配偶者(夫、妻)の死亡により姻族関係は終了するのか | 松戸市の高島司法書士事務所

離婚したときは配偶者の血族との姻族関係は終了しますが、夫婦の一方が死亡したときには姻族関係が継続するのが原則です。たとえば、夫が死亡した場合でも残された妻と舅(しゅうと)姑(しゅうとめ)との姻族関係は続くわけです。

配偶者の死亡により姻族関係は終了するのか

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死後離婚という場合、配偶者が亡くなった後に、配偶者の血族(父母)との姻族関係を終了させることを指していることが多いです。

この手続きは、姻族関係終了届を本籍地(または、住所地)の市区町村に提出するだけなので、専門家に依頼する必要はなく、届出人がご自分ですることが出来ます。

なお、この記事は高島司法書士事務所(千葉県松戸市)が作成したものですが、当事務所では姻族関係終了届についてのご相談はうけたまわっておりません。

1.死後離婚とは

2.姻族関係の終了とは

2-1.姻族関係終了届

2-2.誰が扶養義務を負うのか

2-3.配偶者との死別後に再婚した場合の姻族関係

3.相続手続きのご相談

1.死後離婚とは

近年、死後離婚(しごりこん)という言葉が話題になることが多くなっているようです。

最初に確認しておくと、婚姻中の夫婦の一方が死亡すると婚姻関係は解消されるので、配偶者の死後に離婚をすることはできません。

そのため、死後離婚という場合、配偶者の死後に、配偶者の血族との姻族関係を終了させるためにおこなう、「姻族関係終了届」の提出を指していることが多いと思われます。

姻族関係を終了させることにより、姻族関係に関しては死亡した配偶者と離婚したのと同様の効果が生じるとの意味合いにより、死後離婚との表現が使われるようになったのでしょう。

また、「配偶者が亡くなったら 独身なのか?」とのご質問を受けることがありますが、独身とは「配偶者のいないこと」をいいますから、配偶者と死別した人も独身であることになります。

配偶者の死亡により自動的に独身になるのですから、独身になるために配偶者の死後に離婚をする必要はありませんし、そのような手続きも存在しないわけです。

なお、「未婚」とは、結婚した経験がない場合をいいますから、配偶者と死別または離別して独身となった人は未婚ではありません。つまり、独身であるが、未婚ではないということです。

2.姻族関係の終了とは

姻族(いんぞく)とは、婚姻によって発生する親族関係のことをいいます。結婚することにより、配偶者(結婚相手)の父母などとの間で姻族関係が生じるわけです。そして、民法では3親等までの姻族を親族(しんぞく)の範囲としています。

民法第725条 次に掲げる者は、親族とする。

一 六親等内の血族

二 配偶者

三 三親等内の姻族

2-1.姻族関係終了届

それでは、婚姻により発生した姻族関係はいつ終了するのでしょうか?

まず、離婚をした場合、配偶者の血族(父母など)との姻族関係は終了します。離婚をすれば夫婦の縁が切れるわけですから、夫の父母などとの関係も切れるのは当然だといえます。

しかし、夫婦の一方が死亡したときには、配偶者の血族(父母など)との姻族関係はそのまま続くのが原則です。たとえば、夫が死亡した場合でも、残された妻と、舅(しゅうと)姑(しゅうとめ)との姻族関係は続くわけです。

そこで、生存配偶者が姻族関係を終了させたいと考えるときは、「姻族関係終了届」を届出人の本籍地か所在地(住所地)の市区町村に出します。姻族関係終了届の提出には期限がありませんから、望んだときにいつでも手続きをすることができます。

姻族関係を終了するにあたって、姻族の同意を得る必要はありません。家庭裁判所の許可なども不要で、市町村への届出のみで手続きは済みますから、法律専門家に相談や依頼する必要も通常はありません。

また、姻族関係を終了させても、夫婦であったことには変わりありませんから、死亡した配偶者の遺産を相続する権利を失うこともありません。

(離婚等による姻族関係の終了)

民法第728条 姻族関係は、離婚によって終了する。

2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

2-2.誰が扶養義務を負うのか

通常はあえて姻族関係を終了させる必要はないはずですが、姻族関係があるままだと舅や姑の扶養義務を負う可能性があることは知っておいてもよいでしょう。

扶養義務を負うのは直系血族および兄弟姉妹であるのが原則です。直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養義務を負います(民法877条1項)。

ただし、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる(同条2項)」とされています。

三親等内の親族に扶養義務を負わせ、扶養料の支払いを求めるときは、家庭裁判所へ「扶養義務の設定の申立て」をします。

そして、家庭裁判所が「特別の事情」があると判断する場合には、扶養義務を設定する審判がなされますが、この特別の事情の存否についての判断は厳格におこなうものとされています。

特別な事情があるとされる具体的な例としては、かつて特別な経済援助を受けていたことがあるとか、扶養を求める相手方が、申立人が受けるべき遺産を単独で相続している場合などが考えられます。

2-3.配偶者との死別後に再婚した場合の姻族関係

姻族関係終了届を出さない限り、配偶者との死別後に再婚をしたとしても、前配偶者の血族との姻族関係は終了しません。

それによって問題が生じることはあまり考えられませんが、複数の姻族関係が生じている状態となります。したがって、前配偶者の両親などに対する扶養義務を負うことも法律上はあり得るわけです。

3.相続手続きのご相談

この記事(配偶者の死亡により姻族関係は終了するのか)を作成した、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続登記などの不動産登記や、相続手続きのご依頼やご相談をうけたまわっています。

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