相続登記の手続きに期限はあるのか
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(2021/11/12追記)
令和3年4月21日に公布された『民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)』により相続登記が義務化されることが決定しています。この法律の施行期日は、原則として公布後2年以内の政令で定める日とされていますが、相続登記の申請の義務化関係の改正については公布後3年以内の政令で定める日とされています。
したがって、現時点では相続登記に期限はないとしても、近い将来には3年以内の相続登記が義務化されることが決定しています。そのため、相続登記はすみやかにおこなう義務があると考えて手続を進めるべきです。相続登記の期限などについて詳しくは、相続登記の義務化をご覧ください。
下記の投稿は相続登記の義務化が決まる前に書かれたものですが、相続登記をしないことによって生じる不都合については現在でも同様だといえます。
相続登記には、相続開始(被相続人の死亡)から何ヶ月以内にしなければならないなどの期限はありません。
そもそも、不動産の所有者が変わったからといって、その登記をすること自体が義務ではありません。したがって、不動産を相続した際に、その名義変更をいつするかは個人の自由なのです。
それでは、相続登記は不要かといえば、決してそんなことはありません。期限はなくとも早めに手続きをしておくべきです。
相続登記をしないことの問題点
相続登記の手続きをせず、被相続人(亡くなった方)の名義のままになっていたとしても、通常はただちに不都合が生じることはありません。じっさいにも、自宅不動産が何十年も前に亡くなったおじいさんの名義のままになっているようなケースもしばしば目にします。
しかし、被相続人名義のままでは、その不動産を処分することができません。たとえば、不動産を売却し名義変更するときには、事前に相続登記を済ませておかなければなりません。
また、自宅の建て替えをして住宅ローンを組む場合には、借入先の金融機関により抵当権が付けられます。この抵当権設定登記をする前にも、必ず相続登記をしなければなりません。
相続開始(被相続人の死亡)から時間が経ってしまっていると、必要に迫られて相続登記をおこなおうとしても、手続きがたいへん困難になってしまうことがあるのです。
新たに相続が発生することがある(数次相続)
不動産所有者が亡くなっても相続登記しないでいるうち、さらに相続人であった方が亡くなってしまったとします。この場合、相続人としての権利が相続されることになりますから、時間の経過とともに相続人が際限なく増えていくことになります。
上の図では、相続人は妻、長男、長女の3人です。ところが、相続登記をしないでいるうちに長男が亡くなってしまったとします。
この場合、長男の相続権が、長男の相続人に引き継がれます。つまり、上図のとおり、被相続人の妻、長女に加え、長男の妻および子が相続人に加わるわけです。
このように1つの相続手続きを行わないでいるうちに、次の相続が生じている状態を「数次相続」といいます。何代にもわたって数次相続が発生してしまえば、相続人の数はどんどん増えていきます。
そうなれば、相続人の全員に連絡を取り、遺産分割や相続登記の手続きに協力してもらうのは至難の業かもしれません。
戸籍、住民票などの必要書類が取れなくなることがある
そこまで大げさな話ではなく、10年前に亡くなった夫のままになっている不動産の名義を、妻に変更したいとのご相談は非常に多くあります。この場合、相続人の数が増えてしまってるわけではないですから、遺産分割協議できないなどの問題はないでしょう。
しかし、このときに問題になるのは、相続登記をするための必要書類を手に入れるのが困難な場合があることです。たとえば、被相続人の最後の住所を証明するための除住民票(または、戸籍の附票)が必要ですが、役所での除住民票の保存期間は除票になってから5年間です。この場合であっても、戸籍の附票により最後の住所を証明できることもありますが、時間が経ってしまうとそれも不可能になってしまうときもあります。
また、除籍謄本(改製原戸籍)にも保存期間がありますから、相続人の全員を確定させるための除籍謄本などの取得ができなくなってしまうこともあります。このように必要な書類が用意できない場合であっても、他の資料などを用意することで最終的には名義変更をすることはできるはずです。
けれども、そのためにかかる手間や費用を考えれば、相続登記は早く済ませておくのが良いのに間違いありません。すでに相続開始から長期間が経ってしまっていたとしても、少しでも早く手続をすることをお勧めします。
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