相続放棄と連帯保証人の保証債務 | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

亡くなられたご家族(被相続人)に、多額の債務(借金)がある場合、家庭裁判所で「相続放棄の申述」をすることで、債務の支払い義務を逃れることができます。 しかし、相続人の方が、被相続人の借金についての保証人になっている場合に …

相続放棄と連帯保証人の保証債務

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(公開日:2012年3月17日)

亡くなられたご家族(被相続人)に、多額の債務(借金)がある場合、家庭裁判所で「相続放棄の申述」をすることで、債務の支払い義務を逃れることができます。

しかし、相続人の方が、被相続人の借金についての保証人になっている場合には、相続放棄をしても債務の支払い義務は無くなりません。相続放棄をすることで債務を相続することは無くなりますが、保証人としての義務については何も変わらないからです。

ただし、債務が住宅ローンの場合にはこれとは違うケースもあります。

住宅ローンの保証債務と団体信用生命保険

住宅ローンを利用する場合、団体信用生命保険に入っていることも多いです。団体信用生命保険は、住宅ローンを完済する前に債務者(借り主)が死亡した場合、住宅ローンの残債務を保険金により一括返済するものです。

この場合、被相続人の死亡により、住宅ローンは完済の扱いになりますから、保証人の返済義務も同時に消滅します。したがって、被相続人の債務が住宅ローンのみであって、団体信用生命保険に入っている場合には、相続放棄をすることは通常考えられません。

住宅ローン以外の保証債務と相続放棄

しかし、被相続人が住宅ローン以外の債務も抱えていた場合は問題です。とくに、被相続人が会社経営者や、個人事業主だったときには、銀行等から事業資金を借入れしていることも多いかと思います。

この借り入れの際に、配偶者やその他のご家族が保証人(連帯保証人)になっていることもあります。このときは、相続放棄をしたとしても、保証人としての支払い義務は消えないことになります。

相続放棄をすることで、保証人となっているもの以外の支払い義務は無くなります。しかし、保証債務の支払い義務から逃れるためには、自己破産などの債務整理手続きを取る他に方法はありません。

この場合、最終的には自己破産するのであれば、相続放棄の申述も不要だとも考えられます。しかし、相続放棄をしていなければ、保証人となっているもの以外の債権者についても対応が必要なため、債務整理手続きが大変になる可能性があります。

税金の滞納と相続

また、被相続人に税金を滞納していた場合、その納税義務も相続されることになります。納税義務については、自己破産しても支払い義務が無くならない(非免責債権)ので、相続放棄をする必要があります。

したがって、被相続人が抱えていた債務が財産の額を超えていることが明らかな場合、まずは相続人の全員が相続放棄の申述をします。そして、それでも支払い義務が無くならない保証債務について、必要に応じて自己破産等の債務整理手続きを行うのが確実でしょう。

相続放棄の申述は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月です。この期間内に、相続放棄するかどうかを決定して、家庭裁判所への申立てもしなければならないのです。

どうしたら良いのかが分からない場合でも、まずは早急に司法書士にご相談ください。

「相続放棄申述」の関連情報

相続放棄の申述 (債務整理・過払い金請求ホームページ)
相続放棄の申述 (相続・遺言の相談室ホームページ)

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