数次相続が生じた場合における中間相続人のための相続登記
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遺産分割協議後に不動産を取得する相続人が死亡した場合の相続登記
(最終更新日:2026年8月19日)
相続人全員による遺産分割協議が成立し、相続人のうち1人が単独で不動産を相続することとなりました。遺産分割協議書を作成し、相続人全員による署名および実印による押印も済ませています。
ところが、相続登記をしないでいるうちに、その不動産を取得することとなった相続人が死亡してしまいました。この場合、どのような相続登記をすればよいのでしょうか。
数次相続が生じた場合における中間相続人のための相続登記(目次)
1.死亡した相続人名義への相続登記

上図では、A名義の不動産をDが相続するとの遺産分割協議が成立しました。その後、相続登記をしないでいるうちに、Dが死亡しています。
この事例では、上記の遺産分割協議について作成した遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書がある場合には、それらの書類を利用して、AからDへの相続による所有権移転登記をおこなうことができます。
遺産分割協議の当事者が死亡したとしても、その協議の効力が失われることはありません。また、相続登記の申請において、遺産分割協議書とともに提供する印鑑証明書には、発行後3か月以内などの有効期限は定められていません。
したがって、すでに作成されている遺産分割協議書および印鑑証明書を利用して、相続登記を申請することができます。
この場合には、すでに死亡しているD名義への相続による所有権移転登記をおこなうことになります。このような登記ができることについては、次の質疑応答があります。
数次相続の開始の場合における中間の相続人のための相続登記の可否(登記研究209号)
問 登記簿上の所有者が甲であるが、甲が死亡して乙が相続し、さらに乙が死亡して丙丁戊が相続し、したがって、現在の相続人は丙、丁、戊でありますが、死亡者乙の相続による所有権移転の登記は、すべきでないとの説もありますが、乙がその不動産を生前第三者に売却している場合もありますので、死亡者乙のために相続による所有権移転の登記もできると思います。いかがでしょうか。
答 中間の相続人乙のために相続による所有権移転の登記をして差し支えないものと考えます(乙の死亡又は生存にかかわらず、また乙が生前売却していると否とにかかわりません。)。
2.中間相続人の相続人へ直接相続登記ができるか(数次相続)
上記のとおり、すでに死亡しているD名義への相続登記をおこなう方法があります。
そのほか、Dの相続についても相続人全員による遺産分割協議が成立し、甲がこの不動産を単独で相続することとなった場合には、Aから甲へ直接相続登記をおこなうことも可能です。
このように、最終の相続より前の相続について、不動産を取得した相続人が1人である場合には、1件の申請によって最終の相続人名義とすることができます。
本例でいえば、Aから甲への所有権移転登記をおこなうことができます。この場合の登記申請書の記載は、次のようになります。
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原因 平成○年○月○日D相続、令和○年○月○日相続
相続人 (被相続人 A)
千葉県松戸市松戸○番地
甲
(以下省略)
登記原因およびその日付は、「平成○年○月○日(Aの死亡日)D相続、令和○年○月○日(Dの死亡日)相続」となります。また、この場合に「被相続人」として記載するのは、登記記録上の所有権登記名義人であるAです。
この登記を申請する際には、被相続人Aの相続についての遺産分割協議書と、被相続人Dの相続についての遺産分割協議書の両方を添付します。
3.遺産分割協議書を新たに作成する場合
本例のように、被相続人Aの相続について遺産分割協議が成立していたとしても、それを証する遺産分割協議書が作成されていないこともあります。
そのような場合には、被相続人Aについての遺産分割協議(第1次相続)と、被相続人Dについての遺産分割協議(第2次相続)の内容を併せて記載した遺産分割協議書を、新たに作成する方法があります。
本例では、Aの相続人のうちD以外の者と、Dの相続人全員が、それぞれの立場を明らかにしたうえで署名押印することになります。この場合の遺産分割協議書の作成については、「数次相続による相続登記」をご覧ください。
これに対し、第1次相続についての遺産分割協議書および印鑑証明書がすでにある場合には、それらの書類を利用できるため、D以外のAの相続人に改めて手続きへの協力を求める必要はありません。
ただし、Dの相続についての遺産分割協議書など、第2次相続に関する書類は別途必要となります。
数次相続では、相続関係や遺産分割の内容によって、必要となる登記の件数や添付書類が異なります。実際に登記を申請する際には、相続登記に精通した司法書士に依頼することをおすすめします。ご自身で申請する場合には、事前に管轄法務局へ確認するのがよいでしょう。
関連情報
高島司法書士事務所(千葉県松戸市)による「相続登記のよくある質問(FAQ)」のページです。
司法書士高島のブログにも次のとおり関連する投稿があります。
既に亡くなっている方が不動産を取得するとの遺産分割協議に基づく、死者名義への相続登記の手続きについて。
相続人不存在を原因とする所有権登記名義人氏名変更の登記の前提としておこなう、死者名義への相続登記について。
相続人不存在を原因とする所有権登記名義人氏名変更と、その前提として必要となる、被相続人名義への相続による所有権移転登記について。
遺産分割協議や相続登記をしないうちに相続人のうち1人が死亡し、最終的に相続人が1人となった場合の相続登記について。
数次相続が生じている場合において、死亡した相続人のうち1人について相続人が存在しないときの相続登記について。
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これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,400件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2025年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
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