法定相続人の確定に必要な戸籍謄本など | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

前回の記事では、法定相続人となるのは誰であるかについて解説しましたが、今回は、それを明らかにするために必要な戸籍等についてご説明します。 なお、ご家族の方であれば、下記のような手順を踏まなくても、誰が法定相続人となるかは …

法定相続人の確定に必要な戸籍謄本など

(最終更新日:2025年11月21日)

相続登記をはじめとする相続手続きを行う際には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本に加え、複数の戸籍関係書類を取得する必要があります。

本ページでは、「法定相続人の確定に必要な戸籍謄本等」について、具体的にどの書類が求められるのかを分かりやすく解説します。

司法書士に相続登記を依頼する場合には、必要となる戸籍類について司法書士が丁寧にご説明し、ご希望に応じてすべての取得を代行することも可能です。それでも、「必要書類は自分で揃えたい」とお考えの方には、本ページの内容がお役に立つはずです。


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相続登記(不動産の名義変更)などの相続手続きをおこなう際には、誰が相続人であるのかを戸籍などにより明らかにする必要があります。

ご家族の方であれば、戸籍などの書類を確認しなくとも、誰が相続であるのかお分かりになるのが通常でしょう。しかし、法務局で相続登記をしたり、銀行で預貯金の相続手続きをするときなどは、戸籍などの公的書類により相続人を証明することが必要です。

1.配偶者の有無について

被相続人が亡くなった時点(相続開始時)に法律上の配偶者がいれば、必ず相続人となります
夫婦は同じ戸籍に記載されていますので、相続開始後に取得する被相続人の戸籍謄本によって配偶者の有無を確認できます。

※内縁(事実婚)の配偶者は相続人にはなりません。

2.子の有無について

被相続人に子がいれば、第一順位の相続人となります。婚姻関係のある相手との子だけでなく、婚外子であっても認知していれば相続人になります。

また、離婚後に再婚している場合、前妻(前夫)との間の子も相続人です。

被相続人に子がいる場合、その子は第一順位の相続人となります。法律婚の配偶者との子だけでなく、婚外子でも認知されていれば相続人となります。

また、被相続人が離婚後に再婚している場合、前妻(前夫)との間の子も、後妻(後夫)との子と同様に相続人です。


なぜ出生から死亡まで全ての戸籍が必要なのか

子がいるかどうかを正確に確認するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本)を取得する必要があります。

理由としては、人は次のような理由で戸籍の変動を繰り返すためです。

  • 出生すると親の戸籍に記載される
  • 結婚すると新しい戸籍が作られる
  • 離婚や転籍により別の戸籍に移る
  • 戸籍の改製(様式変更)により旧戸籍が除籍される

すべての戸籍を取得することで、

  • 前妻(前夫)との子
  • 婚姻していない相手との認知した子

など、被相続人の全ての子の状況を漏れなく把握できるようになります。


子が相続人であることがわかった場合

被相続人に子がいることが確認できた場合、そのすべての子が相続人となります。この場合、第一順位の相続人が確定するため、父母や兄弟姉妹など次順位の相続人を調べる必要はありません。

相続人である子については、被相続人の死亡後に取得した戸籍謄本が必要です。これは、相続開始時点においてその子が確かに存命であり、相続権を有していたこと(=相続人であったこと)を証明するためです。


子が先に死亡している場合(代襲相続)

被相続人の子が、

  • 被相続人よりも先に死亡している
  • 相続欠格・廃除により相続権を失っている

といった場合には、その子の子(=被相続人の孫)が代襲相続人となります。

代襲相続が発生する場合には、相続関係を確認するため、孫の戸籍謄本も取得する必要があります。

なお、代襲相続人である孫についても、子の場合と同様、被相続人の死亡後に取得した戸籍謄本が必要となります。相続開始時に代襲相続人が存命であることを証明するためです。

3.直系尊属について

被相続人に子がいない場合、次順位の相続人は直系尊属(父母・祖父母など)となります。直系尊属が複数いるときは、親等の近い者が優先して相続人になります。

まず、被相続人の父母が存命であるかを戸籍で確認します。父母のいずれか一方でも存命であれば、その方が相続人となり、親等の異なる直系尊属が同時に相続人となることはありません。したがって、父母(または父母のいずれか)の存命が確認できれば調査はそこで完了します。

父母がいずれも死亡している場合には、祖父母のうち存命の方がいるかどうかを戸籍で確認します。直系尊属の中に存命の方がいれば、その時点で相続人が確定するため、兄弟姉妹(またはその代襲者)の有無を調べる必要はありません。

4.兄弟姉妹について

被相続人に子がおらず、かつ存命の直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹については、父母が両方同じ場合だけでなく、父母の一方のみが同じ場合であっても相続人となります(いわゆる半血兄弟)。

そこで、兄弟姉妹の有無を確認するためには、被相続人の父母の出生まで遡るすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)を取得する必要があります。

父母の出生から死亡までの戸籍をたどることにより、父母それぞれに別の子(=被相続人にとっての兄弟姉妹)が存在したかを把握できるためです。

そこで、兄弟姉妹の有無を確認するためには、被相続人の父母の出生にさかのぼる戸籍謄本等の全てを取得する必要があります。

また、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合には、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となります。この場合には、甥・姪の戸籍も取得して相続関係を確認する必要があります。

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「法定相続人の確定に必要な戸籍謄本など」まとめ

相続登記をはじめとする相続手続きを適切に行うためには、法定相続人を正確に確定することが欠かせません。そのためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍をたどり、子・配偶者・直系尊属・兄弟姉妹のいずれが相続人となるのかを戸籍により証明する必要があります。

相続人を確認するために取得すべき戸籍は、婚姻・転籍・改製など、人生の節目でたびたび編製されるため、1通だけではなく複数の戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を取得するのが通常です。これらをすべて揃えて初めて、法律上の相続人が誰であるかを漏れなく確認できます。

  • 被相続人に子がいれば、その子が相続人
  • 子がいなければ、父母・祖父母などの直系尊属
  • 直系尊属がいなければ、兄弟姉妹(または代襲者)

というように、相続人は法律で順位が定められており、必要な戸籍を正しく収集することで、その順位に従った相続人が明らかになります。

戸籍の取得や読み取りには専門的な知識が必要となることも多く、特に戸籍の改製や離婚・再婚などが絡む場合には、取得すべき戸籍が増えるなど、難易度が上がります。

松戸の高島司法書士事務所では、相続登記のご依頼に際し、必要となる戸籍の内容について丁寧にご説明し、ご希望に応じて戸籍取得の代行も承っております。「どの戸籍を揃えればよいかわからない」「戸籍の読み方に不安がある」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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