遺言書の作成例(前妻との間の子が相続人となる場合)
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遺言書の作成例 | 前妻との間の子が相続人となる場合
(最終更新日:2026年9月30日)
離婚した前妻・前夫は、元配偶者の相続人にはなりません。しかし、両親が離婚しても子の相続権は失われないため、前妻・前夫との間に生まれた子も相続人となります。
再婚している場合には、現在の配偶者や再婚後の子とともに、前妻・前夫との子も相続人となります。そのため、遺産分割協議をする際には、その子も含めた相続人全員で話し合う必要があります。
相続人同士の交流が少ない場合や、財産の分け方について意見が分かれる可能性がある場合には、誰にどの財産を相続させるかを、遺言書で具体的に定めておくことが特に重要です。
ただし、前妻・前夫との子にも遺留分があるため、遺言書を作成する際には、その点にも配慮する必要があります。
このページでは、前妻との間に長男、現在の妻との間に長女がいる場合を例に、遺言書の条項例と注意点を説明します。前夫との間に子がいる場合も、基本的な考え方は同じです。
このページで取り上げる事例
相続人と財産の内容を、次のとおりとします。
| 相続人 | 遺言者との関係 |
|---|---|
| 妻 | 現在の配偶者 |
| 長男 | 前妻との間に生まれた子 |
| 長女 | 現在の妻との間に生まれた子 |
| 財産 | 相続開始時の価額 |
|---|---|
| 自宅の土地・建物 | 2,000万円 |
| 預貯金 | 2,000万円 |
| 合計 | 4,000万円 |
以下では、遺留分の計算に影響する生前贈与や債務などはなく、遺留分算定の基礎となる財産額も4,000万円であるものとして説明します。
なお、掲載する文例は遺言書の一部となる条項例です。実際の作成時には、家族関係や財産の内容に応じた調整のほか、遺言の方式に応じた記載が必要です。
遺言書の作成例 | 前妻との間の子が相続人となる場合【目次】
2-1.長男の遺留分に配慮した財産の配分
2-2.長男に500万円、長女に残りの預貯金を相続させる条項例
1.妻と再婚後の子に相続させる遺言
1-1.不動産を妻に、預貯金を長女に相続させる条項例
自宅の土地・建物を妻に、預貯金の全部を長女に相続させる場合は、次のように定めます。
第1条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を妻○○(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
記
1.土地
所在 松戸市松戸本町
地番 100番1
地目 宅地
地積 100.00平方メートル
2.建物
所在 松戸市松戸本町100番地1
家屋番号 100番1
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 50.00平方メートル
2階 40.00平方メートル
第2条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の全てを長女○○(平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
不動産の表示は、登記事項証明書に記載されているとおりに記載します。上記の所在地や地番などは、説明のための例です。
このように財産の取得者を定めておけば、原則として、その財産について相続人全員による遺産分割協議を経ずに、相続登記や預貯金の相続手続きを進めることができます。
ただし、この条項例では、前妻との長男は財産を取得しないため、長男の遺留分への対応を検討する必要があります。
1-2.長男から遺留分侵害額請求を受ける可能性
子には遺留分があります。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、遺産の最低限の取り分です。
本例の長男の遺留分は、次の計算により500万円となります。
4,000万円 × 2分の1 × 長男の法定相続分4分の1 = 500万円
そのため、長男に何も相続させない内容の遺言書を作成した場合、長男は、財産を取得する妻や長女に対して、遺留分を侵害された額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
現在の制度では、遺留分侵害額請求は金銭の支払いを求めるものです。請求があったことによって、妻が取得した自宅不動産が当然に長男との共有になるわけではありません。
もっとも、妻が金銭の支払いを負担することになった場合、手元に十分な預貯金がなければ、支払資金を確保する必要があります。したがって、自宅を妻に相続させることだけでなく、遺留分の支払いを誰が負担するかも検討しておくことが大切です。
1-3.遺留分侵害額を長女に負担させる条項例
本例では、長女が2,000万円の預貯金を取得するため、長男に対する遺留分侵害額の支払いを長女に負担させることが考えられます。
民法では、複数の人が遺言によって財産を取得する場合の遺留分侵害額の負担について、遺言者が遺言で別段の意思を表示することを認めています(民法第1047条第1項第2号ただし書)。これに基づき、次のような条項を加える方法があります。
第3条 遺言者は、長男○○(昭和○○年○○月○○日生)から遺留分侵害額請求があった場合、その遺留分侵害額の全部を長女○○に負担させるものと定める。
この条項は、長男の遺留分をなくすものではなく、遺留分侵害額の支払いを長女に負担させる趣旨です。
本例では、長女が取得する預貯金から長男への支払いに対応することを想定しています。ただし、負担額には法律上の限度があるため、取得する財産の価額や長女自身の遺留分なども踏まえて定める必要があります。
遺言書の作成後に預貯金が大きく減少した場合などには、当初想定したとおりの対応が難しくなることもあります。財産の内容や家族の状況が変わったときには、遺言書を見直すことも大切です。
2.前妻との間の子にも相続させる遺言
2-1.長男の遺留分に配慮した財産の配分
前妻との長男にも、あらかじめ遺留分に相当する財産を相続させる方法があります。
本例では、長男の遺留分相当額は500万円です。そこで、次のように財産を配分することが考えられます。
| 相続人 | 相続させる財産 |
|---|---|
| 妻 | 自宅の土地・建物(2,000万円) |
| 長男 | 預貯金のうち500万円 |
| 長女 | 残りの預貯金(1,500万円) |
この配分であれば、本例の前提では、妻・長男・長女のいずれについても遺留分を侵害しません。
長男に一定の財産を相続させることを遺言書で明確にしておくことで、相続開始後に遺留分の請求や支払いを巡る争いが生じる可能性を減らすことが期待できます。
2-2.長男に500万円、長女に残りの預貯金を相続させる条項例
不動産を妻に相続させる条項は、前記「1-1」の第1条と同様とし、預貯金については次のように定めます。
第2条 遺言者は、遺言者の有する預貯金のうち金500万円を、長男○○(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、前条により長男○○に相続させる分を除く預貯金の全部を、長女○○(平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
実際の作成時には、預貯金口座の数や残高などに応じて、対象となる金融機関・支店・預金種別・口座番号を特定する方法もあります。
また、500万円という金額は、このページの事例を前提に計算したものです。遺留分は相続開始時の財産の価額などを基に算定するため、遺言書作成時に500万円で足りていても、相続開始時にも足りるとは限りません。
たとえば、自宅不動産の価額が上昇した場合や、その他の財産が増加した場合には、長男の遺留分相当額も変わる可能性があります。反対に、預貯金が減少すれば、指定した金額を預貯金から取得させることが難しくなることもあります。
遺言書の内容は、財産の変動も考慮しながら検討することが大切です。
2-3.遺言執行者と、その他の財産について
預貯金を払い戻し、遺言書で定めた内容に従って各相続人へ分配する場合には、その手続きを担う遺言執行者を指定しておくことが有効です。
遺言執行者には、相続人のほか、司法書士などの専門家を指定することもできます。特に、相続人同士の交流が少ない場合には、誰が手続きを進めるのかをあらかじめ決めておくことが、円滑な相続手続きにつながります。
また、不動産と預貯金以外にも、現金、有価証券、自動車などの財産がある場合には、それらの取得者も定めておく必要があります。遺言書に記載しなかった財産について遺産分割協議が必要になることを避けるため、その他の財産を誰に相続させるかについても検討しておくとよいでしょう。
3.遺言書作成のご相談について
千葉県松戸市の高島司法書士事務所では、公正証書遺言の作成支援をはじめ、相続登記(不動産の名義変更)や遺産分割協議書の作成などのご相談を承っています。
前妻・前夫との間に子がいる場合には、現在のご家族の生活に配慮するとともに、それぞれの相続人の遺留分や、相続開始後の手続きも考慮して遺言書を作成することが大切です。当事務所では、家族関係や財産の内容、ご本人のご希望を伺いながら、遺言書の内容を検討するお手伝いをいたします。
当事務所へのご依頼を検討されている方を対象に、初回の来所相談を無料で承っています。ご相談では、手続きの流れや必要書類をご説明し、ご依頼いただく場合の費用のお見積もりをご案内します。ご相談終了後には、お見積もり書を持ち帰って、依頼するかどうかをご検討いただけます。
ご相談には、司法書士高島一寛が直接対応いたします。ご相談は完全予約制ですので、お電話または「ご相談予約・お問い合わせ」のページから事前にご予約ください。
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公正証書遺言の作成も司法書士にご相談ください。公証人との打ち合わせ、立会証人の用意も司法書士におまかせいただけます。
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