代襲相続による相続登記
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代襲相続による相続登記
被相続人に子供がいる場合、その子供は法定相続人となります。もしも、被相続人よりも先に、子供が亡くなっている場合、その子供に子供(被相続人の孫)がいれば、その子供が代襲者として相続人となります。
この場合、被相続人から孫に対して直接、相続による所有権移転登記(相続登記)がおこなえることになります。
相続人である子が存命の場合には、孫に対する相続登記はおこなえません。孫は相続人では無いからです。しかし、代襲相続が生じているときには「相続人としての地位により」孫が不動産を相続できるわけです。
代襲相続による相続登記 目次
1.代襲相続とは
2.代襲相続による相続登記の手続き
3.代襲相続と数次相続の違い
1.代襲相続とは
代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった子(または、兄弟姉妹)が、相続の開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときに、その子(または、相続人になるはずであった兄弟姉妹の子)が代わって相続することです。
上図のケースでは、平成24年に夫が亡くなったときに相続人となるのは、配偶者である妻、および長女、長男のはずでした。
しかし、長男は平成20年に既に亡くなっています。つまり、本来ならば相続人になるはずであった子が、相続の開始前に死亡しているので、孫である子1、子2が代わって相続するのです。これが代襲相続です。
したがって、本件での法定相続人は、妻、長女、子1、子2の4人となります。それぞれの相続分は妻2分の1、長女4分の1、子1、子2はそれぞれ8分の1です。子1、子2は、長男の相続分であったはずの4分の1を2人で相続するからです。
もし、代襲相続人となるはずであった孫も、被相続人が亡くなる前に死亡していた場合、その孫に子がいれば更に代襲相続します。これを再代襲といいます。
なお、本件のような代襲相続においては、長男の妻には一切の相続権はありません。これは、複数の相続が関連することにより代襲相続と混同されることもある、数次相続の場合と異なります。
相続放棄と代襲相続
なお、代襲相続は、相続人が相続開始前に死亡したとき以外に、相続人が欠格事由に該当する場合や、推定相続人が廃除された場合にも生じますが、相続人が相続放棄したときは代襲原因となりません。
つまり、相続人の子が相続放棄した場合には、その子(被相続人の孫)が相続人となることはありません。他に子がいれば、その子が相続人となりますし、子がいなければ時順位相続人である直系尊属や兄弟姉妹に相続権が移るわけです。
兄弟姉妹が相続人であった場合(再代襲について)
代襲相続は、兄弟姉妹が相続人となるはずであった場合にも生じますが、兄弟姉妹の代襲相続人については再代襲しません。つまり、代襲相続によって相続人になる可能性があるのは、兄弟姉妹の子(甥・姪)までです。
2.代襲相続による相続登記の手続き
代襲相続がある場合の相続登記は、誰が相続人であるかの判断さえ誤らなければ、あとは通常の遺産分割による相続登記と同様です。
したがって、代襲相続人を含めた相続人全員により遺産分割協議を行い、その結果に基づいて相続登記をおこないます。遺産分割協議書の作成をする際に、誰の代襲相続人であるのかを記す必要もありませんから、代襲相続があるからといってとくに通常と変わることはありません。
ただし、子の代襲相続人となるのは、被相続人の孫ですから未成年者であることも多いと思われます。その場合、その代襲相続人のために特別代理人の選任が必要となることがあります。
3.代襲相続と数次相続の違い
遺産相続の手続きをする際に、複数の相続が関連するという点で、代襲相続と混同しがちなのが数次相続です。
代襲相続では、相続手続きの対象となる財産の所有者よりも先に、相続人となるはずだった人が亡くなっております。そのため、相続が開始した時点で、代襲者として相続人となるのです。
数次相続では、相続手続きの対象となる財産の所有者よりも後に、相続人であった人が亡くなっております。そのため、相続が開始した時点では、通常の相続と何ら違いはありません。
しかし、相続手続きをおこなう前にその法定相続人が亡くなりました。そこで、2つめの相続が開始することにより、その法定相続人が1つ目の相続についての相続人となったのです。
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