不動産の贈与と税金 | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

不動産を贈与する前に検討すべきである、贈与税の概要について解説します。分かりやすく制度の概要を説明することを目的としたため、厳密に言えば正しくない記述もあります。相続、贈与、遺贈、など不動産登記のことなら千葉県松戸市の高島司法書士事務所へご相談ください。

不動産の贈与と税金

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不動産の贈与と税金

この記事の内容は、法律の改正等により古くなっている可能性があります。最新の情報は、国税庁タックスアンサーの「相続・贈与」のページなどでご確認ください。なお、贈与税やその他の税金に関するご相談は、税務署または税理士へお願いいたします(司法書士は税金に関するご相談をお受けすることはできません)。


(記事公開日:2019年5月3日 最終更新日:2025年9月11日)

不動産を生前に贈与しようとする場合には、まず贈与税について十分に検討しておくことが重要です。さらに、不動産取得税や登録免許税についても、相続の場合とは異なる扱いとなるため注意が必要です。

このページでは、不動産を贈与する際に関係する税金について、できるだけ分かりやすく解説することを目的としています。そのため、一部の記載は厳密な法的表現ではありません。実際に手続きを進める際には、国税庁のタックスアンサーをご確認いただくか、税理士や税務署にご相談ください。

1.贈与税

1-1.贈与税の計算と税率(暦年課税の場合)

1-2.夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除

1-3.相続時精算課税

1-4.著しく低い価額で不動産を譲り渡したとき

2.不動産取得税

3.登録免許税

4.不動産の贈与は譲渡所得になるのか

1.贈与税

贈与税は、相続税の場合と比べて、基礎控除の額が少なく、税率が高いため非常に高額になることがあります。

1-1.贈与税の計算と税率(暦年課税)

後述する相続時精算課税を選択しない場合の、原則的な課税方法が暦年課税です。この計算方法は次のとおりです。

  1. まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
  2. 続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
  3. 次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

税額の計算にあたっては速算表を利用するのが便利です。基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額に税率を掛け、さらに控除額をマイナスすることで贈与税額が分かります。

贈与税の速算表

<一般贈与財産用>(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

(例)贈与財産の価額の合計が1000万円の場合
・基礎控除後の課税価格 1000万円-110万円=890万円
・贈与税額の計算 890万円×40%-125万円=231万円

<特例贈与財産用>(特例税率)
この速算表は、贈与により財産を取得した人(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の人に限ります)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算に使用します。

例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,000万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

(例)贈与財産の価額の合計が1000万円の場合
・基礎控除後の課税価格 1000万円-110万円=890万円
・贈与税額の計算 890万円×30%-90万円=177万円

1-2.夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)の贈与が行われた場合、贈与税を計算するのに際して、基礎控除110万円の他に、最高2,000万円までの控除(配偶者控除)ができるという特例です。

特例を受けるための要件は次のとおりです。また、同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

  1. 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  2. 贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)であること
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産(または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産)に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

詳しくは、「夫婦間の不動産贈与」のページをご覧ください。

1-3.相続時精算課税

60歳以上の父母(または祖父母)から18歳以上の子(または孫)などに対して贈与を行う場合には、前述した暦年課税と、相続時精算課税とを選択することができます。

相続時精算課税を選択した場合、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額(課税価格)から、基礎控除額 110万円 を控除し、さらに 特別控除額(限度額2,500万円) を控除した残額に対して、一律20%の贈与税がかかります。

したがって、1年間に一括して財産を贈与する場合でも、財産の価額が2,610万円までであれば贈与税はかかりません

相続時精算課税の適用対象者や、相続時精算課税を選択した場合の税額(贈与税・相続税)の計算方法については、「親子間の不動産贈与(相続時精算課税)」のページをご覧ください。

1-4.著しく低い価額で不動産を譲り渡したとき

土地や建物を贈与すると多額の贈与税がかかることがわかると、「それなら売買にしてしまえば良いのでは?」というご質問を受けることがあります。

しかし、売買である以上、代金の支払いが実際に行われなければなりません。単に「お金を払ったことにする」だけでは認められません。

また、実際に代金を支払ったとしても、その額が 時価(通常の取引価格)より著しく低い場合 には問題となります。これは、次のように規定されているためです。

個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなす。

つまり、差額部分が「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となります。

贈与税は税率が高めに設定されているため、思わぬ高額課税となることがあります。たとえ「家族だから安くした」という取引であっても、税務署は 「時価との差」 を厳しくチェックします。

したがって、贈与税の負担を抑えるためには、

  • 夫婦間であれば 「居住用不動産を贈与したときの配偶者控除の特例」
  • 親子間であれば 「相続時精算課税の選択」

といった制度の活用を検討することが重要です。

2.不動産取得税

不動産取得税は、不動産(土地・建物など)を取得した際に、その取得者に課税される税金です。この取得には、売買だけでなく、贈与や代物弁済も含まれます(ただし、相続による取得は含まれません)。

そのため、不動産を生前贈与した場合には、贈与を受けた方(受贈者)に不動産取得税が課税されます。もっとも、自己の居住用として中古住宅およびその敷地を取得した場合には、一定の要件を満たせば、不動産取得税が非課税となるか、または大幅に軽減されます。

したがって、贈与を受けた不動産(土地・建物・マンション)にご自身で居住するのであれば、不動産取得税の負担は問題とならないことも多いでしょう。

詳しくは、「中古住宅を取得した場合の不動産取得税の軽減」のページをご覧ください。

3.登録免許税

不動産の名義変更(所有権移転登記)をする際には登録免許税がかかります。贈与による所有権移転登記での登録免許税の税率は、不動産の固定資産評価額の1000分の20(2%)です。

登録免税額 = 固定資産評価額 × 2%

たとえば、不動産(土地、建物)の評価額が合計で1,000万円ならば、登録免許税額は20万円です。不動産の評価額によっては予想外に高額になることもありますので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。

不動産の固定資産評価額は、固定資産評価証明書を市町村役場(東京23区では都税事務所)で取得するか、または、固定資産税の納税通知書にも記載されています。

相続による所有権移転登記の場合、登録免許税の税率は不動産の固定資産額の1000分の4(0.4%)です。相続と生前贈与では、登録免許税の税額にも大きな違いがあるわけです。

4.不動産の贈与は譲渡所得になるのか

個人から個人への贈与(無償での譲渡)では譲渡所得は生じません。したがって、夫婦や親子など個人間の贈与で譲渡所得税がかかることはありません。ただし、受贈者(財産をもらった人)には贈与税の負担が発生します。

なお、個人から法人への贈与の場合には、その贈与の時における価額に相当する金額により、資産の譲渡があったものとみなされます。

個人から個人への贈与(無償での譲渡)では、贈与者に譲渡所得は生じません。したがって、夫婦や親子などの個人間の通常の贈与において、譲渡所得税が課されることはありません。受贈者(財産を受け取った人)には贈与税が課されます。

ただし、負担付き贈与(債務の引受けを伴う場合)や著しく低額な譲渡については、有償譲渡とみなされ、贈与者に譲渡所得が課されることがあります。

また、個人から法人への贈与の場合には、その贈与の時の時価に相当する金額で資産を譲渡したものとみなされ、贈与者に譲渡所得が生じます。

贈与登記の関連情報

不動産贈与登記

贈与による不動産(土地・建物・マンション)の名義変更(所有権移転登記)についての総合案内のページです。

贈与登記の必要書類

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親子間の不動産贈与

親から子へ不動産を贈与し所有権移転登記をする場合の、相続時精算課税、、不動産取得税、登録免許税などについて解説しています。

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夫婦の間で不動産を贈与し所有権移転登記をする場合の、贈与税の特例(夫婦間での居住用不動産贈与の配偶者控除)、不動産取得税、登録免許税などについて解説しています。

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