相続欠格とは(相続人の欠格事由) – 相続・遺言の用語集
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相続欠格とは(相続人の欠格事由)
(最終更新日:2026年9月1日)
相続欠格とは、民法に定められた一定の欠格事由に該当した人が、相続人となる資格を失う制度です。
相続欠格に該当すると、被相続人による請求や家庭裁判所の審判などを必要とせず、法律上当然に相続人となる資格を失います。
相続欠格事由は民法891条に定められています。被相続人などを故意に死亡させた場合のほか、詐欺や強迫によって遺言を妨げた場合、遺言書を偽造、変造、破棄または隠匿した場合などが該当します。
相続欠格とは(相続人の欠格事由)【目次】
1.相続欠格とは
2-1.被相続人などを死亡させた場合
3-1.相続に関して不当な利益を得る目的
4.相続欠格の効果
4-1.家庭裁判所の手続きは必要ない
4-2.遺贈を受けることもできない
4-3.相続欠格者の子による代襲相続
1.相続欠格とは
民法891条では、一定の欠格事由に該当する人は、相続人となることができないと定められています。
相続欠格は、相続秩序を著しく侵害する行為をした人に対し、相続人となる資格を失わせる制度です。
相続欠格事由に該当すると、被相続人による請求や家庭裁判所の審判などを必要とせず、法律上当然に相続人となる資格を失います。
ただし、相続欠格に該当するかどうかについて争いがある場合、他の相続人の判断だけで、その人を相続人から除外することはできません。このような場合には、相続権が存在しないことの確認を求める訴訟などによって解決する必要があります。
2.相続人の5つの欠格事由
民法891条では、次の5つの相続欠格事由が定められています。
2-1.被相続人などを死亡させた場合
故意に被相続人、または相続について先順位もしくは同順位にある人を死亡させ、あるいは死亡させようとしたために、刑に処せられた人は相続欠格者となります。
実際に死亡させた場合だけでなく、死亡させようとして未遂に終わった場合も含まれます。ただし、そのような行為をしただけで当然に相続欠格となるわけではなく、その行為について有罪判決による刑の言渡しが確定したことが必要です。
2-2.被相続人が殺害されたことを告発・告訴しなかった場合
被相続人が殺害されたことを知りながら、その事実を告発または告訴しなかった人は、相続欠格者となります。
ただし、その人に是非を判断する能力がなかった場合や、殺害した人が自己の配偶者または直系血族であった場合は除かれます。
2-3.詐欺・強迫によって遺言を妨げた場合
詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をすることや、遺言を撤回、取消しまたは変更することを妨げた人は、相続欠格者となります。
2-4.詐欺・強迫によって遺言をさせた場合
詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせた人は、相続欠格者となります。
詐欺または強迫によって、すでにある遺言を撤回、取消しまたは変更させた場合も同様です。
2-5.遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合
相続に関する被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄または隠匿した人は、相続欠格者となります。
偽造とは、遺言者の作成したものではない遺言書を作ることです。変造とは、遺言書の内容を勝手に変更することをいいます。
破棄とは、遺言書を破ったり処分したりして、その効力を失わせることです。隠匿とは、遺言書の存在を他の相続人などに知らせず、発見されないようにすることをいいます。
3.遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿に関する判例
3-1.相続に関して不当な利益を得る目的
最高裁判所平成9年1月28日判決は、相続人が遺言書を破棄または隠匿した場合であっても、その行為が相続に関して不当な利益を得ることを目的とするものでなかったときは、民法891条5号の相続欠格者には当たらないと判断しています。
民法891条5号は、遺言に著しく不当な干渉をした相続人に対し、相続人となる資格を失わせる制裁を科すことを目的としています。
そのため、遺言書を破棄または隠匿したという事実だけでなく、その行為によって相続に関する不当な利益を得ようとする目的があったかどうかも問題となります。
たとえば、破棄または隠匿した遺言書が、その行為をした相続人に有利な内容であった場合には、不当な利益を得る目的がなかったと判断される可能性があります。
3-2.遺言者の意思を実現するために方式を整えた場合
最高裁判所昭和56年4月3日判決では、方式を欠いて無効な遺言書について、相続人が押印するなどして有効な遺言書としての外形を作った行為が問題となりました。
最高裁判所は、このような行為は遺言書の偽造または変造に当たるとした一方で、相続人が遺言者の意思を実現するために、その法形式を整える趣旨でおこなったにすぎない場合には、相続欠格者には当たらないと判断しています。
ただし、遺言書の方式を欠いている場合、相続人が後から押印や訂正をすることによって、その遺言書が有効になるわけではありません。遺言書に手を加えることは、遺言書の偽造または変造と判断される可能性があるため、避けなければなりません。
4.相続欠格の効果
4-1.家庭裁判所の手続きは必要ない
相続欠格事由に該当した人は、家庭裁判所の審判などを受けなくても、法律上当然に相続人となる資格を失います。
相続欠格に該当することを認めるかどうかは、その人自身の判断に委ねられるものでもありません。
ただし、欠格事由に該当する事実が明らかでない場合や、本人が相続欠格に該当することを争っている場合には、訴訟によって相続権の有無を確定させる必要が生じることがあります。
4-2.遺贈を受けることもできない
民法965条では、相続人の欠格事由に関する規定を受遺者にも準用しています。
そのため、相続欠格事由に該当する人は、相続人として財産を取得できないだけでなく、被相続人の遺言による遺贈を受けることもできません。
4-3.相続欠格者の子による代襲相続
被相続人の子が相続欠格によって相続権を失った場合、その人に子がいれば、被相続人の孫が代襲相続人となります。
また、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合に、その兄弟姉妹が相続欠格者であるときは、その人の子である甥・姪が代襲相続人となります。
相続欠格は、欠格者本人について相続権を失わせる制度であり、その子まで相続人となる資格を失わせるものではありません。
5.推定相続人の廃除・相続放棄との違い
相続欠格と混同されやすい制度として、推定相続人の廃除や相続放棄があります。
| 制度 | 対象・原因 | 必要な手続き | 代襲相続 |
|---|---|---|---|
| 相続欠格 | 民法891条の欠格事由に該当した相続人 | 手続きを必要とせず、法律上当然に効力が生じる | あり |
| 推定相続人の廃除 | 被相続人への虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行があった遺留分を有する推定相続人 | 家庭裁判所の審判が必要 | あり |
| 相続放棄 | 相続人が自ら相続しないことを選択する場合 | 家庭裁判所への申述が必要 | なし |
推定相続人の廃除は、被相続人が家庭裁判所へ請求するか、遺言によって廃除の意思を表示し、相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所へ請求することによっておこないます。
これに対し、相続欠格は、被相続人による請求や家庭裁判所の審判を必要とせず、法律上当然に効力が生じます。
相続欠格と推定相続人の廃除では、相続権を失った人の子が代襲相続人となることがあります。相続放棄は代襲相続の原因とならないため、相続放棄をした人の子が代わって相続人となることはありません。
6.相続欠格者がいる場合の相続登記
相続欠格者を除外して相続登記を申請する場合には、相続欠格事由が存在することを証する書類が必要となります。
登記原因証明情報として、欠格者自身が作成した欠格事由が存する旨の証明書(欠格者の印鑑証明書を添付したもの)、または欠格事由の存在を証する確定判決の謄本(確定証明書付き)を提供します。
また、相続欠格者に代襲相続人がいるかどうかを確認するため、欠格者の出生時から被相続人の死亡時までの戸籍謄本等(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含みます)も必要となります。相続欠格者に代襲相続人がいる場合には、その代襲相続人を相続人に含めて、遺産分割協議や相続登記の手続きを進めます。
相続欠格に該当することについて争いがある場合には、他の相続人が一方的にその人を除外して、遺産分割協議や相続登記をすることはできません。相続権不存在確認訴訟などによって、相続人としての地位の有無を確定させる必要があります。
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これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,400件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2025年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
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