熟慮期間とは(相続放棄・限定承認)

熟慮期間とは、相続人が単純承認、限定承認または相続放棄を選択するための3か月間です。いつから始まるのか、後順位の相続人や相続財産を後から知った場合の起算点、期間伸長、法定単純承認の注意点を解説します。

熟慮期間とは – 相続・遺言の用語集

相続放棄の申述や、相続の承認または放棄の期間伸長など、家庭裁判所へ提出する書類の作成については、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。

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熟慮期間とは(相続放棄・限定承認)

(最終更新日:2026年8月27日)

熟慮期間とは、相続人が、相続について単純承認、限定承認または相続放棄のいずれを選択するかを検討するための期間です。

民法では、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続を単純承認するか、限定承認または相続放棄をするかを決めなければならないと定められています。

限定承認または相続放棄をする場合には、熟慮期間内に家庭裁判所へ申述する必要があります。熟慮期間内に限定承認や相続放棄をせず、期間伸長の申立てもしていない場合には、原則として相続を単純承認したものとみなされます。

1.熟慮期間とは

2.熟慮期間はいつから始まるのか

2-1.配偶者や子が相続人となる場合

2-2.先順位の相続人が相続放棄した場合

3.相続財産を後から知った場合

4.熟慮期間を伸長する手続き

5.熟慮期間中の注意点

5-1.何もしないまま3か月が経過した場合

5-2.相続財産を処分した場合

6.相続放棄・期間伸長についてのご相談

1.熟慮期間とは

相続が開始した場合、相続人は、次の3つのうちいずれかを選択します。

  • 単純承認
  • 限定承認
  • 相続放棄

単純承認とは、被相続人が有していた財産上の権利と義務を、借入金などの債務も含めてすべて引き継ぐことです。単純承認をするために、家庭裁判所で特別な手続きをする必要はありません。

限定承認とは、相続によって取得した財産の限度で、被相続人の債務を負担する制度です。共同相続人がいる場合には、相続人全員が共同して家庭裁判所へ限定承認の申述をする必要があります。

相続放棄とは、被相続人の財産上の権利や義務を一切引き継がないこととする手続きです。相続放棄をする場合には、相続人ごとに家庭裁判所へ相続放棄の申述をします。

相続人は、熟慮期間中に、必要に応じて相続財産や債務を調査し、いずれの方法を選択するかを判断します。

2.熟慮期間はいつから始まるのか

熟慮期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から始まります。

自己のために相続の開始があったことを知った時とは、次の2つの事実を知った時です。

  • 相続開始の原因となる事実
  • その相続によって自分が法律上の相続人となった事実

相続開始の原因となる事実とは、通常、被相続人が死亡した事実です。

被相続人の死亡を知らない間は熟慮期間が開始しないため、死亡した日から一律に3か月となるわけではありません。

被相続人が死亡したことを後になって知った場合には、原則として、その事実を知った時から熟慮期間が始まります。

また、複数の相続人がいる場合でも、熟慮期間の起算点は相続人ごとに判断されます。

2-1.配偶者や子が相続人となる場合

被相続人の配偶者や第1順位の相続人である子は、通常、相続開始と同時に相続人となります。

そのため、配偶者や子については、被相続人が死亡した事実を知った時と、自分が相続人となった事実を知った時が一致するのが通常です。

たとえば、親子であっても長期間にわたって交流がなく、被相続人が死亡したことを知らなかった場合には、死亡した日ではなく、その死亡を知った時から3か月以内に相続放棄の申述をすることになります。

2-2.先順位の相続人が相続放棄した場合

被相続人の直系尊属や兄弟姉妹などは、先順位の相続人がいる間は相続人になりません。

たとえば、被相続人に子がいる場合、第2順位の直系尊属や第3順位の兄弟姉妹は相続人ではありません。子全員が相続放棄すると直系尊属が相続人となり、子と直系尊属の全員が相続放棄すると兄弟姉妹が相続人となります。

このような場合、後順位の人の熟慮期間は、先順位の相続人が相続放棄したことにより、自分が相続人となった事実を知った時から始まります。

先順位の相続人には、自分が相続放棄したことを後順位の人へ知らせる法律上の義務はありません。また、先順位の相続人が相続放棄しても、家庭裁判所から後順位の人へ当然に通知されるわけではありません。

そのため、債権者からの通知などによって、先順位の相続人が相続放棄したことと、自分が相続人となったことを初めて知る場合もあります。

3.相続財産を後から知った場合

被相続人が死亡したことと、自分が相続人であることを知ってから3か月が経過している場合でも、特別な事情があるときには、相続放棄の申述が受理されることがあります。

最高裁判所昭和59年4月27日判決では、相続人が被相続人には相続財産が全く存在しないと信じており、相続財産の有無を調査することが著しく困難な事情があって、そのように信じたことについて相当な理由がある場合には、相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識できる時から熟慮期間が始まるとしています。

ただし、被相続人の借金が後になって判明したというだけで、当然にその時から熟慮期間が始まるわけではありません。

被相続人との交流状況、相続財産を調査できた可能性、すでに把握していた財産の有無、債務の存在を知った経緯、相続財産を処分していないかなど、個別の事情を総合的に判断する必要があります。

3か月経過後に相続放棄の申述をする場合には、熟慮期間内に相続放棄をしなかった事情を記載した上申書や、その事情を裏付ける資料を家庭裁判所へ提出することがあります。

3か月経過後の相続放棄(特別な事情がある場合)

4.熟慮期間を伸長する手続き

熟慮期間内に相続財産や債務を調査しても、単純承認、限定承認または相続放棄のいずれを選択するか判断できない場合には、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます。

期間伸長の申立ては、現在の熟慮期間が満了する前におこなう必要があります。

申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立てが認められるかどうかや、どの程度の期間が伸長されるかは、相続財産の内容や調査状況などを踏まえて家庭裁判所が判断します。

期間伸長の申立てには、通常、次の費用が必要です。

  • 収入印紙800円分(相続人1人につき)
  • 連絡用の郵便料

熟慮期間が迫っている場合には、財産調査の完了を待たず、期間伸長の申立てを検討する必要があります。

相続の承認又は放棄の期間の伸長(裁判所ウェブサイト)

5.熟慮期間中の注意点

5-1.何もしないまま3か月が経過した場合

熟慮期間内に限定承認または相続放棄をせず、期間伸長の申立てもしていない場合には、原則として相続を単純承認したものとみなされます。

単純承認をすると、預貯金や不動産などの積極財産だけでなく、借入金、未払金、保証債務などの消極財産も引き継ぐことになります。

相続債務の有無が分からない場合でも、そのまま熟慮期間を経過させるべきではありません。

相続財産や債務の内容を確認したうえで判断しようとする場合には、期間内に財産調査を進め、必要に応じて期間伸長の申立てを検討することが重要です。

一方、相続財産や債務の有無にかかわらず、相続放棄をする意思が固まっている場合には、財産調査を行わずに相続放棄の申述をすることもできます。

5-2.相続財産を処分した場合

熟慮期間中であっても、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合には、相続を単純承認したものとみなされることがあります。これを法定単純承認といいます。

たとえば、被相続人の預貯金を払い戻して自分のために使用した場合や、相続財産を売却した場合などには、法定単純承認に該当する可能性があります。

ただし、相続財産に関する行為が法定単純承認に該当するかどうかは、その行為の内容、目的、金額などによって判断が異なります。

相続放棄を検討している場合には、相続財産を処分したり使用したりする前に、司法書士や弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

また、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された後は、熟慮期間内であっても、原則として相続放棄を撤回することはできません。

6.相続放棄・期間伸長についてのご相談

相続放棄の申述では、被相続人が死亡したことを知った時期、自分が相続人となったことを知った時期、相続財産や債務の存在を知った経緯などを確認する必要があります。

とくに、被相続人の死亡から長期間が経過している場合や、自分が相続人となったことを後から知った場合には、熟慮期間の起算点を明らかにすることが重要です。

また、自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月が経過している場合には、熟慮期間が後に繰り下がる特別な事情があるかどうかを検討し、その事情を家庭裁判所へ説明する必要があります。

高島司法書士事務所では、通常の相続放棄に加え、3か月経過後の相続放棄や、相続の承認または放棄の期間伸長についても、家庭裁判所提出書類の作成を承ります。

相続放棄や熟慮期間については、千葉県松戸市の高島司法書士事務所へご相談ください。

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相続放棄できる期間(3か月の熟慮期間の起算点)
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