遺産分割協議前に相続人が死亡した場合
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(最終更新日:2021/10/28)
(質問)
法定相続人は、被相続人(父親)の3人の子供(長女、長男、次男)です。被相続人名義の土地と家がありますが、名義変更をしないでいるうちに長男が死亡しました。この場合、長男の相続権はその子供に移るのでしょうか?
(回答)
ご質問のケースでは、ご長男の相続権がそのまま、そのお子さんに相続されることになります。お父様の遺産については3人が3分の1ずつの相続権を持っていたので、ご長男のお子さんに引き継がれる権利も遺産全体の3分の1だというわけです。
また、ご長男に配偶者(妻)がいる場合には、その妻にも遺産相続権が与えられます。つまり、義父の遺産についての相続権があるわけです。
通常であれば、配偶者の両親(義父、義母)についての相続人となるのは、義父、義母と養子縁組をしている場合だけです。たとえば、婿養子になるという場合、婚姻するのと同時に配偶者の両親と養子縁組をするので、義父母の法定相続人となります。
ご質問のケースでは、義父母と養子縁組したなどの特別な事情がないのに、義父についての相続権を持つことになります。これは、義父の相続人となるからではなく、法定相続人である夫の遺産相続権を相続したことによるからです。
このように、一つの相続についての遺産相続手続きが完了しないうちに、新たな相続が開始している状況のことを「数次相続」といっています。お父様の相続(第1次相続)にご長男の相続(第2次相続)が続いているわけです。
数次相続が開始している場合、第2次相続の被相続人であるお父様名義の不動産(土地、家)を、第2次相続の相続人であるご長男のお子さんに名義変更することも可能です。本件でいえば、ご長女、ご次男、そしてご長男の配偶者と子が参加しての遺産分割協議をします。
そして、ご長男の子が不動産を相続するとの内容の遺産分割協議書を作成し、上記の全員が署名押印をします。この遺産分割協議書を添付することで不動産の名義変更(相続登記)をすることができるのです。
数次相続の場合には、本来の相続人ではない孫にも直接名義変更ができるわけです。それならば、先祖代々引き継がれている土地の場合には、相続が開始する度に名義変更をする必要はないようにも思えます。
しかし、第3次相続、第4次相続と続いた後に遺産分割協議をするとします。この場合、相続人の数が膨大になっている可能性があります。そうなれば、相続人全員と連絡を取り、遺産分割協議書に署名押印をもらうことなど不可能になっているかもしれません。
結局、期限のあるなしにかかわらず、相続登記は相続開始後できるだけ早めにおこなっておくべきだといえます。
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