夫婦が内縁関係(事実婚)である場合の相続対策
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夫婦が内縁関係(事実婚)である場合の相続対策
(最終更新日:2026年10月2日)
婚姻届を提出していない内縁関係(事実婚)の夫婦では、どれほど長年一緒に暮らしていても、一方が亡くなったときに、もう一方が配偶者として相続人になることはありません。
そのため、内縁の妻や夫に自宅や預貯金などの財産を残したい場合には、遺言書を作成しておくことが重要です。 遺言によって財産を譲る「遺贈」をすることで、法定相続人ではない相手にも財産を引き継いでもらうことができます。
このページでは、内縁関係の夫婦について、誰が相続人になるのか、財産を残すためにどのような準備が必要なのかを説明します。
夫婦が内縁関係(事実婚)である場合の相続対策
2-1.子がいる場合
2-2.子がいない場合
2-3.法律上の配偶者が別にいる場合
3-1.遺言によって財産を遺贈する
3-2.遺言執行者も指定しておく
3-3.公正証書遺言の利用を検討する
3-4.相続税の取扱いにも注意する
5.相続人がいない場合でも、自動的に財産を取得できるわけではありません
1.内縁の妻や夫は法定相続人になりません
法律上の婚姻関係にある配偶者は相続人になりますが、内縁の妻や夫には、配偶者としての相続権がありません。長年同居していたことや、生活を支え合っていたことだけで、相続人になるわけではありません。
たとえば、夫が所有する自宅で内縁の妻と暮らしている場合、夫が亡くなると、その自宅は夫の相続人が相続する対象となります。内縁の妻に自宅を残し、その後の住まいや生活を守るためには、遺言書を作成するなど、生前に対策をしておく必要があります。
なお、妻が亡くなり、内縁の夫が残される場合も、相続権についての基本的な考え方は同じです。
2.内縁関係の夫婦では、誰が相続人になるのか
2-1.子がいる場合
内縁関係の夫婦の間に子がいる場合、その子は、亡くなった親の相続人になります。
ただし、婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、父との法律上の親子関係を成立させるには、原則として認知が必要です。そのため、父が亡くなった場合の相続を考える際には、認知の有無を確認する必要があります。
また、亡くなった方に以前の婚姻による子がいる場合、その子も相続人になります。内縁の夫婦と同居しているか、普段から交流があるかによって、相続権の有無が変わるわけではありません。
子が財産を相続できることと、内縁の妻や夫自身が財産を取得できることは別です。 2人の間に子がいる場合でも、相手に自宅や生活資金を残したいのであれば、遺言による対策を検討しておくことが大切です。
2-2.子がいない場合
相続人となる子や、子に代わって相続する孫などがいない場合には、父母や祖父母などの直系尊属が相続人になります。父母と祖父母の両方がいるときは、親等の近い父母が優先します。
相続人となる直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥・姪が代わって相続人になることがあります。
なお、2人の間に子がいなくても、亡くなった方に以前の婚姻による子などがいれば、その子が相続人になります。「現在の夫婦の間に子がいない」という事情だけで、親や兄弟姉妹が相続人になるとは限りません。
2-3.法律上の配偶者が別にいる場合
別居していても、法律上の離婚が成立していなければ、その配偶者は相続人になります。
したがって、別居中の配偶者との婚姻関係が続いたまま別の相手と暮らしている場合には、法律上の配偶者と内縁の相手とで、相続における立場が大きく異なります。財産を誰に残したいのかを明確にし、法律上の配偶者の相続権や遺留分も踏まえて準備する必要があります。
3.内縁の妻や夫に財産を残すための遺言
3-1.遺言によって財産を遺贈する
内縁の妻や夫に財産を残す方法として、遺言書を作成し、相手に財産を遺贈する旨を定めておくことが考えられます。
遺言では、自宅など特定の財産を遺贈する方法のほか、財産の全部や一定の割合を包括して遺贈する方法もあります。財産の内容や家族関係、残される方の生活を踏まえて、どのように財産を引き継いでもらうかを検討します。
内縁の妻や夫は法定相続人ではないため、遺言書では、「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載するのが適切です。
具体的な記載例については、内縁の妻に財産を残すための遺言(遺贈)をご覧ください。
3-2.遺言執行者も指定しておく
遺言書を作成するときは、その内容を実現するための手続きを行う「遺言執行者」も指定しておくとよいでしょう。
たとえば、内縁の妻や夫に不動産を遺贈する場合、遺言執行者がいれば、受遺者と遺言執行者が登記手続きを進めることができます。
遺言執行者がいない場合には、原則として相続人全員の協力を得るか、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう必要があります。相続人との連絡や手続きが負担になることもあるため、遺言の内容と併せて、誰に執行を任せるかも決めておくことが大切です。
登記手続きについては、遺贈による不動産の所有権移転登記(名義変更)をご覧ください。
3-3.公正証書遺言の利用を検討する
遺言書は、法律で定められた方式に従って作成する必要があります。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、方式の不備を防ぎやすく、相続開始後に家庭裁判所で検認を受ける必要もありません。内縁の妻や夫に財産を残すための遺言では、公正証書による作成を検討するとよいでしょう。
また、お互いに財産を残したい場合には、双方がそれぞれ遺言書を作成しておくことが大切です。
3-4.相続税の取扱いにも注意する
内縁の妻や夫が遺贈により財産を取得しても、相続税の配偶者の税額軽減は適用されません。また、相続税がかかる場合には、原則として相続税額の2割加算の対象となります。
財産を残す方法を検討する際には、残される方の税負担についても確認しておくことが大切です。具体的な税額や申告の要否については、税理士にご相談ください。
4.遺言を作成する際には遺留分にも注意が必要です
内縁の妻や夫にすべての財産を遺贈する旨の遺言を作成しても、相続人に遺留分がある場合には、その点への配慮が必要です。
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分です。法律上の配偶者、子、相続人となる父母などの直系尊属には遺留分があります。
遺言による財産の配分が遺留分を侵害すると、財産を遺贈された内縁の妻や夫が、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求められる可能性があります。
たとえば、主な財産が自宅不動産である場合、自宅を取得できても、遺留分の請求に対応するための資金が不足することがあります。遺言の内容を決める際には、残される方の生活費だけでなく、こうした支払いへの備えも考えておくことが大切です。
一方、兄弟姉妹や、その代襲相続人である甥・姪には遺留分がありません。 相続人がこれらの方だけである場合には、内縁の妻や夫に全財産を遺贈する遺言を作成することで、遺留分の制約を受けずに財産を残すことができます。
詳しくは、遺留分とはをご覧ください。
5.相続人がいない場合でも、自動的に財産を取得できるわけではありません
相続人がいない場合には、内縁の妻や夫が「特別縁故者」として、家庭裁判所に相続財産の分与を求められることがあります。
ただし、これは内縁関係にあれば自動的に財産を取得できる制度ではありません。相続財産清算人による清算などの手続きを経たうえで、家庭裁判所が相当と認めた場合に、残った財産の全部または一部の分与を受けられるものです。
必ず希望どおりの財産を受け取れるとは限らないため、この制度を当てにするのではなく、生前に遺言書を作成するなどの準備をしておくことが重要です。
6.内縁関係の相続対策・遺言のご相談
千葉県松戸市の高島司法書士事務所では、遺言書の作成に関するご相談や、遺贈による不動産の名義変更などを承っています。
内縁の妻や夫に財産を残したい場合には、まず、誰が法定相続人になるのか、どのような財産があるのかを確認し、ご希望に応じた遺言の内容を検討することが大切です。
「一緒に暮らしている自宅を相手に残したい」「お互いに財産を引き継げるようにしておきたい」とお考えの方は、ご相談ください。必要な手続きや、ご依頼いただく場合の費用についてもご案内いたします。
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