抵当権抹消と相続登記を申請する順番
(最終更新日:2024年9月9日)
この記事では、抵当権抹消登記をしようとする際に、その不動産の登記記録上の所有者がすでに亡くなられている場合の手続きについて解説しています。
司法書士に相談し、登記手続きを依頼しようとする場合には、とくにご自身で理解する必要のない内容となっています。抵当権抹消登記の一般的な解説などについては、松戸の高島司法書士事務所による抵当権抹消登記のページをご覧ください。
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抵当権抹消と相続登記を申請する順番
被相続人が所有する不動産に抵当権が設定されていて、その抵当権を抹消しようとする際には、誰が抵当権抹消登記の申請人(登記権利者)となって手続きをするのでしょうか。債務の完済により抵当権が消滅したのが、相続開始の前後どちらであるかに分けて考える必要があります。
なお、司法書士に手続きを依頼した場合には、いずれのケースであっても相続登記(相続による所有権移転登記)と抵当権抹消登記を続けて(連件で)申請するのが通常です。相続登記をおこなわず、被相続人の名義のままで抵当権抹消登記のみをするのは、特別な事情がある場合に限られるでしょう。
また、相続登記と抵当権抹消登記を連件で申請せず、相続登記が完了してから、後日あらためて抵当権抹消登記をすることも可能ですが、同日に連件で申請する場合に比べて手間も時間もかかることになります。
抵当権抹消と相続登記を申請する順番
(1) 相続開始後に抵当権が消滅した場合
(2) 相続開始前に抵当権が消滅した場合
(1) 相続開始後に抵当権が消滅した場合
住宅ローンの完済が相続開始後である場合、抵当権抹消登記をするためには事前に相続登記をする必要があります。
たとえば、住宅ローンの債務者が完済前に亡くなられたとき、団信(団体信用生命保険)に入っていれば、保険金が支払われることにより住宅ローンが完済されます。
この場合、ローン完済は相続の開始後ですから、抵当権抹消登記をする際に登記権利者となるのは相続人です。そこで、下記のようにまずは相続登記により相続人の名義に変更してから、抵当権抹消登記をすることになります。
1件目 相続登記(被相続人から相続人に対する所有権移転登記)
2件目 抵当権抹消登記(登記権利者は1件目の登記により所有者となった相続人)
(2) 相続開始前に抵当権が消滅した場合
被相続人が生前に住宅ローンを完済したが、抵当権抹消登記をしないでいるうちに亡くなってしまったという場合には、被相続人名義のまま抵当権抹消登記をすることも可能です。
この場合、相続人中の1人が登記権利者となり抵当権抹消登記をすることができます(保存行為)。この抵当権抹消登記をする際はには、相続開始の事実を証する被相続人の戸籍(除籍)謄本と、登記申請人となる相続人の戸籍謄本などを添付します。
上記のとおり、相続登記をせずに抵当権抹消登記のみをすることも可能なので、遺産分割協議に時間がかかるような場合には、抵当権抹消登記だけを済ませておくこともできます。
けれども、相続による所有権移転登記をした後に、抵当権抹消登記をするのであれば、相続登記をすることで登記名義人となった相続人が、登記権利者となって登記申請をおこなえます。よって、わざわざ被相続人名義のまま抵当権抹消登記をおこなわずとも、相続登記と抵当権抹消登記を続けて(連件)で申請すれば良いことになります。
よって繰り返しになりますが、抵当権抹消登記のみを申請しておく必要性があるのは、遺産分割協議に時間がかかるなどの理由により、すぐには相続登記がおこなえない場合などに限られることになります。
抵当権抹消と相続登記の関連情報
・抵当権(根抵当権)の抹消登記
・相続登記(相続による所有権移転)
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これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,200件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2023年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
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