日付のない遺言書は有効か
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(公開日:2013年10月20日)
【質問】
父母と兄弟で相続について話し合い、私が自宅の土地と建物を相続するという事が決まりました。そこで、父が遺言書をその場で書き、みんなで確認したうえ私が保管をしていました。ところが、父の死後遺言書を見てみると、作成の日付がありませんでした。この遺言書は有効でしょうか?
【解答】
自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、押印する必要があります。そして、この要件のどれか一つでも欠ければ無効となります。この質問の場合、日付が入っていませんので自筆証書遺言としては、無効となります。遺言が無効の場合、対象財産は相続人全員の共有となります。
なぜ日付がこれほど大切かというと、遺言は何度でもすることができますので、最も新しいものが有効となり、古いものは無効になります。例えば、同じ不動産をAに譲ると書かれたものと、Bに譲ると書かれたもの、二つの遺言が見つかった場合、日付の新しいものだけが有効になります。日付が確定されれば良いので、「還暦の日」という記載は有効とされました。しかし、「七月吉日」という記載は、日付がハッキリ定まらないため無効とされました。また、遺言は満15歳以上でなければすることができません。遺言をした時点で、年齢条件を満たしているか確認のためにも日付が必要となります。
遺言書が無効だとしても、この場合話し合いがもたれています。このような場合は、「死因贈与契約」が成立していると思われます。死因贈与契約とは、遺言者が死んだら財産を贈与する契約のことです。死因贈与契約は、必ずしも書面にする必要はなく、口頭ですることもできます。ただし、合意があったことを証明する必要があります。書面の場合、筆跡などで本人が書いたものだとわかることもあります。したがって、この場合も遺言書としては無効でも、死因贈与契約の書面としては認められる可能性があります。口頭での約束の場合、証人がいれば合意が証明されます。家族みんなで話し合っているので、口頭での合意も認められる可能性があるでしょう。
このように、無効の遺言書であったとしても、死因贈与契約が成り立つ余地はあります。とはいえ、相続のために遺言書を書く場合、(1)全文を自分で書く、(2)作成日付の記載、(3)署名捺印、この3つをしっかり守るべきでしょう。
司法書士からの一言
ご質問のケースでは、遺言書自体の効力は認められないとしても、相続人全員の合意にもとづいて遺言書を作成しています。そこで、相続人全員によって遺産分割協議書を作成すれば、問題なく相続登記がおこなえます。
ただし、相続が開始した後になって、一部の相続人が手続きに協力しないこともあるでしょう。家族での話し合いの時には何も異議を述べていなかったのが、いざ相続が開始してみると自分の権利を主張し出すのは良くある話です。相続人本人にはそのような意思はなかったとしても、配偶者やその他の親族が口を出すこともあります。
そのような場合には、コラムにあるように死因贈与契約の成立を主張することも考えられます。ただ、これも他の相続人が合意しなければ、結局は裁判所で決着を付けるしかなく、相続人間の人間関係が壊れてしまう可能性が高いです。
やはり、遺言書を作成するからには間違いのないものにすべきです。質問のケースでは、自筆証書遺言を作成したのだと思われますが、封をする前に専門家(司法書士、弁護士)の確認を受けるようにすれば、このような問題が生じることはなかったでしょう。
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