嫁に行ったら遺産相続権は無くなるのか?
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(最終更新日:2021/10/29)
(質問)
女性がお嫁に行って名字(氏)が変わったら、実家不動産など実の父母の遺産を相続する権利が無くなるのでしょうか?
(回答)
勘違いされている人も多いようですが、結婚して夫の家に「嫁入り」しても、実の父母についての遺産相続権が失われるなどということはありません。
婚姻届を出すときには、「婚姻後の夫婦の氏」として、「夫の氏」と「妻の氏」どちらを証するかの選択をしますが、これは単に夫婦が使用する氏(名字)を決めるだけであって、どちらかの家に嫁入り(または婿入り)するということではないのです。
現在の法律(民法)では、子供であれば、嫁に行った娘だろうが、家の跡取りとなる長男であっても、遺産を相続する権利は全く同じです。
長男が次男よりも相続分が多いこともありませんし、長男、長女、次男の3人の子供がいたとすれば、相続分は3分の1ずつで全く同じです。
上記のとおりなので、女性がお嫁に行って名字が変わったとしても、実の父母に対する相続権が失われることはありません。結婚後も子の間で相続権に変わりはなく、兄弟姉妹の法定相続分も同じです。
以下は、「○○家」というような場合の、家制度についてのお話しですので、興味のある方だけお読みください。
最初に確認しておくと、そもそも「家」という制度があったのは旧民法の時代の話であって、1947年(昭和22年)の民法改正によって廃止されています。
家制度においては、子たちの相続権は同等ではなく、戸主が家督相続により全ての遺産を承継しました。通常は長男が戸主となりましたから、家を継ぐ長男がすべての遺産を相続するとの発想はここから来ているわけです。
つまり、旧民法の家制度においては、戸主以外の人には相続権がないのですから、男だろうが女だろうが嫁に行こうが行くまいが関係ありませでした。
また、家制度では、結婚すると相手方の一家の戸籍に入るのが通常でした。現在では1つの戸籍に入るのは親子2世代のみですが、かつては「家」単位に戸籍が作られていたからです。
そこで、夫の父が戸主だったとすれば、その戸籍の中に子の嫁として入るわけです。この仕組みであれば、たしかに「嫁に行く」という言葉がしっくりきます。
しかし、現行の法律(戸籍法)では、婚姻届を提出すると夫婦について新たに戸籍が作成されます。その際、夫婦どちらの姓(名字)を使用するか選択するわけです。
現状では、婚姻により夫の氏(名字)を名乗るケースが多いのはたしかですが、だからといって嫁に行ったという表現はふさわしくありません。夫の名字を使用するのであっても戸籍は新たに作成されるのであり、あえて「家」という言葉を使うならば、「結婚により新たな家が生まれた」とでもいうべきでしょうか。
結局は、嫁に行ったからとか、長男だからといった考えは、すべて70年以上も前に廃止されている家制度を引きずっているだけなのです。年配の方の中には、まだその頃の感覚を持っている方もいるでしょうが、現代の法律では何の根拠もないものとなっているわけです。
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