夫の遺産を全て妻が相続するには(子の相続放棄?) | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

夫が亡くなり、相続人は妻と3人の子。夫の両親、兄弟姉妹は既に他界している。子供たちは全員が結婚し家庭を持っていることもあり、父親の遺産を相続する必要は無い。 上記のケースで妻に全ての遺産を相続させるためには。

夫の遺産を全て妻が相続するには(子の相続放棄?)

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、後順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹など)がいると、その方たちが新たに相続人となります。

たとえば、「妻がすべての財産を相続できるようにするために、子ども全員が相続放棄をしたのに、結果的に亡夫の兄弟姉妹が新たな相続人になってしまった」というケースが実際に起こり得ます。

このような事態を避けるために、妻に全財産を相続させたい場合には、子ども全員が相続放棄をするのではなく、法定相続人である妻と子全員で遺産分割協議を行うのが通常です。

遺産分割協議において「すべての財産を妻が相続する」という内容に全員が合意すれば、相続放棄をせずに目的を達成することができます。


この記事では、相続放棄や遺産分割協議の基本的な考え方について解説していますが、上記のような想定外の事態を防ぐためには、相続手続きを進める前に専門家へ相談することが大切です。


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子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか

(最終更新日:2025年10月15日)

夫が亡くなり、相続人は妻と3人の子というケースを考えます。また、夫の両親および兄弟姉妹はすでに他界しているとします。

子どもたちはそれぞれ結婚して家庭を持っており、「父の遺産を相続する必要はない」と考えています。

このような場合、「妻がすべての遺産を相続できるようにするには、子ども3人全員が相続放棄をすればよいのか?」というご質問をいただくことがあります。

子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか

まず、子どもたちが相続放棄をしない場合の相続関係を確認しましょう。
このケースでは、被相続人(亡くなった夫)の配偶者である妻と、子ども3人の合計4人が相続人になります。

つまり、法定相続分は以下のとおりです。

  • 妻:2分の1
  • 子ども3人:残り2分の1を3人で均等(それぞれ6分の1ずつ)

この状態で、妻がすべての財産を相続するためにはどうすべきかという点が問題になります。


子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか(目次)
1.子が相続放棄すると誰が相続人になるのか
2.相続人全員で遺産分割協議をするのが通常です
3.子の一部が相続放棄する方法もあります
4.まとめ(妻に全財産を相続させるために)


1.子が相続放棄すると誰が相続人になるのか

相続放棄とは、家庭裁判所で行う手続きです。家庭裁判所に相続放棄の申述をして、それが受理されると、その相続に関しては「初めから相続人でなかった」ものとみなされます。

今回のケースでいえば、子ども3人全員が相続放棄をすれば、それぞれは最初から父の相続人でなかったものと扱われることになります。


しかし、ここで注意が必要です。
子ども全員が相続放棄をしても、妻が自動的にすべての遺産を相続できるとは限りません

相続放棄がある場合、その相続権は次順位の相続人に移るためです。


今回のケースでは、夫の両親(直系尊属)および兄弟姉妹はすでに他界していますが、もし先に亡くなった兄弟姉妹に子(=被相続人の甥や姪)がいる場合その甥や姪が代襲相続人として新たに相続人となります。

つまり、子ども全員が相続放棄をした場合、被相続人の配偶者(妻)と甥・姪が共同相続人になるのです。

たとえば、下図のように「子3人が相続放棄したことで、被相続人の亡兄の子(甥)が相続人となる」ケースが発生します。

妻に全財産を相続させたいと思って子ども全員が相続放棄をしてしまうと、かえって望まない人物(甥・姪など)が相続人になるという結果になってしまうおそれがあります。
そのため、相続放棄の判断は慎重に行う必要があります

子の全員が相続放棄したことで甥(姪)が相続人に

なお、夫の両親・兄弟姉妹がすでに死亡しており、かつその兄弟姉妹にも子(甥・姪)がいない場合には、子ども全員が相続放棄すれば、妻がすべての遺産を相続することになります。

2.相続人全員で遺産分割協議をするのが通常です

今回のご質問のような相続関係で、妻に全財産を相続させたい場合には、子どもが相続放棄をするのではなく、被相続人の配偶者および子全員で遺産分割協議を行うのが通常の方法です。


遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、被相続人の遺産をどのように分けるかを、すべての相続人が話し合いによって決める手続きです。

今回のようなケースであれば、被相続人の妻と子3人が合意することにより、「被相続人の妻が全財産を相続する」という内容の協議を成立させることができます。


遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が成立したら、合意の内容を明確にするため、「妻が全財産を相続する」旨を記載した遺産分割協議書を作成します。
相続人全員が署名し、実印で押印することで、正式な協議書として成立します。

この遺産分割協議書があれば、妻は不動産や預貯金などのすべてを相続できるため、相続放棄の手続きを行う必要はありません。


相続放棄が必要となるのはどんな場合か

相続放棄をする必要があるのは、被相続人が多額の債務(借金)を抱えている場合などに限られます。

妻が全財産を相続するとの遺産分割協議を成立させたとしても、被相続人に債務があった場合には、子どもたちはその債務の支払い義務を免れません

したがって、被相続人の債務を引き継ぎたくない場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります


相続放棄と孫への影響

なお、相続放棄をした子に子(被相続人の孫)がいたとしても、その孫に相続権が移ることはありません。

孫が代襲相続人となるのは、

  • 子が親より先に死亡している場合、
  • 子が相続欠格に該当している場合、
  • 子が相続から排除されている場合、

のいずれかに限られます(民法887条)。

したがって、子が相続放棄をした場合、その子(孫)が相続人となることはありません


ここまでの「まとめ」

  • 妻に全財産を相続させる場合は「相続放棄」ではなく「遺産分割協議」で対応する。
  • 債務を引き継ぎたくないときのみ、相続放棄の検討が必要。

3.子の一部が相続放棄する方法もあります

子が複数いる場合には、一部の子だけが相続放棄をするという方法もあります。

たとえば、子が3人いるケースで、そのうち2人だけが相続放棄をした場合、相続人となるのは配偶者(妻)と相続放棄をしなかった1人の子の2人です。


相続放棄を一部の子が行うケース

被相続人にプラスの財産もマイナスの財産(借金など)もある場合、あえて一部の子だけが相続放棄をすることで、相続する人の範囲や債務の負担を調整することがあります。

たとえば、妻と長男だけが相続人となるようにすることで、他の子2人は債務を引き継がないようにする、といった対応も可能です。

子の一部が相続放棄する方法もあります


妻と一部の子が相続人に

上の例のように、子のうち2人が相続放棄すれば、相続人は妻と相続放棄をしなかった子の2人になります。
この場合、被相続人の兄弟姉妹や甥姪(代襲相続人)に相続権が移ることはありません

したがって、家庭の事情や債務の有無などに応じて、「全員で遺産分割協議を行うのがよいのか」、「一部の子が相続放棄した方がよいのか」といった判断を慎重に行う必要があります。


相続放棄・遺産分割の判断に迷ったら

相続人の一部(または全員)が相続放棄をすべきかどうかは、被相続人の資産・債務の状況、家族関係などを総合的に検討して判断する必要があります。判断を誤ると、意図しない人物に相続権が移ってしまうこともありますので、まずは専門家へご相談ください。


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4.まとめ ~妻に全財産を相続させるために~

夫が亡くなったときに、「妻に全財産を相続させたい」というご相談は多くあります。
しかし、その方法を誤ると、意図しない相続人(甥や姪など)に相続権が移ってしまうことがあります。

妻に財産を相続させるための正しい方法

方法内容注意点
遺産分割協議を行う妻と子全員で「妻がすべて相続する」旨の協議を行い、遺産分割協議書を作成する。最も一般的で安全な方法。相続放棄は不要。
一部の子のみが相続放棄する一部の子が家庭裁判所で相続放棄を行い、残る妻と子が相続人となる。被相続人の債務がある場合や家族構成によっては有効。長男が事業を承継する場合なども。
全員が相続放棄する妻・子全員が相続放棄した場合、甥や姪など後順位の相続人に権利が移る。意図しない相続人が発生するリスクがあるため注意。

相続放棄と遺産分割の違いを理解することが大切です

  • 相続放棄:家庭裁判所での手続きにより、最初から相続人でなかったものとみなされます。
  • 遺産分割協議:相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決定する手続きです。

目的が「妻に全財産を相続させること」である場合、多くのケースでは相続放棄ではなく、遺産分割協議によって対応するのが適切です。


専門家に相談するメリット

相続放棄や遺産分割協議の意味を正しく理解しないまま手続きを進めたり、どの方法を選択すべきか誤って判断したりすると、意図しない人物が相続人となり、後々のトラブルに発展するおそれがあります。

早い段階で専門家に相談することで、「誰が相続人になるのか」「どの手続きが最も適切か」を正確に判断することができます。
また、「費用はいくらかかるのか」も明確になるため、無駄な手間や出費を防ぐことができます


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関連情報

相続放棄の申述受理申立て
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