法定相続情報一覧図による相続登記
(最終更新日:2025年11月19日)
このページでは、相続登記の申請をする際、法定相続情報一覧図(または法定相続情報番号)を提供した場合に、提出を省略できる書類などについて解説しています。
ただし、法定相続情報一覧図の作成は、相続登記の申請と同時にすることができるため、司法書士に相続登記の手続きを依頼する場合、事前に法定相続情報一覧図を作成しておく必要はありません。
また、相続人がご自分で相続登記をしようとする場合にも、先に法定相続情報一覧図の作成をしておけば、相続登記の手続き全般が簡単になるということはありません。
相続登記および法定相続情報一覧図の作成については、相続手続きの専門家である千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)にご相談ください。
相続登記(不動産の名義変更)の全体解説はこちら
※手続きの流れ・必要書類・注意点・費用などを詳しく解説しています。
高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へのご相談は完全予約制です。「ご相談予約・お問い合わせ」のページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。「LINEによるご相談予約」もできます。
法定相続情報一覧図による相続登記
1-1.一覧図作成と相続登記の順序
1.法定相続情報一覧図で相続登記は簡単になるのか
法定相続情報一覧図の作成を自分で行えば、相続登記が簡単にできるようになることを期待している方もいらっしゃいます。しかし、相続登記の前に法定相続情報一覧図を作成することで、相続登記の手続き全般が簡単になるわけではありません。
1-1.一覧図作成と相続登記の順序
法定相続情報一覧図の作成をするには、法務局に対して「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出」を行います。
この法定相続情報一覧図の作成手続きは、相続登記の申請と同時に行うことができます。そのため、相続登記をする前に、法定相続情報一覧図を作成しておく必要は通常ありません。
この場合、相続登記を申請する時点では法定相続情報一覧図は存在しませんから、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本などを添付して登記申請を行います。
法務局での手続きが完了すると、相続登記についての登記完了証や登記識別情報通知とあわせて、法定相続情報一覧図の交付を受けることができます。その後の預貯金の相続手続きなどは、この法定相続情報一覧図を使用して行うことができます。
つまり、相続登記と法定相続情報一覧図の作成を同時に行い、その後に銀行や証券会社の手続きをするというのが一般的な流れとなります。
したがって、必要なのは相続登記のみであるという場合、先に法定相続情報一覧図を作成する意味はありません(被相続人が複数の不動産を所有していて、異なる法務局管轄で相続登記を申請する場合を除きます)。
1-2.法定相続情報一覧図があることのメリット
前述のとおり、相続登記をする前に法定相続情報一覧図を作成する必要はありません。しかし、何らかの事情で法定相続情報一覧図がすでにある場合には、相続登記の添付情報として提供することができます。
例えば、複数の法務局管轄に不動産を所有している場合、最初に相続登記を申請した法務局で法定相続情報一覧図を作成し、その後の相続登記で法定相続情報一覧図を使用するという方法があります。
相続登記の際に法定相続情報一覧図を使用するメリットは、相続を証する情報および登記名義人となる人の住所証明情報の提供に代えられる点にあります。
相続登記の申請の際に、相続を証する情報として多数の戸籍等を提出する代わりに、法定相続情報一覧図を提出すれば足りることになります。
ただし、法定相続情報一覧図を作成するためには、相続登記の申請に必要なものと同様の、相続を証する情報としての戸籍等が必要です。
また、相続登記の際に法定相続情報一覧図があっても、相続関係説明図、登記申請書、遺産分割協議書の作成などの手間や難易度は一切変わりません。
つまり、先に法定相続情報一覧図を作成しておけば相続登記の手続き全般が簡単になるということはありませんのでご注意ください。
不動産登記規則第37条の3(抜粋)
1 登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、その相続に関して法定相続情報一覧図の写し(または法定相続情報番号)を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し(または当該法定相続情報番号)の提供をもって、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。
2 登記名義人の相続人が相続による権利の移転の登記の申請をする場合において、当該相続人の住所が記載された法定相続情報一覧図の写し(または法定相続情報番号(法定相続情報一覧図に当該相続人の住所が記載されている場合に限る))を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し(または当該法定相続情報番号の提供をもって、登記名義人となる者の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。
2.一覧図の提供により提出を省略できる書類
相続による所有権移転の登記の申請をする場合に、法定相続情報一覧図の写しを提供したときは、その一覧図の提供をもって、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができます(不動産登記規則37条の3)。
つまり、相続登記を申請する際に、法定相続情報一覧図の写しを提供することで、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本、相続人の戸籍謄本などの添付が不要になるわけです。
また、法定相続情報一覧図の写しに法定相続人の住所が記載されている場合、申請人についての「住所を証する情報」の添付も省略できます。
なお、ここでいう「法定相続情報一覧図の写し」とは、法務局から発行される「被相続人○○法定相続情報」との表題の証明書の原本のことです。添付書類として必要なのは「証明書の原本」であり、コピーを取ったものを提出するわけではありません。
この法定相続情報一覧図の写しについては、原本還付の請求をすることができます(平成29年4月17日民二292)。
3.別途提出が必要となる書類
法定相続情報一覧図の写しの提供により添付を省略できるのは、一覧図に記載されている情報に限られます。したがって、法定相続情報一覧図の写しを提供した場合であっても、次のような書類については別途提出が必要となります。
- 遺産分割協議による相続登記の場合の、遺産分割協議書および相続人の印鑑証明書
- 相続人として記載されている人の中に相続放棄をした人がいる場合の、相続放棄申述受理証明書
- 相続人として記載されている人にさらに相続が発生している場合には、その死亡した人についての相続を証する書面
また、法定相続情報一覧図を作成した後に住所変更があった場合など、一覧図に記載された住所と異なる住所で登記する必要が生じたときには、新たな住所を証する住民票等が必要です。さらに、相続登記と併せて売買による所有権移転登記を申請する際にも、住所証明情報として住民票等の提出が求められます。
加えて、法定相続情報一覧図には、遺産分割内容や相続放棄の有無などを記載することはできません。このため、法定相続情報一覧図の写しを添付して相続登記を申請する場合でも、登記原因証明情報としての相続関係説明図を併せて提出するのが通常です。
なお、法定相続情報一覧図の写しについては原本還付の請求が可能です。また、相続関係説明図を提出した場合には、その相続関係説明図を一覧図の写しの謄本として取り扱い、一覧図の写しについては還付して差し支えないものとされています。
以上によれば、相続関係説明図を提出した場合、法定相続情報一覧図の写しは、そのコピーを提出することなく原本還付をを受けられることになります。
「平成29年4月17日民二292」より抜粋
申請人から添付した一覧図の写しの原本還付の請求があった場合は、不動産登記規則第55条の規定により原本を還付することができる。この場合に、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、当該相続関係説明図を一覧図の写しの謄本として取り扱い、一覧図の写しについては還付することとして差し支えない。
おって、一覧図の写しは飽くまで相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報を代替するものであり、遺産分割協議書や相続放棄申述受理証明書等までをも代替するものではない。
4.法定相続情報番号の提供による一覧図の添付省略
令和6年4月1日以降、不動産登記の申請書の添付情報欄に「登記原因証明情報(法定相続情報番号(○○○○-○○-○○○○○))」と記載することにより、法定相続情報一覧図の写しの添付を省略できるようになりました。
法定相続情報番号は、法定相続情報一覧図の右上に「法定相続情報番号 0402-25-99999」というように記載されている11桁の番号です。
法務局での法定相続情報一覧図の保管期間は5年のため、法定相続情報一覧図の保管の申出から5年以上が経過している場合には、法定相続情報番号を利用できない場合があります(ただし、5年を経過している場合でも、法定相続情報一覧図の写しを相続登記の添付書類として使用することは可能です)。
不動産登記規則第37条の3第1項
表題部所有者又は登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、その相続に関して法定相続情報一覧図の写し又は法定相続情報番号を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し又は当該法定相続情報番号の提供をもって、相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。ただし、法定相続情報番号を提供する場合にあっては、登記官が法定相続情報を確認することができるときに限る。
松戸市の相続登記のご相談なら
松戸駅東口徒歩1分の高島司法書士事務所は、2002年2月に千葉県松戸市で新規開業したときから20年以上の長きにわたり、相続登記などの不動産登記、遺産相続に関する手続きなどを数多く取り扱ってまいりました。
これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,300件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2024年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
松戸の高島司法書士事務所では、相続登記の申請だけでなく、遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成、預貯金の相続手続き、手続きに使用する戸籍等の取得まで、必要に応じてすべてご依頼いただくことが可能です。
ご自宅不動産についての一般的な相続登記から、数次相続や代襲相続が関連するような難しい相続登記まで、どんなことでもご相談ください。当事務所では、すべてのご相談に経験豊富な司法書士が直接ご対応しております。
松戸で相続登記(不動産の名義変更)のことなら何でも高島司法書士事務所(千葉県松戸市)までご相談ください。
ご相談は松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所へ
松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所(千葉県松戸市)では、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせくださる個人のお客様からのご依頼を大切にしております。
すべてのご相談には、司法書士高島一寛が直接対応いたします。経験豊富な司法書士が最初から最後まで責任をもって対応いたしますので、安心してご相談ください。
ご相談は完全予約制です
当事務所へのご相談は完全予約制となっております。ご来所の際は、必ず事前にご予約をお願いいたします。
※予約をされずにお越しいただいた場合は、対応できないことがございますのでご了承ください。
ご予約方法
ご相談のご予約は、以下のいずれかの方法で承っております。
お電話の際に事前の準備は不要です。「相談予約をしたい」とお伝えいただくだけでも結構です。
フリーダイヤル:0120-022-918
※営業時間:平日午前9時から午後5時まで(営業時間外でも司法書士またはスタッフが事務所にいるときはお電話に出ます。午後6時頃までは司法書士が事務所にいることも多いですので、遠慮なくお電話ください)。
【ご相談予約・お問い合わせフォーム】メールによるご相談予約を24時間受け付けております。
【LINEによるご相談予約】LINEからもご予約が可能です。お忙しい方でも簡単にご連絡いただけます。
※ 松戸市の高島司法書士事務所では、電話やメールのみによる無料相談は承っておりません。
※相続登記その他の不動産登記、遺産相続や遺言に関する手続きのご相談は、松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅徒歩1分)へ