被相続人の最後の住所が登記簿と違う場合(住所変更の要否) | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

相続登記で、被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なるときでも、所有権登記名義人住所変更登記をする必要はありません。ただし、除住民票(または、戸籍の附票)に記載されている被相続人の最後の住所と、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所とのつながりが分かる書面は必要です。

相続登記での登記名義人住所変更登記の必要性

(最終更新日:2025年10月1日)

このページでは、「相続登記をする前に登記名義人の住所変更登記をする必要があるのか」について、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)が解説します。

結論からいえば、相続登記においては、被相続人の最後の住所と登記簿上(登記記録上)の住所が異なる場合であっても、所有権登記名義人住所変更登記を先に行う必要はありません。

ただし、相続登記を申請する際には、被相続人と登記簿上の所有者が同一人物であることを証明できる書類が必要となります。

具体的にどの書類が必要となるかは、不動産登記の実務に関する専門知識を要する場合があります。そのため、司法書士に相続登記の手続きを依頼される場合には、相続人ご自身が理解・判断する必要はありません。

相続登記は、不動産登記の専門家である司法書士にご相談・ご依頼ください。高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へのご相談は予約制となっておりますので、「ご相談予約・お問い合わせ」のページをご覧のうえ、事前にご連絡くださいますようお願いいたします。

1.被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なる場合

2.除住民票、戸籍附票などが廃棄されている場合


1.被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なる場合

不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)には、所有者の住所および氏名が記載されています。しかし、この住所は、引っ越しにより住民票を移しても自動的に更新されることはありません。そのため、登記簿上(登記記録上)の住所が古いままになっていることも少なくありません。

そこで、売買や贈与を原因とする所有権移転登記を行う場合、不動産所有者(売主・贈与者)の現住所が登記簿上の住所と異なるときには、所有権移転登記の前に登記名義人住所変更登記を行う必要があります。

では、相続登記(相続による所有権移転登記)の場合、不動産所有者である被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が異なるときはどうでしょうか。

結論からいえば、相続登記を申請する際には、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が異なっていても、所有権登記名義人住所変更登記を事前に行う必要はありません

ただし、相続登記の申請時には、被相続人と登記簿上の所有者が同一人物であることを証明できる書類が必要となります。

具体的には、住民票除票(除住民票)に記載されている前住所が登記簿上の住所と一致すれば、ほかの書類は不要です。登記簿上の住所がさらに前のものであれば、戸籍(除籍・改製原戸籍)の附票などを追加で取得します。

また、取得した住民票除票や除籍の附票などに登記簿上の住所の記載がない場合でも、登記簿上の住所と被相続人の本籍が一致する場合には、被相続人と登記簿上の所有者が同一人物であると認められます。

この本籍は被相続人の最後の本籍である必要はなく、過去の一時期に存在した本籍であっても差し支えありません。

被相続人の同一性を証する情報は、登記記録上の住所との関連性を明らかにすることができれば足り、被相続人の登記記録上の住所と符合する本籍の表示は、最後の本籍のみではなく、従前の本籍との符合によっても同 一性は認められると考えられる(登研831号133頁)。

それでも、登記簿上の住所が記載された書類が存在しない場合には、被相続人についての不在住証明、不動産の権利証(登記済証・登記識別情報通知)、相続人による上申書などを提出するのが登記実務です。ただし、管轄法務局ごとに取扱いが異なることもあるため、事前に確認しておくべきでしょう。

なお、下記の先例によれば、所有権に関する被相続人名義の登記済証を提出すれば、不在籍証明書や不在住証明書など、他の添付情報の提供は不要とされています。また、引用した登研831号133頁以降には、「被相続人の同一性を証する情報」について詳しい解説があります。

被相続人の同一性を証する情報として、住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る)、戸籍の附票の写し(登記記録上の住所が記載されているものに限る)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができる(平成29年3月23日民二175)。

登記簿に記載されている住所が古いままの場合、不動産登記の専門家である司法書士であっても、必要書類を整えるのに苦労することがあります。したがって、相続人ご自身で手続きを行うのは困難なケースが多いと考えられますので、司法書士に手続きを依頼されることをおすすめします。

2.除住民票、戸籍附票などが廃棄されている場合

住民票は除票となってから、戸籍の附票は除籍されてから、それぞれ保存期間が5年と定められていました。そのため、10年・20年前の住所が記載された書類を取得するのは難しく、登記簿上の住所が記載されている除住民票や除籍の附票が取得できないケースも少なくありません。

現在では、住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されています。しかし、平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票や戸籍の附票の除票については、すでに保存期間が経過して廃棄されている場合が多いのが実情です。

したがって、これから相続登記の申請をしようとしても、相続開始から長い年月が経過している場合には、登記簿上の住所が記載された除住民票や除籍の附票を取得できないこともあります。

そのような場合でも、相続登記自体が不可能になることはありませんが、手続を進めるにあたり余計な費用や手間がかかる可能性があります。

ご自宅の不動産であれば、登記簿上の住所が現住所と一致していることが多いため、大きな問題になることはあまりありません。

しかし、過去に購入した不動産をそのまま保有している場合や、相続によって実家を取得した場合など、実際には居住していない不動産では、登記簿上の住所がどうなっているか把握されていないこともあるでしょう。

また、従来は所有権登記名義人の住所変更登記は義務ではなかったため、引っ越しをした際に所有する不動産について住所変更登記をしなければならないことを認識していない方が多かったはずです。

しかし、令和3年の不動産登記法改正により、令和8年4月1日からは住所等の変更登記の申請が義務化され、不動産所有者は住所や氏名に変更があった日から2年以内に変更登記を申請しなければならないとされました。

さらに、令和8年4月1日より前に生じた住所変更などについても、変更登記をしていない場合は、令和10年3月31日までに申請しなければならないと定められています。

この法律改正により、将来的には被相続人の最後の住所と登記記録上の住所が異なるケースは減少していくものと考えられます。とはいえ、完全に問題が解消されるまでには相当な時間がかかるでしょう。

そのため、当面の間は、被相続人と登記簿上の所有者が同一人物であることを証明する書類が必要となるケースが多く存在すると考えられます。

住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が延長されました

住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150年に延長されました。ただし、同施行令の施行日が令和元年6月20日であるため、5年前の平成26年6月19日以前に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票については、すでに保存期間が経過しているため、適用の対象外となります。

つまり、現在では平成26年(西暦2014年)6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間は150年になっているので、被相続人が死亡したのが平成26年(西暦2014年)6月20日であれば、その後150年間は住民票除票が取得できるわけです。また、戸籍の附票の場合には、被相続人の死亡後でも同籍の存命者がいる限り消除されないので、被相続人の死亡が平成26年(西暦2014年)6月20日より前であっても取得できる可能性があります。

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