父の相続放棄と叔父の代襲相続
(最終更新日:2025年12月11日)
父が亡くなった際、私は父の相続放棄の手続を行いました。
その後、父の兄弟である叔父が死亡したため、父を代襲して叔父の相続人となると説明を受けました。
このような場合、「父の相続を放棄していても、叔父について改めて相続放棄をしなければならないのか」という疑問が生じます。
本ページでは、この点について高島司法書士事務所(千葉県松戸市)がわかりやすく解説します。
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、2002年の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせくださった個人のお客様からの、相続放棄の相談やご依頼を多数いただいてまいりました。3ヶ月経過後の相続放棄の取り扱い経験も豊富です。
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父の相続を放棄した子は、叔父の相続も放棄する必要があるのか
(質問)
父は10年以上前に亡くなりました。父には事業による多額の負債があったため、私は父の相続を放棄しています。
その後、叔父(父の弟)が先日亡くなりました。叔父も多額の借金を抱えていたため、叔父の配偶者(妻)と子は相続放棄をしたとのことです。また、叔父の父母(私の祖父母)はすでに他界しています。
通常であれば、父が亡くなっているため、父の代襲者として甥である私が叔父の相続人になるのではないかと考えられます。しかし、私は父の相続放棄をしています。この場合、叔父の相続について相続人とならないと考えてよいのでしょうか。

(回答)
結論として、ご質問者様は叔父様の相続人となります。
したがって、叔父様の借金を承継しないためには、叔父様の相続についても別途相続放棄の手続きを行う必要があります。
■ 相続放棄の効力は「その相続に限る」
民法939条により「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とされています。
ここでいう「その相続」とは、あくまで父の相続を指します。
上記の民法の規定では、相続放棄の効力を「その相続に関しては」と限定していますので、他の相続には影響を及ぼしません。
したがって、父の相続を放棄していたとしても、別の相続(叔父様の相続)では法律上相続人となります。
■ 本件でご質問者が相続人となる理由
叔父様の相続では、次の順に相続人が決まります。
- 第1順位:子(全員が相続放棄)
- 第2順位:父母(すでに死亡)
- 第3順位:兄弟姉妹 → 代襲相続人
この結果、
- 叔父様の兄弟である父はすでに死亡
- 父を代襲して甥であるご質問者が相続人となる
という流れになります。
■ 相続放棄の期限について
本件では、先順位の相続人(叔父様の子)が全員放棄しているため、その事実を知ったときから3か月以内に相続放棄の申述を行う必要があります。
仮に、子が相続放棄した事実を誰も知らせてくれなかった場合でも、「放棄していたことを知ったとき」から3か月以内であれば問題なく相続放棄が可能です。
■ 被相続人の妻の相続放棄は影響しない
甥であるご質問者が相続人となるかどうかの判断において、叔父様の配偶者が相続放棄しているかどうかは関係ありません。
- 妻が相続放棄していれば、甥(ご質問者)が唯一の相続人
- 妻が相続放棄しなければ、妻と甥の2名が相続人
となります。

上の図では、被相続人の子の全員が相続放棄したことにより、被相続人の甥が、被相続人の配偶者とともに相続人となっています。
被相続人の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代襲相続人となることがあります。しかし、この制度を一般の方は知らないことが多く、気付かないうちに相続人になっていたというケースもよく見受けられます。
代襲相続が関係する相続では、早めの専門家相談が特に重要です。相続放棄のことなら何でも松戸の高島司法書士事務所へご相談ください。
相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)
相続放棄の申立先は、相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所です。
※申立人(相続放棄をする方)の住所地を管轄する裁判所ではありませんのでご注意ください。
たとえば、相続開始地が
- 千葉県松戸市・柏市・流山市・我孫子市・鎌ケ谷市・野田市 → 千葉家庭裁判所松戸支部
- 市川市・船橋市 → 千葉家庭裁判所市川出張所
- 東京23区 → 東京家庭裁判所(千代田区霞が関)
が管轄となります。
■ 郵送による申立が可能です(全国対応)
相続放棄の申立ては、家庭裁判所への郵送提出が可能です。
当事務所では、開業以来多数の相続放棄を取り扱っており、郵送でも全く問題なく手続きを進めることができます。
そのため、全国どの家庭裁判所への申立てであっても、当事務所にご依頼いただくことが可能です。
また、裁判所が遠方の場合でも、追加費用が発生することはありません。
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