遺産分割は相続開始時にさかのぼり効力を生ずる | 千葉県松戸市の高島司法書士事務所

相続が開始しても、実際に遺産分割されるまでには時間がかかります。しかし、「どの財産が誰に相続されたのか、長い時・・・

遺産分割は相続開始時にさかのぼり効力を生ずるが、第3者の権利を害することはできない

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(公開日:2013年12月14日)

相続が開始しても、実際に遺産分割されるまでには時間がかかります。しかし、「どの財産が誰に相続されたのか、長い時間不明なまま」というのは都合が悪いので、どのように処理するか決まりが必要です。そのため日本では、遺産は相続開始と同時に相続人に帰属し、共同相続人の一種の共同所有とすることにしています。そして、共同相続した財産は遺産分割により、最終的にそれぞれの相続人のものになることにしました。また、誰がどの財産を相続するか決まると、分割の効果は相続開始時に遡って生じることにしました。

このように決めておけば、スッキリ物事が片付きそうです。それでも、何か問題が起こることはないのでしょうか?例えば、遺産分割が終了するまでに相続人の一人が他の人に財産を譲ってしまったらどうなるのでしょうか。実際の事例で、どのような判断がされたか見てみましょう。

遺産分割前の権利移転と不動産差押え

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Aさんには妻Bさんと、C1~C10まで10人の子供がいました。Aさんの死亡により相続が開始したことで、Aさん所有だった甲不動産は妻Bと子C1~10までの11人の共有に属している状態になります。その後、遺産をどう分けるか遺産分割調停が行われ、Bと子C1~C6までの7人が甲不動産を、それぞれ7分の1相続することになりました。

Aさんの死亡により、甲不動産はいったん11人の共有状態となっています。そこでBと子C1~C6は、甲不動産をそれぞれ取得した旨の登記をしなければなりません。ところが、その登記をする前に、妻Bと子C1の債権者Yが11人の共有による法定相続分の登記をしたうえで、妻Bと子C1の持分を差し押さえてしまいました。そこで、妻Bと子C1~C6はYに対して甲不動産は7人が7分の1ずつの持分であると訴えました。この訴えは認められるでしょうか?

結論から言うと、Bと子C1~6の訴えは認められませんでした。確かに、遺産分割は相続の開始の時にさかのぼって効力が生じます、しかし、当事者以外の第三者にとっては、どうなっているのか全く分からないため不利益を受ける可能性が出てきます。この例のように、共同相続人の内のある人から不動産の持分を取得したのに、遺産分割の結果その人の持分が無くなる、減っているという事が考えられます。

このような不意打ちを第三者に行うのは適当でないというのが裁判所の判断です。そのため、他の人にハッキリわかるよう登記を先に行った人を優先することにしました。この場合、Yが先に登記を行っていたので、登記の遅れたBとC1~6は負けてしまったのです。

遺産分割と登記

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である(昭和46年1月26日最高裁判所判決)。

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない(民法177条)。

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