被相続人の最後の住所が登記簿と違う場合(住所変更の要否) | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

相続登記で、被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なるときでも、所有権登記名義人住所変更登記をする必要はありません。ただし、除住民票(または、戸籍の附票)に記載されている被相続人の最後の住所と、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所とのつながりが分かる書面は必要です。

相続登記での登記名義人住所変更登記の必要性

(最終更新日:2024年9月9日)

このページでは、「相続登記をする前に登記名義人住所変更の登記をする必要があるのか」について、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)が解説をしています。

結論からいえば、相続登記においては、被相続人の最後の住所と登記されている住所が異なるときでも、所有権登記名義人住所変更の登記を先におこなう必要はありません。ただし、相続登記の申請の際に、被相続人と不動産の所有者との同一性が分かる書類が必要となります。

具体的に何の書類が必要であるかを判断するには、不動産登記の実務などについての専門的な知識が必要となる場合もあります。そのため、司法書士に相続登記の手続きを依頼する場合には、相続人がご自分で理解する必要はありません。

相続登記は不動産登記の専門家である司法書士にご相談、ご依頼ください。高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へのご相談は予約制なので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。

1.被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なる場合

2.除住民票、戸籍附票などが廃棄されている場合

3.相続登記は司法書士へ


1.被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なる場合

不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)には、所有者の住所および氏名が記載されています。しかし、この登記されている住所は、引っ越しをて住民票を移しても、自動的に書き換わることはありません。そのため、登記簿上(登記記録上)の住所が、古い住所のままになっていることも多々あります。

そこで、売買、贈与などを原因とする所有権移転登記をする際に、不動産所有者(売主、贈与者)の現住所が、登記簿上の住所と異なる場合には、所有権移転の前に所有権登記名義人住所変更の登記を申請する必要があります。

それでは、相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)をするときに、不動産所有者である被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なる場合はどうでしょうか?

結論からいえば、相続登記の申請をする際に、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が異なるときでも、所有権登記名義人住所変更登記を事前におこなう必要はありません

ただし、被相続人がその不動産の所有者であることを証明するために、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所と、被相続人の最後の住所とのつながりが分かる除住民票(戸籍、除籍、改製原戸籍の附票)などを提出することになります。

具体的には、住民票除票(除住民票)に記載されている前住所が、登記簿上の住所と一致すればその他の書類は不要です。登記簿上の住所がもっと前のものであれば、さらに戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票などを取得します。

また、取得することができた住民票除票や除籍の附票などに、登記簿上の住所の記載がない場合であっても、登記簿上の住所と、被相続人の本籍が一致する場合には、被相続人と登記簿上の所有者の同一性が認められます。この本籍は、被相続人の最後の本籍である必要はなく、過去の一時期にあった本籍であっても差し支えありません。

被相続人の同一性を証する情報は、登記記録上の住所との関連性を明らかにすることができれば足り、被相続人の登記記録上の住所と符合する本籍の表示は、最後の本籍のみではなく、従前の本籍との符合によっても同 一性は認められると考えられる(登研831号133頁)。

それでも、登記簿上の住所が出ている書類が存在しないときには、被相続人についての不在住証明、不動産の権利証(登記済証、登記識別情報通知)、相続人による上申書などを提出しているのが登記実務ですが、管轄法務局での取り扱いを事前に確認するべきでしょう。

なお、下記の先例によると、所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供は不要とされています。また、先に引用した登研831号133頁以降に「被相続人の同一性を証する情報」についてのくわしい解説があります。

被相続人の同一性を証する情報として、住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る)、戸籍の附票の写し(登記記録上の住所が記載されているものに限る)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができる(平成29年3月23日民二175)。

登記簿に記載されている住所がずっと以前の住所であるときは、不動産登記の専門家である司法書士でも必要書類を整えるのに苦労することもあります。よって、相続人がご自分で手続きをするのは困難な場合が多いと思われますので、司法書士に手続きを依頼することをお勧めします。

2.除住民票、戸籍附票などが廃棄されている場合

住民票は除票になってから、戸籍の附票は除籍されてから、それぞれ保存期間は5年とされていました。そのため、10年、20年と昔の住所が記載されている書類を取得するのは難しい場合もあり、登記簿上の住所が記載されている除住民票、除籍の附票などが取得不能なケースも決して珍しくありません。

現在は、住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されていますが、平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票については保管期間が経過しているため、すでに廃棄されている場合も多いです。

よって、これから相続登記の申請をしようとする場合であっても、相続開始からすでに長い年月が経過しているときには、登記簿上の住所が記載されている除住民票や除籍の附票などが取得不能なこともあるわけです。

その場合でも、最終的に相続登記が不可能になることはありませんが、手続きをするのに当たって余計な費用や手間がかかるかもしれません。

ご自宅不動産であれば、登記簿上の住所が現住所と一致していることが多いですから、問題が生じることはそれほど多くないでしょう。しかし、過去に購入した不動産をそのまま保有している場合や、相続によって実家を取得した場合など、実際に住んでいない不動産の場合には、登記簿上の住所がどうなっているのか把握されていないかもしれません。

また、これまでは所有権登記名義人住所などの変更登記を申請するのは義務でなかったため、引っ越しをした際に、所有してる不動産についての所有権登記名義人住所変更の登記をする必要があることを認識している方は多くなかったはずです。

それが、令和3年の不動産登記法の改正により、令和8年4月から、住所等の変更登記の申請が義務化され、不動産の所有者は、住所や氏名に変更があった日から2年以内にその変更の登記を申請しなければならないとされました。

また、令和8年4月1日より前の住所移転などについても、変更の登記をしていない場合は、令和10年3月31日までに変更の登記を申請しなければならないとされました。

住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が延長されました

住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されました。ただし、同施行令の施行日が令和元年6月20日であるため、5年前の平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票については、すでに保存期間が経過しているため、適用の対象外となります。

つまり、現在では平成26年(西暦2014年)6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間は150年になっているので、被相続人が死亡したのが平成26年(西暦2014年)6月20日であれば、その後150年間は住民票除票が取得できるわけです。また、戸籍の附票の場合には、被相続人の死亡後でも同籍の存命者がいる限り消除されないので、被相続人の死亡が平成26年(西暦2014年)6月20日より前であっても取得できる可能性があります。

3.相続登記は司法書士へ

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