抵当権抹消登記(先例、質疑応答等)
抵当権抹消登記に関連する先例・質疑応答などを集めてみました(全文をそのまま掲載しているわけではなく、必要な箇所のみ要約等をおこなっています)。
司法書士高島一寛が自身で閲覧するために作成するものなので、参考にしていただくのは構いませんが、内容に誤りがあったとしても一切の責任を負いませんしご質問等も承っておりません。あくまでも自己責任でご利用ください。
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抵当権抹消登記(先例、質疑応答等)
申請人
清算結了登記前弁済した抵当権の登記を清算結了後抹消するには,旧清算人と抵当権設定者で申請してさしつかえない。(登研24号25頁)
旧清算人が存命であり、手続きへの協力が得られるならば、比較的容易に抵当権抹消登記の申請が可能。
抵当権の登記の抹消の登記権利者は,抹消登記申請時における所有権登記名義人である。(登研462号115頁)
抵当権抹消登記申請に続いて所有権移転登記を連件で申請する場合の抵当権の抹消登記申請の登記権利者は,前所有権の登記名義人である。(登研514号194頁)
実務上は当たり前にも感じるが、抵当権抹消登記の権利者は現在の所有者であり、前所有者は登記権利者とはならない。抵当権抹消 → 所有権移転と連件で申請する場合、抵当権抹消の時点では前所有者が登記名義人となっているのだから、権利者が前所有者となるのも当然。
共有者全員の持分に設定された抵当権設定登記の抹消は,共有者の一人から,共有者全員のために,登記義務者と共に,申請することができる。(登研425号127頁)
共有者全員の持分についての根抵当権設定登記の抹消を,共有者の一人が共有者全員のために,根抵当権者とともに申請することができる。(登研446号122頁)
登研360号91頁では、「共有不動産に設定された根抵当権の抹消登記申請は,根抵当権者と設定者(共有者)全員から申請することを要する」とされていたが、上記のとおり変更になっている。つまり、抵当権、根抵当権ともに保存行為として共有者の1人が権利者となって抹消登記が行える。
抵当権設定者の死亡後に,抵当権が消滅した場合における抵当権の抹消は,相続登記を経なければすることができない。(登研564号143頁)
抵当権設定者の死亡後に抵当権が消滅した場合において,当該抵当権を抹消するには,抵当権設定者について相続登記を経ることを要する。(登研661号225頁)
上記より前の質疑応答では、「抵当権設定者の死亡後に当該抵当権が消滅したことによる抵当権抹消の登記申請は,抵当権設定者について相続登記を経ることなく相続人の一人から,相続人全員のために,登記義務者と共にすることができる(登研520号197頁)」など、「設定者の死亡後に消滅した抵当権の抹消登記を、相続登記することなく相続人の1人から保存行為として行えるとしている」ものが複数存在するが、現在では「抵当権設定者について相続登記を経ることを要する(登研661号225頁)」というのが結論。
なお、不動産が共有であるときには、共有者の死亡後に抵当権が消滅した場合、存命の共有者の1人が権利者となり抵当権抹消登記の申請をすることができる(『不動産登記のQ&A210選(日本法令)』247頁)。
抵当権が消滅した後,抵当権設定者が死亡した場合,抵当権の抹消登記請求権を承継した共同相続人全員又はその中の一人が抵当権者とともに抵当権の抹消の登記を申請することができる。(登研394号255頁)
上記とは異なり、設定者の死亡以前に消滅した抵当権の抹消については、共同相続人の全員または相続人中の1人が権利者となり抵当権抹消登記の申請ができる。
この場合、相続を証する書面の添付が必要。通常は、相続登記をした後に抵当権抹消登記を行っているが、相続登記をするのに時間がかかる場合など、相続登記をすることなしに抹消登記をすることも可能。
ただし、登記名義人である被相続人の住所が変更をしている場合、抹消登記の前提として住所変更の登記を要する(『不動産登記のQ&A210選(日本法令)』271頁)。
抵当権の登記を抹消する場合において,申請書記載の登記権利者(所有権登記名義人)の表示が登記簿と符合しないときは,変更証明書を添付しても不動産登記法49条4号(現行法25条5号)により却下すべきである。(登研512号157頁)
申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき(不動産登記法25条5号)。
登記名義人住所変更の登記をせずに、抵当権抹消登記の申請をすることはできない。
住居表示の実施により不動産の所在欄は変更されているが,所有権登記名義人の住所が変更されていない場合には,その変更登記を省略して,当該不動産に設定されている抵当権の抹消の登記を申請することはできない。(登研430号173頁)
住居表示実施の場合も、抵当権抹消登記の前に登記名義人住所変更登記が必要。
抵当権の抹消を前提とする抵当権の登記名義人の表示変更(更正)登記は省略できる。(登研360号91頁)
抵当権者の表示に変更がある場合において,変更を証する書面を添付して抵当権の抹消登記を申請するときは,申請書には変更後の表示を記載する。(登研445号109頁)
登記義務者である抵当権者の表示に変更がある場合、抵当権の登記名義人の表示変更(更正)登記を省略して、抵当権抹消登記をすることができる。
なお、会社法人等番号を記載する場合には、登記事項証明書の添付は不要になっているので、変更証明情報となる書類の添付も通常は不要(抵当権者の変更証明情報については、抵当権抹消登記の必要書類のページに解説あり)。
抵当権者の相続又は合併等に基づく権利義務の移転前に弁済等により債権が消滅した場合には,抵当権移転の登記を要しないが相続等の発生後に債権が消滅した場合には,抵当権移転の登記を要する。(登研364号82頁)
抵当権者の相続または合併による権利移転の前に、弁済などにより債権が消滅している場合には、抵当権移転登記は不要。抵当権者の相続または合併による権利移転の後に、債権が消滅している場合には、抵当権移転登記が必要。
抵当権者が死亡後,相続による移転登記未了の間に債務の弁済を受けた場合は,相続人は当該抵当権の移転登記後に抹消登記の申請をすることができる。(登研455号92頁)
抵当権者の死亡後に債務が消滅している場合、抵当権移転登記が必要。
抵当権者であるA株式会社がB株式会社に合併される前に債務が弁済されている場合には,抵当権移転の登記をすることなく,合併を証する書面を添付して,B株式会社を登記義務者,設定者を登記権利者として抵当権抹消の登記を申請することができる。(登研479号124頁)
抵当権者が吸収合併される前に債務が弁済されている場合には、抵当権移転登記は不要。
会社合併により承継した抵当権登記を,合併後の抵当債権の弁済により抹消するには,前提として、合併による抵当権の移転の登記を申請することを要する。(登研111号38頁)
会社合併後に弁済があった場合、会社合併による抵当権の移転の登記を省略することはできない。(登研160号47頁)
上記に質疑応答では分かりづらいが、抵当権移転登記が必要なのは抵当権者が吸収合併による消滅会社である場合。抵当権者が吸収合併後の存続会社である場合には、抵当権移転登記は不要。
債務弁済後抵当権設定登記の抹消登記未了の間に抵当権者が死亡した場合には,その抹消登記を申請するには,抵当権者の相続人全員及び所有者の申請によるべきである。(登研118号43頁)
債務の弁済により抵当権が消滅した後,その登記未了の間に抵当権者が死亡した場合において,その相続人の一人が設定者であるときの抵当権の登記の抹消の申請の登記権利者は設定者であり,登記義務者は抵当権者の相続人全員である。(登研393号85頁)
一括申請の可否
不動産登記令 第4条
申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。
不動産登記規則 第35条
不動産登記令第4条 ただし書の法務省令で定めるときは、次に掲げるときとする。
(1~9 省略)
10 同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記が、同一の債権を担保する先取特権、質権又は抵当権に関する登記であって、登記の目的が同一であるとき。
申請情報(登記申請書)は、登記の目的及び登記原因に応じ、1の不動産ごとに作成するのが原則だが、一括申請できる場合について上記の規定がある。
数筆の土地を目的とする設定日の異なる根抵当権の登記でも、登記権利者,登記義務者及び登記原因及びその日付が同一の場合は、1件でその登記の抹消を申請できる。(登研143号48頁)
登記所の管轄が同一である甲の所有する数筆の土地を目的として、乙を抵当権者とする設定日の異なる抵当権設定登記があるが、甲が乙に対し右の債務につき全額を同時に弁済した場合の抹消登記は、「登記原因及び登記の目的」が同一のものとして一括申請ができる。(登研367号135頁)
いずれも登記の目的、登記原因およびその日付、登記権利者、登記義務者が同一なので、同一の申請書による一括申請が可能。
甲所有のA,B物件を共同担保として抵当権設定の登記をした後、B物件について乙に所有権移転の登記がされている場合であっても、当該抵当権の抹消を同一の申請書で申請することができる。(登研558号155頁)
A物件の所有者が甲,B物件の所有者が乙になっている場合であっても一括申請が可能。ただし、この場合には、甲、乙の2人ともが申請人(登記権利者)となる必要がある。
同一不動産上に設定された、債務者を同じくし、抵当権者を異にする数個の抵当権の登記の抹消を申請する場合,登記原因及びその日付が同一(形式的に)であっても,同一の申請書ですることはできない。(登研421号107頁)
抵当権者が異なる場合には、抵当権抹消登記の一括申請は不可。
添付情報(登記原因証明情報)
抵当権等の抹消登記の登記原因証書に抹消すべき抵当権の表示、原因、抵当権者の表示が記載されている場合には、不動産の表示は、所在、地番及び家屋番号により表示することで足りる。(登研503号195頁)
登記原因証明情報(抵当権解除証書など)の不動産の表示は、所在、地番及び家屋番号のみでも可。
登記済証である抵当権設定契約書の後尾に、解除又は弁済の旨付記されているものであっても、これを当該抵当権抹消登記の原因証書とすることができる。(登研402号92頁)
抵当権設定登記の登記済証となっている抵当権設定契約書の不動産の表示が、抵当権設定時と抹消時で異なっている場合でも、同契約書に弁済を受けた旨の奥書があれば,これを抹消の登記原因証書とすることができる。(登研499号184頁)
抵当権設定契約証書に「本契約は解除しました。」などど書かれたスタンプが押されているものが、抵当権抹消登記の登記原因証明情報となるケースも多い。
関連情報
司法書士高島一寛のブログでも、抵当権抹消登記に関連する情報について書いています。
同一の債権を担保する抵当権が2つ以上の不動産に設定されている場合には、1件の登記により一括して抵当権抹消登記の申請をするのが通常です。また、1つの不動産に設定されている、同一の権利者のために設定された2つの抵当権について、抹消の原因および日付が同一であれば、1件の登記で一括して抹消登記を申請することができます。
所有者が異なる2つ以上の不動産に、同一の債権を担保するための抵当権が設定されている場合の抹消登記について。
抵当権が消滅するよりも前に抵当権者が吸収合併されている場合、抵当権抹消登記をする前に抵当権の移転登記をする必要があります。
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