3ヶ月経過後の相続放棄(特別な事情がある場合)
(最終更新日:2024年7月2日)
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)への、3ヶ月経過後の相続放棄のご相談を希望なさる場合には、当事務所による3ヶ月経過後の相続放棄のページをまず最初にご覧ください。
家庭裁判所への相続放棄申述は「自己のために相続の開始があったことを知った時」である、相続開始の原因である事実、および自分が法律上の相続人となった事実を知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。
上記期間内に、相続放棄(または限定承認)の手続をしなかった場合には、相続を単純承認したものとみなされます。単純承認とは、相続人の遺産を負債も含めてすべて引き継ぐということです。
ただし、特別な事情がある場合には、相続開始の原因である事実、および自分が法律上の相続人となった事実を知った時から3ヶ月が経過した後からでも、相続放棄の申述ができることがあります。
3ヶ月経過後の相続放棄(目次)
1.3ヶ月の熟慮期間が後に繰り延べられる場合
2.相続財産の存在を一部でも知っていた場合
3.3ヶ月経過後の相続放棄について
松戸の高島司法書士事務所へのご相談を希望なさる場合、3ヶ月経過後の相続放棄のご相談についてのページもぜひご覧ください。
1.3ヶ月の熟慮期間が後に繰り延べられる場合
次の最高裁判決で、3ヶ月経過後の相続放棄が認められる「特別な事情」についての判断が示されています。
上記判例によれば、相続放棄の熟慮期間が「相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時」から起算されるための要件は次の3つです。
- 被相続人に相続財産が全く存在しないと信じた
- 相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情がある
- 被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたことについて相当な理由がある
被相続人が亡くなった事実、および自分が相続人であることは知っていたが、被相続人の財産状況を調べることが著しく困難であり、また、被相続人が多額の借金を抱えていたなどとは全く考えていなかったことについて、やむを得ない事情があるような場合には、相続放棄の熟慮期間が相続財産の全部または一部の存在を相続人が認識したときから起算できることになります。
たとえば、自分が叔父(伯父)の法定相続人であることは知っていても、長年に渡って全くの没交渉となっており、通夜や葬式にも出ていないようなケースです。このような場合で、伯父がお金に困っていたとは全く思っていなかったとすれば、相続財産の調査をしていなかったのも仕方ないといえるでしょう。
2.相続財産の存在を一部でも知っていた場合
上記判例では、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたことが、相続放棄の熟慮期間の始期が繰り延べられるための要件の一つになっています。これを言葉どおりに理解するならば、3ヶ月経過後の相続放棄が可能であるのは、被相続人には債務(借金)に限らず、プラスの財産(資産)も全く存在しないと信じていた場合に限られることになります。
そうであれば、わずかな現預金があることは知っていたが、借金があるとは全く考えていなかったために相続放棄をしていなかったのが、後になって多額の債務が発覚したような場合はどうなるのでしょう。
(1) 相続財産の存在を知っていても、相続放棄が認められた例
相続財産が存在することを前提にして遺産分割協議をしたものの、その後に多額の保証債務が発覚したケースで「遺産分割協議が要素の錯誤により無効となり、ひいては法定単純承認の効果も発生しないと見る余地がある」として、相続放棄の申述を却下した原審判を取り消して、更に審理を尽くさせるため差し戻した裁判例があります。
遺産分割協議をするのは、相続の法定単純承認事由である「相続財産の処分」に当たります。この決定では「他の共同相続人との間で遺産分割協議をしており、右協議は、相続人らが相続財産につき相続分を有していることを認識し、これを前提に、相続財産に対して有する相続分を処分したもので、相続財産の処分行為と評価することができ、法定単純承認事由に該当するというべきである」とした上で、上記の決定をしています。
したがって、相続債務の不存在を誤信しても仕方の無い事情があるときには、相続財産の存在を認識していても、後から相続放棄が可能な場合があることになります。これは、熟慮期間について次のような判断を示していることからも明らかだといえます。
(2) 被相続人の財産を全く承継することがないと信じていた場合
相続開始時に、多額の積極及び消極財産があることを認識していたが、「自らは被相続人の積極及び消極の財産を全く承継することがないと信じ、かつ、このように信じたことについては相当な理由あった」ことなどを理由に、「相続開始時において債務等の相続財産が存在することを知っていたとしても、相続開始後3ヶ月を経過しての相続放棄申述を、直ちに熟慮期間を経過した不適法なものとすることは相当でないといわざるを得ない」と判断した事例もあります(くわしくは、被相続人の積極・消極財産を全く承継しないと信じていた場合)。
(3) 不動産の存在を認識していたため、相続放棄が認められなかった例
相続人による「相続人が負債を含めた相続財産の全容を明確に認識できる状態になって初めて相続の開始を知ったといえる」との主張に対し、被相続人が所有していた不動産の存在を認識した上で他の相続人全員と協議した事実をもって、「被相続人に相続すべき遺産があることを具体的に認識していたものであり、抗告人らが被相続人に相続すべき財産がないと信じたと認められないことは明らかである」として、相続放棄申述の却下に対する即時抗告を棄却した裁判例もあります(東京高等裁判所平成14年1月16日決定)。
本決定の立場によれば、「被相続人に相続すべき遺産があることを具体的に認識」した時点で、熟慮期間が開始することになりますから、相続債務の不存在を誤信していたなどの事情は全く関係ないことになります。上記と同じような事例にもかかわらず、全く反対の結論となっていますから注意が必要です。
3.3ヶ月経過後の相続放棄申述受理の申立について
相続開始の原因である事実、および自分が法律上の相続人となった事実を知った時から3ヶ月が経過した後に、家庭裁判所への相続放棄申述受理の申立をおこなう場合には、上に述べたような「特別な事情」があったことを明らかにする必要があります。そこで、当事務所は、申立の際に通常の相続放棄申述での提出書類に加えて、くわしい事情を記した上申書や説明資料を提出しています。
3カ月間経過後の相続放棄については、裁判所に対して正確に事実を伝え、正しい主張がおこなえるかどうかにより、申述が受理されるかどうかの結果が違っててくることも考えられます。そのため、3ヶ月経過後の相続放棄については、手続きに精通した専門家に依頼することを強くお勧めします。千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、相続放棄の申述を多数取り扱い豊富な経験と実績を有しています。
相談できる専門家が見つからなかったり、近くの司法書士事務所などで相談してみたものの、今から相続放棄するのは無理だと断られてしまった場合など、お困りの際には松戸の高島司法書士事務所へご相談ください(当事務所へご相談いただいても、「今から相続放棄するのは無理だろう」とお答えしなければないことももちろんあります。あくまでも、相続放棄についての正しい知識と豊富な経験に基づいての判断をお伝えできるはずだということです)。
なお、相続放棄申述申立書など裁判所提出書類の作成を業として行えるのは、司法書士、弁護士に限られます。したがって、相続放棄申述についての相談は、司法書士または弁護士にするべきであり、その他の専門家を名乗る人に相談しても手続きを依頼することはできません。
相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)
相続放棄の申述受理申立は、相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所へおこないます(相続放棄をする方が住んでいる場所ではありません)。
たとえば、相続開始地が千葉県松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市の場合には千葉家庭裁判所松戸支部、市川市、船橋市なら千葉家庭裁判所市川出張所、東京23区内であれば東京家庭裁判所(霞ヶ関)です。
ただし、家庭裁判所への相続放棄申述受理の申立ては郵送によりおこなうこともできます。当事務所では、多数の相続放棄を取扱い豊富な経験と実績がありますから、郵送による手続きでも全く問題ありません。
したがって、全国どこの裁判所への申立であっても、松戸の高島司法書士事務所へご依頼いただくことが可能ですし、遠方だからといって追加費用がかかることもありません(ただし、ご依頼いただく際には、面談によるご相談が原則として必要です)。
ご相談は松戸駅1分の高島司法書士事務所へ
松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所(千葉県松戸市)では、ホームページやブログを見てお問い合わせくださった、個人のお客様からのご依頼を大切にしています。すべてのご相談に司法書士高島一寛が直接ご対応しますから、安心してご相談いただけます。
ご相談は完全予約制ですので、当事務所までお越しになる際は必ずご予約ください(予約せずにご来所されても、ご相談をうけたまわることが出来ませんのでご注意ください)。
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※ 千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、電話やメールのみによる無料相談は承っておりません。
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