相続登記で不動産の名義は誰のものに変更すべきか
(最終更新日:2025年10月6日)
亡くなられた方(被相続人)が不動産を所有していた場合、その不動産の名義は誰のものに変更すべきでしょうか。以下でケースごとに解説します。
なお、相続登記(相続による所有権移転登記)によって新たな名義人となることができるのは法定相続人に限られます。遺贈や死因贈与があった場合などの例外を除き、相続人以外の方へ直接所有権移転登記を行うことはできません。
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相続登記で不動産の名義は誰のものに変更すべきか
1.遺言書がある場合
2.遺言書がない場合
2-1.法定相続人が1人の場合
2-2.法定相続人が2人以上の場合
2-2-1.遺産分割協議による場合
2-2-2.法定相続による場合
1.遺言書がある場合
被相続人(亡くなられたご家族)が遺言書を作成しており、その内容によって「誰に不動産を相続させるか」が指定されている場合は、遺言の内容に従って相続登記を行うのが原則です。
遺言による相続登記では、不動産を相続した人が他の相続人の協力を得ることなく、単独で登記手続きを行うことが可能です。
ただし、「相続」ではなく「遺贈」による登記の場合には、遺言執行者(または相続人全員)が受遺者(遺贈を受けた人)とともに登記手続きを行う必要があります。
2.遺言書がない場合
遺言書がない場合、相続人が1名のみであればその相続人がすべての財産を相続しますが、相続人が2名以上いる場合は、遺産分割協議によって誰が不動産を相続するかを決定するのが一般的です。
2-1.法定相続人が1名のみ場合
遺言書がなく、法定相続人が1名だけである場合は、その唯一の相続人がすべての遺産を相続します。
この場合、誰の名義に変更するかを検討する余地はなく、他の親族の意向を確認したり、遺産分割協議書を作成したりする必要はありません。
なお、「法定相続人が1名のみ」とは、他の相続人がすべて相続放棄をした結果、相続人が1名となった場合も含まれます(ここでいう相続放棄とは、家庭裁判所への相続放棄申述が受理されていることが前提です)。
また、法定相続人が1名のみの場合であっても、遺言により相続人以外の第三者へ不動産が遺贈されているときは、受遺者(遺贈を受けた人)の名義に変更することになります(遺贈による所有権移転登記)。
2-2.法定相続人が2名以上の場合
遺言書がなく、法定相続人が2名以上の場合には、「遺産分割協議により誰が相続するかを決めて登記する方法」、「法定相続分どおりに共有名義で登記する方法」のいずれかを選択することになります。
2-2-1.遺産分割協議による場合
遺産分割協議による相続登記では、法定相続人全員の話し合いによって、不動産を誰が相続するかを決定します。
全員が合意すれば、相続人のうち誰の名義にしても差し支えありません。たとえば、被相続人の配偶者ではなく、子どもの名義に変更することも可能です。
また、1人が単独で相続するのではなく、複数の相続人が共有名義にする(例:2名の相続人が持分2分の1ずつに登記)こともできます。
遺産分割協議による相続登記を行うには、不動産の取得者を明記した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名押印(実印)のうえ、印鑑証明書を添付する必要があります(遺産分割協議の作成についてはこちら)。
そのため、相続人全員の合意が得られない場合には、遺産分割協議による相続登記はできません。このような場合は、家庭裁判所での調停や審判によって遺産分割を行うことになります。
(参考)相続登記で妻ではなく子の名義にする場合の注意点
不動産を所有していた夫が亡くなった場合、遺産分割協議によって妻が不動産を取得するケースが一般的です。しかし、中には「同居している子の名義にしたい」というようなケースも見られます。
妻の名義にした場合、妻の死亡後に再び子への相続登記を行う必要があります。これを避け、妻を経由せずに最初から子の名義にしておけば、登記にかかる手間や費用を節約できるという考え方もあります。
たしかに、多くの場合にはこの方法でも特に問題は生じません。しかし、万が一、子の方が先に亡くなってしまった場合には、思わぬ結果となる可能性があります。

例えば、上図のような家族関係を例に説明します。
この場合に、被相続人Aが死亡した際、妻Bではなく長男Dの名義で相続登記を行ったとします。その後、妻Bよりも先に長男Dが死亡してしまった場合、長男Dの相続人となるのは、Dの妻Eと子Fです。
つまり、妻Bから見れば、夫が所有していた不動産が、子の妻(E)や孫(F)の名義になってしまうという結果になります。このように、将来の家族関係の変化によっては、「妻を経由せずに子の名義にしたこと」が思わぬ不利益を招くことがあります。
登記費用や手間の節約を重視するあまり、将来的な相続関係の複雑化を招くことのないよう、誰の名義に変更すべきかは慎重に検討することが大切です。
2-2-2.法定相続による場合
法定相続による相続登記では、法定相続人全員の共有名義で、法定相続分どおりに登記を行います。たとえば、被相続人の妻・長男・長女が法定相続人の場合には、妻が2分の1、長男と長女がそれぞれ4分の1ずつの共有名義になります。
法定相続による登記は、遺産分割協議書を作成する必要がなく、簡易な手続きで行うことができます。そのため、相続人間で話し合いがまとまらない場合などに選択されることもあります。
しかし、後に不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合には、共有者全員の同意が必要になります。
そのため、実際には問題の先送りに過ぎず、将来的に権利関係がより複雑化するおそれがあります。したがって、法定相続による登記はやむを得ない場合を除き、避けるべき方法といえます。
(参考)法定相続による相続登記の注意点
法定相続による登記は、相続人の1人が単独で登記申請を行うことも可能です。つまり、他の相続人の同意を得ることなく登記を完了させることができてしまいます。
しかし、この単独申請には大きな問題があります。相続人中の1人から単独で申請した場合、登記識別情報通知は申請人にしか交付されません。そのため、申請人以外の相続人は所有権の登記名義人とはなるものの、登記識別情報を受け取ることができないのです。
登記識別情報通知は、不動産の売却や担保設定など、今後の登記手続で必要となる重要な書類です。登記識別情報通知を持っていない共有者は、後の手続で余分な手間や費用がかかる可能性があります。
したがって、法定相続分どおりの登記を行う場合であっても、相続人全員が登記申請人となる(または司法書士への委任状を提出する)ことが望ましいといえます。
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