法定相続人の確定について
誰が亡くなった方の相続人であるのか、ご家族であれば調査しなくともお分かりなのが通常でしょう。しかし、相続手続をするにあたっては、遺産分割協議に参加している相続人が、法定相続人の全員であることを、戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍)などにより証明しなければなりません。
そのため、土地や建物についての相続登記、銀行預金の解約(払い戻し)などをしようとする際には、ここで解説するすべての戸籍謄本などを用意する必要があります。
司法書士に相続登記の手続きをご依頼をいただいた場合、相続人確定のために必要な戸籍謄本などの収集はすべて司法書士にお任せいただけます。それでも、まずはご自身で手続きを進めてみたい方のために、司法書士がどのようにして相続人の確定を行っているかについて解説します。
実際に手続きを進める際には、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)までご相談ください。
法定相続人の調査・確定の手順
法定相続人を確定するのにあたって、まずは、被相続人の死亡時に配偶者(夫・妻)がいれば、その配偶者は必ず法定相続人となります。被相続人の死亡時に配偶者がいたかどうかは、被相続人の死亡時の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)により明らかになります。
続いて、他に誰が法定相続人となるか、戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍)を取得することにより次の順序で調査していきます。
1.子(または、その代襲者)の有無の確認
1-1.子の有無
調査方法 | 調査結果 | |
---|---|---|
被相続人の出生までさかのぼる戸籍等を取得 | 有り | 存命 → 相続人に確定 |
先に死亡 → 1-2 へ | ||
無し → 2 へ |
第1順位の相続人である子の有無を確認します。被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍謄本)のすべてを取得することにより、被相続人の子がすべて判明することとなります。
出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本などが必要なのは、前妻(前夫)との間に子がいる場合や、認知している未婚の子がいることがあるからです。これらの場合でも、上記の戸籍謄本などによってすべて判明します。
1-2.代襲相続人(子の子)の有無
被相続人よりも先に亡くなっている子がいる場合、代襲相続人の有無を確認します。
子に子(被相続人の孫)がいれば、すべて代襲者として相続人となります。したがって、子の出生から死亡に至るすべての戸籍謄本などが必要となります。
調査方法 | 調査結果 | |
---|---|---|
子の出生までさかのぼる戸籍等を取得 | 有り | 存命 → 相続人に確定 |
先に死亡 → 1-3 へ | ||
無し → 2 へ(※1) |
※1 代襲相続人がいなかったとしても、子である相続人が他にいるときには、直系尊属が相続人となることはありませんから、ここで調査完了です。
1-3.再代襲相続人(子の子の子)の有無
被相続人の子の子(被相続人の孫)も先に死亡している場合、その子(被相続人のひ孫)がいれば相続人となります(再代襲)。よって、再代襲の可能性がある場合には、その有無が分かる戸籍等についても取得することになります。
調査方法 | 調査結果 | |
---|---|---|
子の子の出生までさかのぼる戸籍謄本等を取得 | 有り | 存命 → 相続人に確定 |
先に死亡 → 2 へ(※2) | ||
無し → 2 へ(※2) |
※2 再代襲相続人がいなかったとしても、子である相続人(または、代襲相続人)が他にいるときには、直系尊属が相続人となることはありませんから、ここで調査完了です。
2.直系尊属(父母、祖父母など)の生死の確認
調査方法 | 調査結果 |
---|---|
戸籍等により直系尊属の生死を確認 | 存命 → 相続人に確定 |
先に全員死亡 → 3 へ |
子(または、その代襲相続人)がいない場合、第2順位相続人である直系尊属について調査します。
親等が異なる直系尊属がいる場合には、近い方が法定相続人となります。たとえば、父母のいずれか(または双方)が存命であれば法定相続人となりますから、祖父母についての調査は不要です。
同様に、父母が先に死亡していて、祖父母のいずれか(または双方)が存命であれば法定相続人となりますから、曽祖父母の調査は不要です。
3.兄弟姉妹(または、その代襲者)の有無の確認
3-1.兄弟姉妹の子の有無
調査方法 | 調査結果 | |
---|---|---|
被相続人の父母の出生までさかのぼる戸籍等を取得 | 有り | 存命 → 相続人に確定 |
先に死亡 → 3-2 へ | ||
無し → 調査終了(※3) |
子、直系尊属がいない場合、第3順位である兄弟姉妹を調査します。兄弟姉妹であれば、父(または母)が違っても相続人となります。そこで、被相続人の父母それぞれについて、出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本などを取得することで、兄弟姉妹のすべてを明らかにします。
※3 配偶者がいれば唯一の法定相続人となり、いなければ相続人不存在です。
3-2.兄弟姉妹の子(代襲相続人)の有無
調査方法 | 調査結果 | |
---|---|---|
兄弟姉妹の出生にさかのぼる戸籍等を取得 | 有り | 存命 → 相続人に確定 |
先に死亡 → 調査終了(※4) | ||
無し → 調査終了(※4) |
(注2)配偶者がいれば唯一の法定相続人となり、いなければ相続人不存在です。
※4 代襲相続人がいなかったとしても、相続人である兄弟姉妹が他にいるときには、配偶者とともに相続人となります。相続人である兄弟姉妹も、配偶者もいないときには、相続人不存在です。
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