義父母を介護した嫁は遺産を相続できる?夫が先に亡くなった場合
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義父母を介護した嫁は遺産を相続できる?夫が先に亡くなった場合
(最終更新日:2026年9月17日)
夫が亡くなった後も義父母と同居し、生活の世話や介護を続けている場合、義父母の遺産を受け取ることはできるのでしょうか。
子の妻(嫁)は、義父母と養子縁組をしていなければ、その相続人にはなりません。ただし、介護による貢献について特別寄与料を請求できる場合や、遺言によって遺贈を受けられる場合があります。
このページでは、夫が義父母より先に亡くなり、その後も妻が義父母の世話をしている事例について解説します。
義父母と同居し、介護をしている妻からのご質問
(ご質問)
私は、夫の両親である義父・義母と長年同居しています。夫はすでに亡くなっていますが、私はその後も同じ家で暮らし、高齢の義父母の生活の世話や介護を続けています。
このような状況で義父が亡くなった場合、私にも義父の遺産を相続する権利はあるのでしょうか。
(回答)
義父と養子縁組をしていなければ、ご質問者は義父の相続人にはなりません。長年同居していたことや、夫の死亡後も介護を続けていたことによって、相続権が生じるわけではありません。
ただし、無償の介護によって義父の財産の維持に特別の貢献をした場合などには、相続人に対して特別寄与料の支払いを請求できることがあります。
また、義父がご質問者へ財産を残したいと考えているのであれば、遺言書を作成して遺贈する方法があります。
義父母を介護した嫁は遺産を相続できる?夫が先に亡くなった場合【目次】
4-1.特別寄与料とは
4-2.特別寄与料を請求できても相続人になるわけではありません
5-1.遺言書によって遺贈する
5-2.自宅を誰が引き継ぐかを考える
1.同居や介護をしていても相続人にはなりません
ご質問者様(子の配偶者)は、義父と養子縁組をしていない限り、法律上の親子関係がないため義父の相続人にはなりません。夫が義父より先に亡くなっていた場合でも、妻が夫に代わって相続することはできません。
夫に子がいる場合には、その子が夫に代わって義父の相続人となります。これが代襲相続ですが、妻が代襲相続人になるわけではありません。また、子が相続した財産は、その子自身の財産です。
なお、このページでは、夫が義父母より先に亡くなっている場合を説明しています。義父母の死亡後に夫が亡くなった場合には、妻が夫の相続人として権利を引き継ぐことがあり、相続関係が異なります。
死亡順序や養子縁組による違いについては、「夫の父母の遺産を、妻が相続できる場合」をご覧ください。
2.義父の財産を義母が相続した場合はどうなるか
義父が亡くなった後、遺産分割協議や遺言によって、義母が自宅などの財産を取得する場合もあります。その後もご質問者が義母と同居し、世話を続けていたとしても、義母と養子縁組をしていなければ、義母の相続人にはなりません。
義母が亡くなったときの相続人は、その時点の家族関係によって決まります。義父がすでに亡くなり、義母に配偶者がいない場合は、次の順序で確認します。
- 第1順位は、義母の子です。子が先に亡くなっている場合には、その子や孫などが代襲相続人になります。
- 第1順位の相続人がいない場合は、義母の父母や祖父母など、親等の近い直系尊属が相続人になります。
- 第1順位・第2順位の相続人がいない場合は、義母の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥・姪が代襲相続人になります。
ご質問者と亡くなった夫との間に子がいれば、その子も義母の代襲相続人となります。一方、子や孫などがおらず、義母の父母などもすでに亡くなっている場合には、義母の兄弟姉妹や甥・姪が相続することがあります。
同居している妻がそのまま家を引き継ぐとは限らないため、義父の相続だけでなく、その後の義母の相続についても考えておく必要があります。
3.介護をしていた妻に「寄与分」は認められるか
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人について、遺産分割の際にその貢献を相続分に反映させる制度です。
寄与分が認められるのは相続人であることが前提です。したがって、義父母と養子縁組をしておらず相続人ではない妻自身が、寄与分を主張して遺産の分配を求めることはできません。
相続人ではない親族の貢献については、次の「特別寄与料」の制度があります。
4.介護による貢献について特別寄与料を請求できる場合
4-1.特別寄与料とは
特別寄与料は、相続人以外の親族が、無償で療養看護などの労務を提供し、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合に、相続人に金銭の支払いを求める制度です。2019年7月1日以降に開始した相続が対象です。
たとえば、子の妻が義父を無償で介護し、介護費用の支出を抑えることなどによって財産の維持に特別の貢献をした場合には、特別寄与料が認められる可能性があります。
ただし、同居していたことや、日常的な世話をしていたことだけで、必ず認められるわけではありません。介護の内容や期間、負担の程度、報酬の有無など、具体的な事情によって判断されます。
介護の経過が分かる記録や、介護サービスの利用状況が分かる資料などは、実際にどのような貢献をしたかを説明するために役立ちます。
4-2.特別寄与料を請求できても相続人になるわけではありません
特別寄与料は、あくまで相続人に対して金銭の支払いを求める制度です。子の妻などが相続人として遺産分割協議に参加したり、自宅などの遺産を直接相続したりできるようになるわけではありません。
そのため、義父母が「世話をしてくれた子の妻に自宅を残したい」と考えているのであれば、特別寄与料の制度とは別に、生前に遺言書を作成しておくなどの対策を検討する必要があります。
4-3.家庭裁判所への申立てには期限があります
特別寄与料については、まず相続人と協議をします。協議がまとまらない場合や協議ができない場合には、家庭裁判所の調停または審判の手続きを利用できます。
ただし、「特別の寄与をした者が、相続の開始および相続人を知った時から6か月」または「相続開始の時から1年」を経過すると、家庭裁判所への申立てができなくなります。相続人との話し合いを続けている間にも期限が経過するため、早めに対応することが大切です。
手続きについては、裁判所の特別の寄与に関する処分調停をご覧ください。
5.世話をしている妻に財産を残すための準備
5-1.遺言書によって遺贈する
義父母が、自身の世話をしてくれている子の妻に財産を残したいと考えている場合には、遺言書を作成して遺贈する方法があります。遺贈を受ける人は相続人である必要がないため、養子縁組をしていなくても、自宅や預貯金などを残すことができます。
遺言書の作成方法として一般的なのは、公証人が作成する公正証書遺言と、遺言者自身が作成する自筆証書遺言です。法律で定められた方式に従って作成する必要がありますので、司法書士などの専門家に相談して準備を進めることをおすすめします。
なお、義父の財産について遺言ができるのは義父本人です。義母が相続によって取得した財産を妻へ残したい場合には、義母自身が遺言書を作成する必要があります。
5-2.自宅を誰が引き継ぐかを考える
義父母名義の家で暮らしている場合、相続によって誰がその家を取得するかは、その後の生活にも関わります。
妻自身が家を取得せず、義父母の相続人が家を相続した場合、その後も妻が住み続けるには、家を取得した相続人との話し合いが必要になることもあります。
長年同居していることや、家族の間で「この家はあなたに残す」と話していることだけで、妻がその家を取得できるとは限りません。義父母の希望を実現するためには、遺言書の作成などによって具体的に備えておくことが大切です。
遺言書は、本人が内容を理解し、自らの意思で作成できるうちに準備する必要があります。義父母が健在なうちに、財産の名義や相続関係を確認し、必要に応じて手続きを進めておきましょう。
6.遺言書作成・相続登記などのご相談
夫が亡くなった後も義父母と同居し、生活の世話や介護を続けている場合には、義父母が亡くなった後のことを事前に考え、必要に応じて対策をおこなうことが大切です。
義父母が子の妻へ財産を残したいと考えている場合には、早めに遺言書を作成しておくことをおすすめします。その後の登記手続きも含めて、司法書士に相談することができます。
松戸駅東口徒歩1分の高島司法書士事務所では、遺言書の作成、相続・遺贈による不動産の名義変更、遺産分割協議書の作成などのご相談を承っています。
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