登記原因証明情報の訂正は不可能か(特例方式)
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(記事公開日:2013年7月26日)
多くの司法書士にとっては今さらなお話でしょうが、登記原因証明情報の訂正についてです。
特例方式で不動産登記のオンライン申請をするときには、書面で作成された登記原因証明情報をスキャナで読み取ってPDFファイルにしたものを添付します。
このPDFファイルの取扱いが「不動産登記令の一部改正等に伴う登記事務の取扱いについて(通達)(平成20年1月11日付法務省民二第57号)」で示されています(「第1 電子申請における添付情報の提供方法の特例」の「3 特例方式により添付書面が提出される場合における審査の方法」の (8)のみ抜粋)。
(8) 特例方式により提出された登記原因を証する情報を記載した書面の内容が、申請情報と併せて送信された登記原因を証する情報を記録した電磁的記録の内容と相違するときは、法第25条第5号の規定により申請を却下するものとする。
法とは不動産登記法のことであり、この第25条第5号の定めは次のとおりです。
申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
上記の通達では、登記申請時に送信したPDFファイルと、その後に提出した登記原因証明情報の原本の内容が相違するときは、登記申請を却下するとされています。そうであれば、登記申請後には登記原因証明情報の訂正は一切できないことになってしまいます。
しかし、現在では下記のような取扱いがなされています。
申請情報と併せて提供されたPDFファイルに記録された登記原因証明情報の内容について,登記原因又は登記事項に関係がない部分の字句の訂正がある場合PDFファイルに記録された登記原因証明情報の内容について字句の訂正がある場合でも,訂正箇所が登記原因又は登記事項に関係のない部分にすぎない場合には,当該PDFファイルにつき,適法なPDFファイルの提供があったものとして事務処理を行うこととする。登記原因又は登記事項に関する部分に訂正又は記載の遺漏があったものと認められる場合は,取下げの機会を与えた上,不動産登記法第25条第5号の規定により却下するものとする。
「登記原因又は登記事項に関係のない部分」というのが具体的にどの程度までを指すのかが不明確ですが、登記原因証明情報の訂正が全く認められないわけでは無いことは明確です。
ところで、なぜ今さらこんな記事を書いているかといえば、登記原因証明情報を訂正する必要性に迫られたことが最近あったからです。
これまで、登記原因証明情報の訂正が必要となったことはありませんでした(そもそも、膨大な件数の不動産登記を取り扱っているわけではなく、1件ごとに細心の注意を払って申請をおこなっているので、ミスは極めて少ないのです)。
ところが、抵当権抹消登記の際、登記原因証明情報である抵当権解除証書に、法務局の出張所名を書き入れずにオンライン申請をしてしまったのです。金融機関が交付する登記原因証明情報は、登記原因などの重要な箇所以外は空欄になっていることも多いのです。そこに司法書士が適切な文言を加筆して完成させるわけです。
登記申請後に気付いて、さてどうしようかと思ったのですが、出張所名を書き入れた登記原因証明情報の原本を送付し問題無く登記が完了しました。補正に慣れている(?)司法書士であれば慌てることもないのでしょうが、そうでない私はヒヤッとしてしまいました。
なお、PDFファイルの添付自体を忘れてしまった場合には、却下されてしまうのは仕方ないでしょう。PDFファイルの添付がない場合については、上記通達第1の3の(8)で次のとおり示されています。
(7) 申請情報と併せて送信するべき登記原因を証する情報を記録した電磁的記録の提供がないときは,法第25条第5号の規定により申請を却下するものとする。
ただ、不動産登記用の業務ソフトを使用していれば、登記原因証明情報のPDFファイルを添付しないまま登記申請をしようとすると警告メッセージが表示されますから、そのようなミスをすることはまず考えられません。
参考:不動産登記令附則第5条第1項の規定によって登記の申請をする場合に申請情報と併せて提供すべき登記原因を証する情報の取扱いについて(平成20年12月12日 日司連発第1685号)
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