夫の遺産を全て妻が相続するには(子の相続放棄?) | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

夫が亡くなり、相続人は妻と3人の子。夫の両親、兄弟姉妹は既に他界している。子供たちは全員が結婚し家庭を持っていることもあり、父親の遺産を相続する必要は無い。 上記のケースで妻に全ての遺産を相続させるためには。

夫の遺産を全て妻が相続するには(子の相続放棄?)

子の全員が相続放棄した場合、後順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹など)に該当する人がいれば、その後順位者が相続人になります。

たとえば、「妻に全財産を相続させるために、子の全員が相続放棄したはずなのに、亡夫の兄弟姉妹が新たな相続人になってしまった」ということもあるわけです。

そこで、妻に全財産を相続させるのが目的ならば、子の全員が相続放棄するのではなく、法定相続人である妻と子の全員により遺産分割協議をおこなうのが通常です。

この記事では、相続放棄や遺産分割協議について解説していますが、上記のような想定外の事態を招くことの無いよう、相続手続きをする際には、最初から専門家に相談して進めていくようにすべきです。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続手続き(遺産分割協議、相続放棄、相続放棄)のご相談をうけたまわっています。ご相談は予約制なので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。


子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか

(最終更新日:2024年7月5日)

夫が亡くなり、相続人は妻と3人の子です。また、夫の両親、兄弟姉妹はすでに他界しています。子たちは全員が結婚し家庭を持っていることもあり、父の遺産を相続する必要はありません。上記のケースで妻に全ての遺産を相続させるためには、子たち3人の全員が相続放棄をすればよいのでしょうか?

まず、子たちが相続放棄しない場合の相続関係は次のとおりであり、被相続人の配偶者(妻)と子3人の合計4人が相続人となっています。ここで、妻が全財産を相続するためにはどうすべきかという質問です。

子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか

子が相続放棄すれば配偶者が全て相続できるのか(目次)
1.子が相続放棄すると誰が相続人になるのか
2.相続人全員で遺産分割協議をするのが通常です
3.子の一部が相続放棄する方法もあります


1.子が相続放棄すると誰が相続人になるのか

相続放棄とは家庭裁判所でおこなう手続きです。家庭裁判所へ相続放棄の申述をして、それが受理された場合には、その相続に関しては最初から相続人ではなかったものとみなされます。

今回の例でいえば、子たちの全員が相続放棄すれば、その子たちは最初から父の相続人ではなかったものとみなされることとなるわけです。

それでは、子たち3人の全員が相続放棄をすれば、妻がすべての遺産を相続できるようになるかといえば、そうとは限りません。相続人が相続放棄した場合には、次順位の相続人に相続権が移るからです。

本件では、夫の両親(直系尊属)、兄弟姉妹はすでに他界しているとのことですが、先に死亡している兄弟姉妹に子(被相続人の甥、姪)がいる場合には、その甥、姪が、その兄弟姉妹を代襲して相続人となります

つまり、子たちの全員が相続放棄してしまった場合には、被相続人の配偶者(妻)と一緒に、被相続人の甥、姪が相続人になるわけです。

下の図のとおり、子3人の全員が相続放棄したことで、被相続人の亡兄の子が相続人になるということです。

配偶者にすべて相続させたいと思って、子たちの全員が相続放棄したはずが、望んでいたのとまったく違う結果を招いてしまうことになるので注意が必要です。

子の全員が相続放棄したことで甥(姪)が相続人に

なお、夫の両親、兄弟姉妹がすでに死亡しており、さらに兄弟姉妹に子供がいない(または、すでに死亡している)場合には、子たちの全員が相続放棄をすれば妻がすべて遺産を相続することになります。

2.相続人全員で遺産分割協議をするのが通常です

今回の質問のとおりの相続関係の場合で、妻に全財産を相続させようとするときには、子が相続放棄するのではなく、被相続人の配偶者および子の全員により遺産分割協議をするのが通常です。

遺産分割協議とは、被相続人の遺産をどのように分けるのか、相続人の全員により話し合いをおこなうことをいいます。

今回のようなケースであれば、被相続人の妻および子3人が合意することにより、被相続人の妻が全財産を相続するとの協議を成立させることになります。

そして、「妻が全財産を相続する」との内容の遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名および実印により押印します。この遺産分割協議書により、妻が不動産や預貯金のすべてを相続できることになるので、相続放棄の手続きをする必要はありません。

相続放棄をする必要があるのは、通常は被相続人が多額の債務(借金)を抱えていた場合などに限られます。妻が全財産を相続するとの遺産分割協議を成立させたとしても、被相続人に債務があった場合、子たちはその支払い義務から逃れることはできません。

そこで、被相続人の債務を引き継がないようにするためには、相続放棄をする必要があるのです。

なお、相続放棄した子たちに子(被相続人の孫)がいたとしても相続権が移ることはありません。孫が代襲相続人となるのは、子が親よりも先に死亡している場合、相続の欠格事由に該当している場合、または、排除されている場合に限られるからです(民法887条)。

したがって、子が相続放棄した場合に、その子(被相続人の孫)が相続人になることはないわけです。

3.子の一部が相続放棄する方法もあります

3人いる子のうち、2人だけが相続放棄した場合には、相続人なるのは配偶者相続放棄しなかった子の2人となります。

被相続人にプラスもマイナスも多くの財産があるような場合に、たとえば、妻と長男だけが相続人となることで、他の子2人は債務を引き継がないようにするということもあります。

子の一部が相続放棄する方法もあります

上の図のように、子2人が相続放棄すれば、妻と相続放棄しなかった子の2人が相続人になります。これにより、被相続人の兄弟姉妹(またはその代襲者)に相続権が移るのを避けることができます。

相続人の全員による遺産分割協議をするだけで問題ないのか、相続人中の一部(または相続人の全員)が相続放棄した方がよいのか、どのようにすべきか判断できない場合などは、早急に専門家へ相談することをお勧めします。

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