記する場合
法律上有効な遺言書により、対象となる不動産を取得する相続人が定められている場合には、その遺言書に基づいて相続登記をすることができます。この場合、遺産分割協議をする必要がないため、遺産分割協議書も不要です。
ただし、遺言書があっても、対象となる不動産を取得する相続人が定められていない場合や、遺言書の内容どおりに相続登記ができない場合には、遺産分割協議が必要となることがあります。
2-2.相続人が1人の場合
相続人が1人しかいない場合には、その相続人が被相続人の不動産を単独で相続するため、遺産分割協議書は必要ありません。協議の相手となる他の相続人がいないからです。
また、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された結果、最終的に相続人が1人となった場合も同様です。
ただし、先順位の相続人が相続放棄をしたことにより、後順位の人が新たに相続人となることがあります。そのため、相続放棄をした人以外の相続人が1人だけであるように見えても、戸籍などにより相続人の範囲をあらためて確認する必要があります。
2-3.法定相続分どおりに登記する場合
相続人が2名以上いる場合でも、法定相続分どおりの共有名義で相続登記をするのであれば、遺産分割協議書は必要ありません。
たとえば、相続人が妻と2人の子である場合、それぞれの法定相続分は、妻が2分の1、子が各4分の1です。この法定相続分どおりに共有名義で登記する場合には、戸籍謄本などによって相続人と法定相続分を証明できるため、遺産分割協議書を添付せずに相続登記をすることができます。
この相続登記は、相続人全員が共同して申請するほか、相続人のうちの1人から申請することもできます。ただし、相続人の1人から申請した場合、申請人とならなかった相続人には登記識別情報が通知されないため、注意が必要です。この点については、後記「3.法定相続分どおりに共有で登記するときの注意点」でくわしく解説します。
2-4.遺産分割調停や審判に基づいて登記する場合
相続人による話し合いがまとまらず、家庭裁判所の遺産分割調停や審判によって不動産を取得する相続人が決まった場合には、遺産分割協議書は必要ありません。
遺産分割調停が成立した場合には調停調書を添付し、遺産分割審判が確定した場合には審判書および確定証明書を添付して、その内容に基づく相続登記を申請します。
3.法定相続分どおりに共有で登記するときの注意点
3-1.共有者全員による手続が必要となることがある
法定相続分どおりに相続登記をすると、不動産は相続人の共有名義となります。
共有となった不動産全体を売却したり、借入れに伴って抵当権を設定したりする場合には、共有者全員の協力が必要です。また、共有者のうちの1人が死亡すると、その共有持分についてさらに相続が生じるため、権利関係が複雑になることもあります。
したがって、遺産分割協議書を作成しなくても登記できるという理由だけで、法定相続分による共有登記を選択するのではなく、その後の不動産の利用や処分についても検討する必要があります。
3-2.相続人の1人から登記を申請するとき
法定相続分どおりの相続登記は、相続人全員が共同して申請するほか、相続人のうちの1人から申請することもできます。他の相続人の同意を得ることなく、相続人全員を登記名義人とする相続登記を申請することも可能です。
ただし、相続人の1人から申請した場合、登記識別情報が通知されるのは申請人となった相続人だけです。申請人とならなかった相続人も所有権の登記名義人となりますが、その相続人には登記識別情報が通知されません。
登記識別情報が通知されていなくても、共有者としての権利が失われるわけではありません。しかし、その後、その共有持分について売却や担保設定などの登記をするときには、事前通知や司法書士による本人確認情報の提供などの別の手続が必要となり、通常よりも手間や費用がかかることがあります。
そのため、法定相続分による共有登記を申請する場合には、相続人全員を申請人として手続をすることも検討すべきです。
なお、司法書士に相続登記を依頼する場合には、各相続人が司法書士への委任状に署名・押印して登記申請を委任することにより、それぞれが登記申請人となります。各相続人が自分で登記申請書を作成したり、法務局へ出向いたりする必要はありません。
4.相続人申告登記には遺産分割協議書が不要
令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されたことに伴い、相続人が申請義務を簡易に履行するための制度として、相続人申告登記が設けられました。
相続人申告登記は、登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出る制度です。この申出をすることにより、申出をした相続人については、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。
相続人申告登記は、相続人のうちの1人が単独で申し出ることができます。他の相続人の同意や協力を得る必要がないため、遺産分割協議書も不要です。
ただし、相続人申告登記は、相続による所有権の移転を登記する通常の相続登記とは異なります。申出人が相続人であることは登記されますが、誰が不動産を取得したのか、その持分がどれだけであるのかは登記されません。そのため、相続人申告登記をしただけでは、不動産を売却したり、担保に入れたりすることはできません。
相続人申告登記は、遺産分割協議がまとまらないなどの理由により、期限内に通常の相続登記をすることが難しい場合に利用する制度です。その後、遺産分割協議が成立したときは、その内容に基づく相続登記を別に申請する必要があります。
5.遺産分割成立後の相続登記の申請義務
相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続が開始したことと、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
また、遺産分割協議が成立し、その協議によって不動産を取得した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、遺産分割の内容に基づく相続登記を申請する必要があります。
遺産分割協議が成立する前に、法定相続分どおりの相続登記や相続人申告登記をしていた場合でも、それだけで遺産分割成立後の申請義務を履行したことにはなりません。遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、あらためて、その内容に基づく相続登記を申請する必要があります。
正当な理由がないのに、定められた期限までに相続登記を申請しなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。遺産分割協議が成立したときは、期限まで余裕がある場合でも、できるだけ早く相続登記を申請することをおすすめします。
6.相続登記・遺産分割協議書の作成についてのご相談
遺産分割協議に基づく相続登記をするためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集して相続人を確定し、相続人全員の合意内容に基づいて遺産分割協議書を作成します。
松戸の高島司法書士事務所では、手続きに必要な戸籍謄本などの取得、相続人の調査・確定、遺産分割協議書などの書類作成から、法務局への相続登記の申請まで、必要に応じて一括してご依頼いただけます。
司法書士へ相続登記を依頼する場合には、あらかじめ遺産分割協議書を作成しておく必要はありません。相続人間で決まっている遺産分割の内容をお聞きしたうえで、司法書士が相続登記に使用できる遺産分割協議書を作成します。
相続登記や遺産分割協議書の作成については、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。当事務所へのご相談は完全予約制ですので、「ご相談予約・お問い合わせ」のページをご覧のうえ、事前にご連絡くださいますようお願いします。
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これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,400件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2025年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
松戸の高島司法書士事務所では、相続登記の申請だけでなく、遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成、預貯金の相続手続き、手続きに使用する戸籍等の取得まで、必要に応じてすべてご依頼いただくことが可能です。
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