遺産分割協議書への押印後に死亡した相続人がいる場合の相続登記
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遺産分割協議書への押印後、死亡した相続人がいる場合の相続登記
(最終更新日:2026年10月15日)
相続人全員による遺産分割協議が成立し、協議書に署名押印をした後、相続登記をする前に相続人の1人が亡くなることがあります。この場合でも、いったん有効に成立した遺産分割協議は、相続人が亡くなったことによって効力を失うものではありません。
亡くなった相続人の印鑑証明書を生前に取得していれば、その遺産分割協議書と印鑑証明書を使用して相続登記を進めることができます。また、印鑑証明書がない場合には、亡くなった相続人の相続人全員が、遺産分割協議が真正に行われたことを証明する方法があります。
遺産分割協議書への押印後、死亡した相続人がいる場合の相続登記【目次】
1.生前に取得した印鑑証明書がある場合
2.死亡した相続人の印鑑証明書がない場合
3.証明書の記載例と添付書類
4.相続登記の申請期限にもご注意ください
1.生前に取得した印鑑証明書がある場合
遺産分割協議による相続登記では、協議の内容を記載した遺産分割協議書と、その作成の真正を担保するための印鑑証明書などを提出します。
相続人全員が協議書に署名押印をした後、そのうちの1人が亡くなった場合でも、生前に取得した印鑑証明書が残っていれば、その印鑑証明書を使用することができます。本人が亡くなったことだけを理由として、協議書を再度作成したり、印鑑証明書を取り直す必要はありません。
また、相続登記の際に遺産分割協議書に添付する印鑑証明書には、「発行後3か月以内」といった期限の制限はありません。そのため、取得から年月が経過している印鑑証明書でも、協議書に押された印鑑についての証明書であれば使用できます。
2.死亡した相続人の印鑑証明書がない場合
2-1.亡くなった相続人の相続人全員が証明します
遺産分割協議書に署名押印をしていても、印鑑証明書を取得する前に本人が亡くなってしまうと、その人の印鑑証明書を新たに取得することはできません。
この場合には、亡くなった相続人の相続人全員が、遺産分割協議が真正に行われた旨の証明書を作成し、印鑑証明書を添付することで、作成済みの遺産分割協議書を使用して相続登記をすることができます。
証明書は、成立済みの遺産分割協議と、その協議書が真正に作成されたことを証明するためのものです。相続人が亡くなったことだけを理由として、遺産分割協議をやり直す必要はありません。
2-2.妻が遺産分割協議書への押印後に亡くなった場合の例
次のような相続関係を例に説明します。

夫(甲)が亡くなり、相続人である妻(乙)、子(A)、子(B)の3人で遺産分割協議を行いました。
その結果、甲名義の不動産をAが単独で取得することが決まり、3人全員が遺産分割協議書に署名し、実印で押印しました。ところが、乙の印鑑証明書を取得しないまま、相続登記をする前に乙が亡くなってしまいました。
ここでは、乙の相続人もAとBの2人だけであるものとします。
この場合、AとBが「乙の相続人」として、乙の生前に遺産分割協議が成立し、協議書が真正に作成されたことを証明します。
AとBは、もともと甲の遺産分割協議に参加した相続人でもありますが、この証明書では、亡くなった乙の相続人という立場で証明をすることになります。
3.証明書の記載例と添付書類
3-1.証明書の記載例
上記の事例で作成する証明書の記載例は、次のとおりです。
証明書
被相続人甲(平成25年3月15日死亡)の遺産については、同人の相続人である乙、A及びBの全員により遺産分割協議が成立し、平成○年○月○日付けの別紙遺産分割協議書を作成しました。
その後、相続人乙が平成26年4月25日に死亡したため、同人の印鑑証明書を添付することができません。
私たちは、乙の相続人全員として、上記遺産分割協議が乙の生前に真正に成立し、上記遺産分割協議書が乙、A及びBによって真正に作成されたことを証明します。
令和○年○月○日
相続人乙の相続人
住所 千葉県松戸市松戸本町○○番地
氏名 A (実印)
相続人乙の相続人
住所 千葉県松戸市松戸本町○○番地
氏名 B (実印)
上記の死亡日は、掲載している相続関係図に合わせたものです。実際に作成する際には、被相続人や相続人の氏名、死亡日、遺産分割協議書の日付などを、戸籍や協議書の記載に合わせて正確に記入します。
3-2.証明書にはA・B双方の印鑑証明書を添付します
この証明書には、乙の相続人であるAとBの双方が署名し、実印で押印したうえで、それぞれの印鑑証明書を添付します。
証明書を作成しただけで、相続登記に必要な書類がすべてそろうわけではありません。作成済みの遺産分割協議書のほか、甲と乙の相続関係を証する戸籍謄本等や、その他の登記申請に必要な書類も用意します。
乙にA・B以外の相続人がいる場合には、その人も含め、乙の相続人全員による証明が必要です。
4.相続登記の申請期限にもご注意ください
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書に期限の制限がなくても、相続登記には申請期限があります。
2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが義務付けられています。また、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その内容に応じた登記を申請する義務もあります。
2024年4月1日より前に相続による不動産の取得を知っていた場合も対象となり、相続登記が済んでいなければ、原則として2027年(令和9年)3月31日までに申請する必要があります。
古い遺産分割協議書や印鑑証明書が手元にある場合にも、その内容を確認し、早めに相続登記を進めることをお勧めします。
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これまでに当事務所が取り扱った相続登記の申請件数は1,400件を超えています(司法書士高島一寛が代理人として登記申請をした、2002年2月の事務所開業から2025年12月末までの、相続を原因とする所有権移転登記の申請件数の実績)。
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