1人に相続分を集中させるための相続放棄はできる?
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相続人の1人に相続分を集中させるための相続放棄
(最終更新日:2024年10月24日)
1.相続放棄の理由について
2.相続分集中のための相続放棄と遺産分割協議の違い
3.後順位の相続人がいる場合に注意
1.相続放棄の理由について
相続放棄は、被相続人(死亡した人)が借金を抱えたまま無くなった場合に、その債務を引き継がないために利用されることが多い手続きです。
しかし、必ずしも債務がある場合にのみ、相続放棄をするわけではありません。たとえば、裁判所作成の、相続放棄申述書の書式には「放棄の理由」として次の6つが記載されています。
- 被相続人から生前に贈与を受けている。
- 生活が安定している。
- 遺産が少ない。
- 遺産を分散させたくない。
- 債務超過のため。
- その他
上記のいずれかを選択すれば、相続放棄の申述が絶対に受理されるという意味ではありませんが、債務超過以外の理由で相続放棄をすることもあるのがご理解いただけると思います。
2.相続分集中のための相続放棄と遺産分割協議の違い
上記のとおり、相続放棄は必ずしも、被相続人の債務を引き継がないためだけに利用される手続きではありません。
相続人中の1人に相続分を集中させるために、他の相続人が相続放棄をすることもできます。典型的な例としては、被相続人である父が営んでいた事業を子の1人が引き継ぐために、他の相続人が相続放棄する場合です。
相続放棄した人は、最初から相続人で無かったものとみなされます。したがって、上記の例で言えば唯一の相続人となった子が全ての財産を相続することになるわけです。
ただし、相続放棄の手続きをしなくても、次のような方法により財産を1人の相続人に集中させることが考えられます。
このような方法によっても、不動産やその他の財産の名義変更をすることが可能であり、相続分を集中させるとの目的を達成することができるのですが、被相続人に債務(マイナスの財産)がある場合には話が別です。
被相続人の債務は、法定相続人へその相続分に応じて引き継がれます。相続人間で、1人の相続人が全ての債務を相続するとの遺産分割協議を成立させたとしても、それをもって債権者に対抗することはできません。債権者の同意を得ることができなければ、相続人の間だけでの取り決めに過ぎないのです。
相続人中の1人が全てを相続するという場合、債務(借金)も含めた全てを承継すると考えるのが通常でしょう。そのため、債権と債務の全てを含めた一切の遺産を相続しないものとするには、家庭裁判所での相続放棄手続きをすることが必要なのです。
なお、遺産分割協議をおこなうことは、相続の法定単純承認事由にあたります。したがって、遺産分割協議をした後に続放棄をすることは出来ないのが原則です(遺産分割協議が無効である場合を除く)。
3.後順位の相続人がいる場合に注意
ここまでご説明してきたのは、被相続人の子のうちの1人に相続分を集中させるようなときについてですが、子の全員が相続放棄した場合には後順位者が相続人になることがあるので注意が必要です。
たとえば、被相続人の配偶者に全財産を相続させようと、子の全員が相続放棄したとします。この場合、被相続人に兄弟姉妹(または、その代襲者)がいれば、後順位者として相続人になります。
つまり、配偶者に全財産を相続させるつもりだったのが、被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲者)が新たに相続人になってしまうことになり、子たちが望んでいたのとはまったく違う結果になってしまいます。
したがって、被相続人に配偶者と子がいる場合に、配偶者に全財産を相続させるためには遺産分割協議によるべきです。もしも、相続放棄をしようと考えるときには、後順位者の存在について必ず検討しなければなりません。
相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)
相続放棄の申述受理申立は、相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所へおこないます(相続放棄をする方が住んでいる場所ではありません)。
たとえば、相続開始地が千葉県松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市の場合には千葉家庭裁判所松戸支部、市川市、船橋市なら千葉家庭裁判所市川出張所、東京23区内であれば東京家庭裁判所(霞ヶ関)です。
ただし、家庭裁判所への相続放棄申述受理の申立ては郵送によりおこなうこともできます。当事務所では、多数の相続放棄を取扱い豊富な経験と実績がありますから、郵送による手続きでも全く問題ありません。
したがって、全国どこの裁判所への申立であっても、松戸の高島司法書士事務所へご依頼いただくことが可能ですし、遠方だからといって追加費用がかかることもありません(ただし、ご依頼いただく際には、面談によるご相談が原則として必要です)。
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