相続登記における被相続人の住所について
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相続登記における被相続人の住所について
(記事公開日:2014年5月13日)
相続登記(不動産の名義変更)の必要書類についての少し専門的なお話しです。司法書士に手続きを依頼する場合には、とくに知る必要のないことですがご参考として解説します。
登記事項証明書に記載されている所有者と、戸籍に記載されている被相続人が同一であることの証明
相続登記をする際には、「不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている所有者」と、「戸籍(除籍)に記載されている被相続人」が同一人物であること証明をしなければなりません。被相続人がたしかにその不動産の所有者であるということを証明する必要があるわけです。
このことを理解するためには、登記事項証明書、戸籍謄本のそれぞれに何が記載されているのかをまず確認する必要があります。
上の表にあるとおり、戸籍謄本には氏名、生年月日と本籍が記載されていますが、住所の記録はありません。一方、登記事項証明書には、所有者についての情報としては住所と氏名が記録されているのみです。
つまり、戸籍謄本と登記事項証明書への記載事項で共通しているのは氏名のみなのですが、たんに氏名が同一であるとの事実のみでは、被相続人(戸籍謄本に記載されている人)と、不動産の所有者(登記事項証明書に記載されている人)とが同一人物であることの証明にはなりません。
ただし、本籍と住所が同一である人の場合には、氏名と本籍および住所が一致することに同一人物であることが認められるので、その他の証明書類は不要です。
被相続人の最後の住所を証するための除住民票(または、戸籍の附票)
戸籍謄本に記載されている人と、登記事項証明書に記載されている人が同一人物であることの証明に使われるのが、住民票の除票(除住民票)、または戸籍の附票です。
住民票の除票(除住民票)
被相続人の住民票の除票(除住民票)に記載されている住所(または、前住所)と、登記事項証明書に記載されている住所が一致すれば、被相続人が不動産所有者であることが証明できます。
ここで使用する除住民票は本籍地が入っているものであるのが原則です。被相続人の戸籍に記載されている本籍、氏名、生年月日と、除住民票の記載とが一致することで同一人物であることの証明になるからです。
戸籍の附票
被相続人の最後の住所を証明する書類としては、除住民票のほかに「戸籍の附票」があります。
戸籍の附票は本籍地のある市区町村で発行されるもので、そこに本籍地がある間の氏名、本籍、住所がすべて記載されています。よって、戸籍の附票によっても、除住民票と同様の証明ができることになります。
なお、戸籍の附票によれば、「登記事項証明書に記載されている住所」から「最後の住所」までに、何度か住所移転をしているときでも、前住所(前々住所)の証明をすることが可能です。ただし、戸籍が改正されたときには、改製前の住所は記載されないので、改製原戸籍の附票が必要となることもあります。
相続人の同一性を証する書面について
被相続人(亡くなられた方)の同一性の証明はここまで解説したとおりですが、相続人の同一性の証明については上記とは少し異なります。
戸籍謄本による相続人の本籍と、遺産分割協議書に記載した相続人の住所とが異なる場合でも、「戸籍謄本による相続人の氏名及び生年月日と遺産分割協議書に添付の印鑑証明書に記載の相続人の氏名及び生年月日とが同一」であるときは、その同一性を確認することができるものとされます。
よって、戸籍謄本と印鑑証明書以外に、住民票(本籍の記載入り)や戸籍の附票の添付は不要とされています。
相続による所有権移転登記申請について、戸籍謄本による相続人の本籍と遺産分割協議書または民法第903条の規定による特別受益の証明書に記載した相続人の住所とが異なる場合、戸籍謄本による相続人の氏名及び生年月日と遺産分割協議書または特別受益証明書に添付の印鑑証明書に記載の相続人の氏名及び生年月日とが同一であるときは、その同一性を確認することができるものとして、別にこれを証する書面として住民票抄本または戸籍の附票の写しを提出することを要しない(昭和43年3月28日付民事三発第114号民事局第三課長回答)。
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