遺留分とその減殺請求 | 松戸の高島司法書士事務所

法定相続人は、被相続人の遺産を引き継ぐ法的権利を持っています。もし、法定相続人が複数の場合には、その法定相続分に応じて遺産相続の権利があるわけです。 しかし、被相続人は遺言書を作成することや、生前贈与をすることによって、・・・

遺留分とその減殺請求

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(公開日:2012年4月7日)

民法改正(令和元年7月1日施行)により遺留分制度の見直しがおこなわれています。これにより、かつての遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」へと変更されています。くわしくは、遺留分制度の見直しをお読みください。

以下は、民法改正前の遺留分減殺請求について書かれたものですのでご注意ください。

法定相続人は、被相続人の遺産を引き継ぐ法的権利を持っています。もし、法定相続人が複数の場合には、その法定相続分に応じて遺産相続の権利があるわけです。

しかし、被相続人は遺言書を作成することや、生前贈与をすることによって、特定の人だけに多く遺産を引き継がせることが可能ですし、その気になれば全ての遺産を一人の人に相続させることもできるわけです。

例えば、子供のうちの一人を特にかわいがっている場合に、その子供だけに全財産を相続させようとすることもあるかもしれません。更に、相続人には財産を一切引き継がせず、遺言書を作成しておくことで、全てを愛人に与えよう(遺贈)とすることも可能です。

故人(被相続人)の意思が尊重されるべきなのは当然だとしても、それでは遺産を受け取ることができなかった相続人が生活に困ることにもなりかねません。そのような事態を避けるために、遺留分の制度があるのです。

法定相続人には、被相続人の意思に関わらず、最低限の相続分を受け取る権利が与えられています。これを遺留分といいます。ただし、遺留分がある相続人は、配偶者、子(またはその代襲相続人)、直系尊属に限られます。つまり、兄弟姉妹には遺留分は無いわけです。被相続人の意思に反してまで、兄弟姉妹に遺産を相続する権利を与える必要性はないと考えられるからでしょう。

被相続人の財産に対して、遺留分の権利を持つ相続人についての、具体的な遺留分の割合は次のとおりです。

1 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2 それ以外の場合 被相続人の財産の2分の1

遺留分権利者が二人以上の場合には、遺留分全体を民法の法定相続分の割合にしたがって分けることになります。たとえば、遺産の総額が1000万円で、法定相続人が妻と子2人の場合の遺留分は次のように計算します。

遺留分の総額は、相続財産の2分の1なので500万円。法定相続分は妻が2分の1、子はそれぞれ4分の1ずつ。したがって、妻の遺留分は250万円、子は125万円ずつ。

たとえば、「長男に全ての財産を相続させる」との遺言を残して、夫が亡くなった場合でも、妻は遺留分である250万円を受け取る権利があるのです。遺留分権利者が遺留分もを求めて行う請求のことを、遺留分減殺請求といいます。

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