被相続人の住民票除票等が取れない場合の相続放棄
(最終更新日:2025年8月1日)
家庭裁判所へ相続放棄の申述をする際には、被相続人の最後の住所が記載されている住民票除票(または、戸籍等の附票)を提出する必要があります。
このページでは、市区町村などの保存期間経過により住民票除票等が取得できない場合の必要書類のほか、被相続人の最後の住所が不明な場合についての調査方法などについても解説しています。
当事務所で実際に取り扱ったケースをもとに書いていますが、これとは違う取り扱いがされる場合などもあると思われるので、手続きをおこなう際には請求先の市町村、法務局などへ事前に確認するようにしてください(このページの記載について当事務所では一切の責任を負いかねますし、また、記載内容についての電話やメールによるお問い合わせは受け付けていません)。
高島司法書士事務所(千葉県松戸市)への相続放棄手続きのご相談、ご依頼については、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。
被相続人の住民票除票等が取れない場合の相続放棄
1.被相続人の住民票除票が取れない場合の相続放棄
家庭裁判所へ相続放棄の申述をする際には、被相続人の最後の住所が記載されている住民票除票(または、戸籍等の附票)を提出する必要があります。
しかしながら、被相続人の死亡から長期間が経過している場合には、市区町村などの保存期間経過により住民票除票(または、戸籍等の附票)を発行してもらえないことがあります。
相続放棄に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する(家事事件手続法201条1項)とされているので、被相続人の最後の住所を証明する書類がない状態では、管轄裁判所も決まらないことになります。
相続が開始した地を証明する書類となるのは、住民票除票、戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票のみですが、これらに代わる資料として、家庭裁判所から死亡届記載事項証明書の提出を求められることがあります。
2.死亡届記載事項証明書の請求先、保存期間
死亡届など戸籍届書類の記載事項証明書の請求先は、届出をした時期によって、本籍地の市区町村を管轄する法務局、または届出した市区町村もしくは本籍地の市区町村となります。
東京法務局による「戸籍届書類の記載事項証明書の交付請求について」のページには『平成27年1月1日から令和6年2月29日までに届出された東京都内に本籍を有する方に係る届書類の記載事項証明書の請求窓口は、本籍地の市区町村を管轄する法務局(又はその支局)となります。』との記載があります。
なお、各法務局のウェブサイトの記述によれば、届書の保存期間は27年となっているところもあります(戸籍法施行規則49条2項)。しかし、東京法務局では平成27年1月1日よりも前に届出された死亡届記載事項証明書については廃棄されてしまっているようです(東京法務局を含め、届書の保存期間などについては、請求先の法務局等へ直接確認するようにしてください)
死亡届記載事項証明書が廃棄されてしまっている場合、法務局から廃棄済の証明書の交付を受けることができます。以前に交付を受けた法務局支局長による「戸籍届書記載事項証明書の請求について」との表題の書面によれば、死亡届については、戸籍法施行規則第49条の2に定める保存期間を経過し、廃棄処分済みであるため、記載事項証明書を交付することができません」との記載がありました。
3.戸籍届書類の記載事項証明書の交付請求の方法
戸籍届書類の記載事項証明書を請求できるのは、「利害関係人」であり、かつ「特別の事由」があると認められる人に限られています
利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる(戸籍法48条2項)
「利害関係人」については、届出事件本人の親族も含まれるので、相続放棄の申述人であれば利害関係人に当たるでしょう。
また、「特別の事由」については、上記の東京法務局ホームページによる解説では「戸籍又は除籍に記載されていない届出事項で、届書類及びその添付書類の閲覧又は証明を得なければ判明しない事項であって、これを利用しなければ、利害関係人として意図する権利行使ができない場合」をいうとされています。
上記ページの例示に、相続放棄をする場合との記載はありませんが、東京法務局府中支局戸籍課に問合せした際には、特別の事由に該当すると考えて差し支えないとのことでした。
戸籍届書類の記載事項証明書の交付請求の必要書類(東京法務局の場合)
・届書記載事項証明書交付請求書
・委任状(代理人が請求する場合)
・利害関係人であることの確認書類
・特別の事由があることの確認書類
・請求者(代理人が請求する場合は代理人)本人であることの確認書類
・郵送で請求する場合は返信用封筒
特別の事情があることの確認書類については、相続放棄の手続きで家庭裁判所に提出するような場合には、交付請求書に請求理由や提出先を記載すれば、確認書類等の提出は求められませんでした。
東京法務局による「戸籍届書類の記載事項証明書の交付請求について」のページに交付請求書および委任状の様式と記載例や必要書類についての説明などがあります。他の法務局への請求する場合については、請求先の法務局などへ事前に確認するようにしてください。
4.住民票除票、戸籍附票等の保存期間
市区町村での住民票除票、戸籍等の附票の保存期間について、かつては消除または改製されたときから5年とされていました。そのため、被相続人の死亡から5年以上が経過しているときには、住民票除票、戸籍等の附票が取得できない場合が多くありました。
ところが、現在は保存期間が変更されており、平成26年(西暦2014年)6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間は5年から150年に延長されています。よって、現在では、被相続人が死亡したのが平成26年(西暦2014年)6月20日以降であれば、その後150年は住民票除票が取得できることとなっています。
なお、市町村によっては、平成26年(西暦2014年)6月20日より前に消除または改製されている場合であっても、住民票除票、戸籍等の附票が保存されています。また、戸籍(除籍)の附票の場合には、被相続人の死亡後でも同籍者がいる限り消除されないので、被相続人の死亡が平成26年(西暦2014年)6月20日より前であっても取得できる可能性があります。
平成26年(西暦2014年)6月20日より前に死亡している場合であっても、まずは請求先の市町村に住民票除票、戸籍等の附票が廃棄されているかを確認する必要もあるでしょう(家庭裁判所から、市区町村長による廃棄証明書の提出も求められることもあります)。
住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間の延長について
住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されました。ただし、同施行令の施行日が令和元年6月20日であるため、5年前の平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票については、すでに保存期間が経過しているため、適用の対象外となります。
5.相続放棄の管轄裁判所
相続放棄の申立ては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所に対しておこなう必要があります。
「相続が開始した地」とは、「被相続人の最後の住所」です。最後の住所が、東京23区内であれば東京家庭裁判所、また、千葉県松戸市・野田市・柏市・流山市・我孫子市・鎌ケ谷市の場合には千葉家庭裁判所松戸支部というように管轄裁判所が決まっています。
管轄裁判所については、裁判所による「裁判所の管轄区域」のページで確認することができます。
住民票除票、戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票、さらには、死亡届の記載事項証明書などの取得もできず、被相続人の最後の住所が不明であるようなときには、東京家庭裁判所が管轄となります。
・相続の承認及び放棄に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する(家事事件手続法201条1項)。
・この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する(家事事件手続法第7条)。
・法第7条の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする(家事事件手続規則第6条)。
6.最後の住所が不明な場合の調査方法
このページではおもに、市区町村などの保存期間経過により住民票除票、戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票が廃棄されていて交付が受けられない場合について書いています。
上記のような場合とは違い、被相続人と疎遠だったり交流が全くなかったため、最後の住所が分からない(どこに住んでいたのか分からない)というような場合には、被相続人の本籍がある市区町村で戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票を交付してもらうことにより最後の住所を知ることができます。
被相続人の最後の住所が分からないという場合には、被相続人の本籍も不明であるのが通常でしょう。
しかし、親族であれば戸籍を調査することにより、被相続人の最後の本籍を調べることは可能です。本籍が確認できたら、その市区町村で戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票を取ることにより、最後の住所が判明するわけです。
このような戸籍の調査を相続人ご自身がおこなうのは非常に難しいはずなので、専門家(司法書士、弁護士)に依頼して手続きを進めていくべきです。
なお、相続放棄の手続きを取り扱うことができる専門家は司法書士と弁護士だけです。よって、相続放棄のために戸籍の調査をすることができるのも、司法書士と弁護士のみとなります。
他の専門家(行政書士)などに相談しても、手続きを依頼することはできませんのでご注意ください。
相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)
相続放棄の申立ては、相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所へおこないます(相続放棄をする方の住所地を管轄する家庭裁判所ではありません)。
たとえば、相続開始地が千葉県松戸市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、野田市の場合には「千葉家庭裁判所松戸支部」、市川市、船橋市なら「千葉家庭裁判所市川出張所」、東京23区内であれば、千代田区霞ヶ関にある「東京家庭裁判所」となります。
ただし、家庭裁判所への相続放棄の申立ては郵送によりおこなうことも可能です。当事務所では、多数の相続放棄を取り扱っており豊富な経験と実績があるので、郵送による手続きでもまったく問題ありません。
したがって、全国どこの裁判所への申立てであっても、松戸の高島司法書士事務所へご依頼いただくことが可能ですし、裁判所が遠方だからといって追加費用がかかることもありません。
相続放棄のことなら何でも千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)にご相談ください。ご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。
ご相談は松戸駅1分の高島司法書士事務所へ
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