時効援用後に相続放棄はできるか
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相続人からの時効援用後に相続放棄はできるのか
(最終更新日:2026年4月8日)
亡くなられたご家族(母親)宛ての督促状が届きました。内容を確認すると、銀行に対する借金があったことは間違いないようです。相続開始(死亡の日)からまだ3か月は経過していませんから、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすれば、債務の支払い義務を承継せずに済むことになります。
しかし、母親は5年以上前から老人ホームに入居していました。そのため、その頃以降は、本人が借入れや返済の取引を行っていたとは考えにくい状況です。そうすると、最後の取引から5年以上が経過しており、消滅時効期間が満了している可能性が高いと考えられます。
このような場合でも、確実なのは相続放棄をすることです。ただし、相続放棄をすると、次順位の相続人である母の兄弟姉妹に事情を説明したうえで、その方々にも相続放棄の手続きをしてもらう必要が生じます。皆さん高齢であり、最近ではあまり交流もない状況ですから、できれば迷惑をかけたくないところです。
相続人からの時効援用の検討
そこで、相続人から債権者に対して時効援用をすることを検討したのですが、ここで問題となるのは、時効援用をしたにもかかわらず、消滅時効の成立が認められなかった場合です。
消滅時効援用の通知をすることは、相続人として行う法律行為であり、相続財産の処分にあたると考えられます。そのため、相続人による消滅時効援用は、法定単純承認事由に該当する可能性があります。
被相続人の債務について時効援用をすることが、相続の単純承認事由に該当することを明示した規定等はないものの、次の判例は参考になるでしょう。
民法921条1号本文が相続財産の処分行為があった事実をもって当然に相続の単純承認があったものとみなしている主たる理由は、本来、かかる行為は相続人が単純承認をしない限りしてはならないところであるから、これにより黙示の単純承認があるものと推認しうるのみならず、第三者から見ても単純承認があったと信ずるのが当然であると認められることにある(昭和42年04月27日 最高裁判所第一小法廷判決 民集第21巻3号741頁)
時効援用の意思表示をすることによって相続を単純承認したものとみなされるのであれば、消滅時効が完成していなかった場合、その後に相続放棄をすることはできません。債務者本人はすでに死亡しているため、正確な取引状況は分かりませんし、訴訟や支払督促によって債務名義を取得され、時効が更新されている可能性も考えられます。
そこで、まずは債権者に対して取引履歴の開示を求め、あわせて債務名義の有無についても確認したうえで、時効援用をするかどうか判断することとしました。
それでも、時効援用をするにあたって不安を完全に払拭できるわけではありません。さらに、別の債権者に対する債務が存在する可能性まで考慮すると、相続放棄をした方が安心であることは間違いありません。
つまり、ある1社に対して時効援用をしたことにより、その時点で相続を単純承認したものとみなされたとします。そうであれば、その後になって別の債権者に対する債務があることが判明したとしても、それから相続放棄をすることは困難だからです。
相続開始から3か月が経過しており、相続を単純承認していることが明らかな場合には、時効援用が第一の選択肢となります。しかし、相続放棄と時効援用のいずれも可能である場合には、どちらを選択すべきか判断が難しいことがあります。
このような場合には、相続放棄や消滅時効援用に精通した専門家へ早めに相談することをおすすめします。松戸の高島司法書士事務所へのご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧のうえ、事前にご連絡くださいますようお願いいたします。
まとめ 相続放棄と時効援用はどちらを優先すべきか
被相続人の債務について消滅時効が成立している可能性がある場合であっても、相続人が安易に時効援用をしてよいとは限りません。相続人による時効援用が法定単純承認にあたると評価される可能性がある以上、消滅時効が完成していなかった場合には、その後の相続放棄が困難になるおそれがあるからです。
とくに、相続開始から3か月以内であれば、相続放棄という選択肢も残されています。そのため、被相続人に債務があることが判明した場合には、取引履歴や債務名義の有無を確認しつつ、相続放棄と時効援用のいずれを選択すべきか慎重に判断する必要があります。
相続放棄と消滅時効援用のいずれにも対応できる状況では、どちらを優先すべきか判断が難しいことも少なくありません。被相続人の借金について督促を受けた場合には、できるだけ早い段階で専門家に相談することが大切です。
よくある質問
Q.被相続人の借金について時効援用をすると、その後に相続放棄はできますか。
A. 相続人による時効援用が法定単純承認にあたると判断される可能性があるため、その後の相続放棄ができなくなるおそれがあります。
Q.相続放棄と時効援用のどちらを先に検討すべきですか。
A. 相続開始から3か月以内であれば相続放棄が可能な場合があるため、まずは相続放棄の可否を含めて慎重に検討する必要があります。
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