嫁に行ったら遺産相続権は無くなるのか?
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嫁に行ったら遺産相続権は無くなるのか?
(最終更新日:2025年12月5日)
(質問)
女性がお嫁に行って名字(氏)が変わった場合、実家の不動産など、実の父母の遺産を相続する権利は無くなるのでしょうか?
(回答)
結論からお伝えすると、結婚によって夫の氏(名字)に変更したとしても、実の父母の遺産を相続する権利がなくなることは一切ありません。
この点は、夫の実家で同居する、いわゆる「夫の家に嫁入りする」形であっても全く同じです。
1.名字(氏)の変更と相続権は無関係
婚姻届では「婚姻後の夫婦の氏」として、夫の氏を称するか、妻の氏を称するかを選択します。
これは夫婦としてどちらの氏を用いるかを決める手続きに過ぎず、どちらの“家”に入るか、相続権がどうなるかを決める制度ではありません。
現在の民法では、『嫁いだ長女』、『家を継ぐ長男』、『次男』などの区別は一切なく、いずれの子にも対等な相続権が認められています。
たとえば、長男・長女・次男の3名が子としている場合、相続分は各3分の1で全く同じです。
したがって、女性が結婚して名字が変わっても、実の父母に対する相続権が失われることはありません。結婚後であっても、兄弟姉妹の法定相続分は平等です。
2.誤解の背景:「家制度」について
ここから先は、参考情報として旧民法の「家制度」に関する説明です。興味のある方のみご覧ください。
(1)家制度は70年以上前に廃止済み
「○○家を継ぐ」「嫁に入ると相続できない」といった感覚は、旧民法時代の家制度の名残です。
この家制度は 1947 年(昭和22年)の民法改正で完全に廃止されています。
(2)家督相続という仕組み
家制度では、家の財産は戸主が一括承継する「家督相続」が採用されていました。
通常は長男が戸主となるため、「長男がすべて相続する」という考え方が広く浸透していました。
つまり旧民法では、戸主以外は相続権がないという仕組みであり、男性か女性か、嫁に行ったかどうかは一切関係ありませんでした。
(3)戸籍の構造も現在と異なる
当時は「家」単位で戸籍が作られており、結婚すると相手方戸主の戸籍に入るのが一般的でした。
夫の父が戸主であれば、その戸籍に「嫁」として入ることになるため、確かに「嫁に行く」という表現は現在よりもしっくりくるものだったといえます。
3.現行法の考え方:結婚=新しい戸籍を作るだけ
現行の戸籍法では、婚姻届を提出すると夫婦それぞれを記載する新たな戸籍が作られます。
夫婦どちらの氏を選択するかは自由であり、旧来の「家」に入るという概念はありません。
したがって、『結婚したから相続権が消える』、『嫁に行くと実家の財産を相続できない』といった発想には、現代の法律上の根拠は一切ありません。
まとめ
- 結婚して名字が変わっても、実の父母の遺産を相続する権利は変わらない。
- 兄弟姉妹の相続分は平等であり、家を継ぐ長男が有利という法律は存在しない。
- 「嫁に行くと相続できない」という誤解は、70年以上前に廃止された家制度の名残であり、現行法とは無関係。
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