相続放棄の各種事例(3ヶ月経過後) | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅1分)

被相続人が亡くなった時から3ヶ月を経過した後に相続放棄の申述ができるのか、様々な事例について解説します。相続放棄のご相談は、千葉県松戸市の高島司法書士事務所へ。

相続放棄の各種事例(3ヶ月経過後の申述が受理されるケース)

(最終更新日:2025年8月5日)

相続放棄ができるのは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であるのが原則です。この3ヶ月の期間のことを熟慮期間(じゅくりょきかん)といいます。

自己のために相続の開始があったことを知った時とは、相続開始の原因となるべき事実を知り、それによって自分が相続人となったことを知った時です(くわしい解説は、相続放棄できる期間【3ヶ月の熟慮期間の起算点】のページをご覧ください)。

このページでは、相続放棄ができる期間を判断するうえで極めて重要となる3ヶ月の熟慮期間の開始時期について、様々な事例にもとづいて解説をします。

ただし、当事務所で実際に取り扱った事件をベースにしていますが、同じようなケースだからといって必ず相続放棄の申述が受理されるとは限りません。手続きをするにあたっては、相続放棄に詳しい専門家(司法書士、弁護士のいずれか)へ事前に相談なさることをおすすめします。

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、2002年の事務所開業時から20年以上の長期にわたり相続放棄の申立てを多数おこなってまいりました。3ヶ月経過後の相続放棄の取り扱い経験も豊富です。当事務所へのご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。

1.相続の開始を知った時が問題になる場合

1-1.所有していた不動産の固定遺産税の賦課替えの通知

1-2.被相続人の借金についての、債権者からの督促状

1-3.被相続人が住んでいたアパートの大家(管理会社)からの通知

2.自分が相続人となったことを知った時が問題になる場合

1.相続の開始を知った時が問題になる場合

相続開始の原因となるべき事実とは、被相続人の死亡の事実を指します。被相続人との間の交流が途絶えていた場合、その相続開始(死亡)の事実を知るきっかけとして様々なケースがあります。

1-1.所有していた不動産の固定遺産税の賦課替えの通知

長年にわたり音信不通だったご家族(被相続人)が亡くなった事実を、市役所(資産税課)からの「固定遺産税についての相続人への賦課替えについて」の通知によって知った事例です。

ご依頼者(相続放棄の申述人)は、幼い頃に父母が離婚しました。その後は、親権者である母に育てられ、母子ともに父との交流は一切ありませんでした。

このような場合であっても、実の親子であれば相続人であることには変わりありませんが、何十年もの間お互いがどこに住んでいるかも知らない状況でしたから、父親が亡くなった事実をすぐに知ることは不可能であるのが通常でしょう。

それを、市区町村からの上記のような通知によって、父親の死亡により自分が相続人となった事実を知ったわけです。このような事情がある時には、父親が亡くなり相続が開始した事実を知った時から3ヶ月以内であれば、問題なく相続放棄が可能であると考えられます。

この事例についての解説

固定資産税は、地方税法第343条の規定により、賦課期日である毎年1月1日現在の固定資産(土地、家屋)の所有者に課税されます。

ところが、賦課期日においてその方が亡くなっているにもかかわらず、相続人などへの名義変更手続きが行われていない場合には、その固定資産を現に所有する方(相続人など)が納税義務を承継します。

そこで、被相続人が亡くなり相続が開始したのに不動産の名義変更がされないままになっている場合、市の資産税課などが、戸籍謄本などにより法定相続人を調査し上記のような通知を送付しているのです。

このようなケースでは、固定資産(不動産)を相続人として相続したうえで、固定資産の納税義務を果たすことも可能です。しかし、そのようにする場合には、長年にわたって音信不通であったご家族についての相続人としての権利義務をすべて引き継ぐこととなります。

固定資産税のほかには債務が存在しないのであれば、固定資産税の支払いをした後に、相続した不動産を売却するというような方法も考えられます。しかし、被相続人の生前の暮らしぶりが全くわからないような場合には、相続放棄するとの選択をするケースも多いと思われます。

その他の通知書の例

上記のような通知のほかにも、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)で取り扱ったケースの中には、次のような通知書などが届いたことにより被相続人の死亡の事実などを知ったという例があります(下記通知の中には、死亡の事実は知っていたものの、相続財産の存在は知らなかったケースも一部含まれています)。

・都税事務所からの『固定資産税・都市計画税等について』

・都税事務所からの『法定相続人に対する固定資産税・都市計画税の課税について』

・市役所からの『固定資産税に係る「現所有者申告書」」の提出について(依頼)』

・市役所からの『固定資産税における納税義務者の確認について』

・市役所からの『連帯納税義務について(通知)』

・市役所からの『建築物等の現況について(連絡)』

・市役所からの『亡○○○○様所有の不動産に係る固定資産税について(通知)』

・市役所からの『相続人代表者指定届兼固定資産現所有者申告書」の提出について(お願い)』

・市役所からの『相続人代表者(納税義務者)の届出について(お願い)』

・市役所からの『相続人代表者指定届のお願いについて』

・市役所からの『空家等の適正管理について(お願い)』

・税務署からの『相続による納税義務の承継に係る事前の確認について」』

・県の健康福祉センターからの『債務の相続又は放棄について』

・市の福祉部高齢者福祉課からの『令和○年度介護保険料額変更通知書の送付について』

・県税事務所からの『故○○○○様の県税のことで、相続人の方にご説明させていただきたいことがあり・・・』と書かれた通知書

・市の保健福祉センター社会援護課からの『○○○○様のご遺骨について』と書かれた通知書

市町村、都税事務所などからの通知により、被相続人の死亡の事実を知った場合などでは、そのときから3ヶ月以内であれば問題なく相続放棄が可能であるのが通常です。この場合でも、期限内の申立てが必要となりますから、早急に専門家(司法書士、弁護士のいずれか)に相談するようにしてください。

1-2.被相続人の借金についての、債権者からの督促状

伯父(父の兄)とは、10年ほど前に父が亡くなったときに葬式で会って以来、交流が途絶えて音信不通になっていました。伯父の子供たち(従兄弟、従姉妹)とも同様で、親戚付き合いは一切なくなっていたので、伯父が3年前に死去していたことも知らずにいました。

それが、最近になって、伯父に対する債権者を名乗る金融会社から督促状が届いたのです。そこで、伯父の子(従兄弟)に連絡を取ってみたことで、伯父が亡くなっていることと、自分たちは既に相続放棄しているということを知らされました。

そのため、先順位相続人の全員が相続放棄したことにより、知らぬ間に甥であるご依頼者(相続放棄の申述人)が相続人となっていたのです。先順位相続人が相続放棄したことを、次順位相続人に通知するような制度は無いので、自発的に知らせてくれない限りこのようなことも起こりえます。

このようなケースであっても、被相続人の死亡の事実、および先順位相続人が相続放棄した事実を知らなかったのであれば、それらの事実を知ったときから3ヶ月以内は相続放棄の申述が可能です。

1-3.被相続人が住んでいたアパートの大家(管理会社)からの通知

ご依頼者(相続放棄の申述人)の父は再婚しています。ご依頼者は再婚後に生まれた子ですが、被相続人は一度目の結婚のときに生まれた子です。この場合、母は違っても2人は兄と弟の関係となるものの、被相続人の生前にはその事実すら知りませんでした。

したがって、兄が亡くなったときにも、その事実を知ることは当然ありませんでした。それが、兄が借りていたアパートを管理している不動産会社から通知が届いたことにより、兄の存在および死亡の事実を同時に知ることとなったのです。

兄(被相続人)の直系尊属は既に亡くなっており、また生涯独身だったため相続人となる子もいなかったので、遺品の処分をすべき相続人が見つからない状況でした。

そこで、戸籍謄本などを取得し調査をしたことで、弟であるご依頼者の存在が判明したため、相続人として遺品の処分をしアパートを引き払うことを求めてきたのです。

ご依頼者としては、兄の財産状況など皆目見当が付くわけありませんし、そもそも存在すら知らなかった兄の遺産整理などするつもりもありません。

そこで、司法書士に相談をした結果、相続放棄をすることとなりました。このケースでも、相続の開始どころか、被相続人の存在すら知らなかったわけですから、それらの事実を知ったときから3ヶ月以内であれば相続放棄が可能です。

2.自分が相続人となったことを知った時が問題になる場合

被相続人が死亡したとの事実は知っていたものの、自分より先順位の相続人がいるため自分は相続人ではないと考えていたところ、知らぬ間に先順位者が相続放棄していたことにより、自分が相続人になっていたというようなケースです。

ご依頼者(相続放棄の申述人)は被相続人の弟です。かつては仲の良い兄弟だったのが、父の遺産相続を巡って仲違いしていまい、その後はほとんど交流が途絶えていたというような状況でした。

そのため、兄が亡くなったと聞いても、通夜にも葬式にも顔を出すことはありませんでした。

兄の生前の暮らしぶりはよく知らなかったものの、兄には子が2人いたので、自分が相続人になることがあるとは全く考えていませんでした。それが、兄が亡くなってから半年ほどが過ぎた後になって、消費者金融からの督促状が届きました。

驚いて開封してみると、兄の借金についての支払いを求めるとの内容でした。兄の子たちが相続放棄したため、弟であるご依頼者が相続人になっていたとのことです。

先順位相続人が相続放棄した場合に、次順位者に通知が行くような制度はありません。したがって、先順位者が自主的に伝えてくれなかったとすれば、自分が相続人となったことを知るのは困難です。

この事例では、兄の死亡(相続の開始)は間をおかずに知っていたものの、自分が相続人となっていたことは知らなかったわけです。

このような場合には、「自己のために相続の開始があったことを知った時」との要件を満たしていないため、3ヶ月の熟慮期間はスタートしていません。よって、先順位相続人が相続放棄したことを知った時から3ヶ月以内は相続放棄が可能であると考えられます。

上記とは異なる事例であっても、「先順位の相続人が相続放棄しているのを知らなかった」というご相談は当事務所でも多数いただいています。通知などによって先順位者の相続放棄を知った場合には、早急に専門家に相談して相続放棄の手続きをとるようにするべきです。

相続放棄の管轄裁判所(全国の裁判所に対応します)

相続放棄の申立ては、相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所へおこないます(相続放棄をする方の住所地を管轄する家庭裁判所ではありません)。

たとえば、相続開始地が千葉県松戸市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、野田市の場合には「千葉家庭裁判所松戸支部」、市川市、船橋市なら「千葉家庭裁判所市川出張所」、東京23区内であれば、千代田区霞ヶ関にある「東京家庭裁判所」となります。

ただし、家庭裁判所への相続放棄の申立ては郵送によりおこなうことも可能です。当事務所では、多数の相続放棄を取り扱っており豊富な経験と実績があるので、郵送による手続きでもまったく問題ありません。

したがって、全国どこの裁判所への申立てであっても、松戸の高島司法書士事務所へご依頼いただくことが可能ですし、裁判所が遠方だからといって追加費用がかかることもありません。

相続放棄のことなら何でも千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)にご相談ください。ご相談は予約制ですので、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いします。

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