嫁は義父(夫の父)の遺産相続権があるのか | 松戸駅1分の高島司法書士事務所

養子縁組をしている場合を除き、子の配偶者には義父の遺産を相続する権利は一切ありません。嫁から見た義父とは、配偶者である夫の父に過ぎません。そこに親子関係は存在しませんから、遺産を相続する権利もないわけです。

嫁は義父の遺産を相続できるのか

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(公開日:2014年1月10日、最終更新日:2019年6月25日)

(質問)
嫁いだ先の両親(義父、義母)と一緒に暮らしています。夫はすでに亡くなっていますが、長年同居していたこともあって、私が年老いた両親の世話をしています。義父が亡くなったときには、嫁である私にも遺産を相続する権利はあるのでしょうか?

(回答)
義父と養子縁組をしている場合を除き、ご質問者(以下、「嫁」と表記します)には、義父の遺産を相続する権利は一切ありません。

(2019/07/31 追記 )

民法(相続関係)の改正により、「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」の制度が出来ました(令和1年7月1日施行)。

これにより、相続人以外の被相続人の親族が、被相続人に対して無償で療養看護等をした場合に、相続人に対し特別寄与料の支払いを請求することができるようになっています。

この民法改正によって、「嫁は義父の遺産を相続できない」ことに変わりは無いものの、嫁が義父の介護などをしていたときには、相続人に対し特別寄与料の支払いを請求できる場合があることとなりました。くわしくは、「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)」をご覧ください。

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)


嫁は義父の遺産を相続できるのか(目次)
1.嫁に相続権はありません
2.嫁の寄与分は認められる?
3.嫁に相続財産を引き継がせる方法

なお、現在の法律(民法)においては、結婚により夫の名字を使用し、さらに夫の両親と同居したとしても、相手の家に嫁入りするという表現は適切でありません。しかし、ご質問者が嫁という表現を使われていたこともあり、話を分かりやすくするためにあえてこのページでは「嫁」との表現を使用しています。

1.嫁に相続権はありません

嫁から見た義父とは、配偶者である夫の父(直系尊属)に過ぎません。そこに親子関係は存在しませんから、遺産を相続する権利もありません。

たとえば、義父が亡くなったときに、義母が土地や家などの遺産を相続したとします。その後も、嫁と義母の二人で暮らしていたとして、義母が亡くなったときにはどうなるでしょうか?

法律的に言えば当然の話なのですが、嫁(子の配偶者)には遺産相続権がありませんから、義母の法定相続人がすべての遺産を相続することになります。

まずは、義母に子(質問者からすると、夫の兄弟姉妹)がいれば、その子たちがすべての遺産を相続します(第1順位相続人)。

ただし、質問者とその夫の間に子がいれば、その子が亡父に代わって相続人の一人となります(これを「代襲相続」といいます)。この場合は、嫁である自分の子が相続することになるわけですから、何も相続できない場合よりはだいぶマシかもしれません。

相続人となる子(または、その代襲相続人)がいない場合、義母に兄弟姉妹(または、その代襲相続人)がいれば相続人となります。つまり、義母の甥や姪に全ての相続権がいくこともあるのです。そうなれば、嫁は、義母が所有していた不動産に対して一切の権利を持ちませんから、とても不安定な立場に置かれます。

2.嫁の寄与分は認められる?

被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献をした人に対し、本来の法定相続分を超える相続分を与えようとする寄与分の制度があります。

しかし、寄与分が認められるのは相続人であることが前提ですから、相続人ではない嫁(子の妻)に寄与分が認められることはありません。どんなに義父母のために貢献したとしても、そもそも相続人でないわけですから、財産を相続する権利を持つことはありません。

(寄与分)民法904条の2第1項
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持またや増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

3.嫁に相続財産を引き継がせる方法

もしも、嫁が、義母の養子であったならば、第1順位の相続人として遺産相続権を持つことになります。けれども、夫婦が結婚するときに相手方の両親と養子縁組するというのであればまだしも、歳を取ってから嫁と義母が養子縁組するというケースはあまりないと思われます。

そこで、これから採れるべき手段としては、義理の両親(義父、義母)に遺言書を作成しておいてもらうことが考えられます。遺言書によって、嫁(子の妻)に財産を遺贈するのです(くわしくは、相続人でない人に財産を残すための遺贈をご覧ください)。

それでも、相続人から遺留分の主張をされることもあり得ますが、遺産に対して全く何の権利も無いよりは遙かにマシです。さらに、遺言書でハッキリとした意思表示をしている以上、長年に渡って両親と同居してきた嫁が遺贈を受けることに異議を唱えることは少ないでしょう。

繰り返しになりますが、養子縁組をしておらず、遺贈も受けていなかったとすれば、嫁は義父母の遺産に対して一切の権利を持ちません。世話になっている義父(義母)としては、自分の遺産を誰が相続することになるのか、責任を持って考え対策をするべきでしょう。

遺言書の作成については、千葉県松戸市の高島司法書士事務所へご相談ください。

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