相続放棄申述が受理されたら絶対に安心なのか
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相続放棄申述の受理が無効とされることもあります
家庭裁判所での相続放棄手続きが無事に完了したならば、それで相続債務の支払い義務から完全に解放されたといえるのでしょうか。
結論から申し上げると、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理して貰えたとしても、その効力が絶対的なものであるとは限りません。
被相続人の債権者としては、相続放棄の申述が実体要件を欠くとして、後から民事訴訟手続きで争うこともできます。その結果、相続放棄申述の受理が無効だと判断されたとすれば、相続人が債務の支払い義務から逃れることは出来なくなります。
この場合、相続債務の支払いをするしかありませんし、支払いが不能であれば自己破産などの手続きを取らざるを得ない場合もあります。
相続放棄申述の受理とはどんな行為であるか
相続放棄は、相続人が申述し、それを家庭裁判所が受理することによって効力を生じます。そして、この家庭裁判所における相続放棄申述受理の審判は、相続放棄の意思表示を裁判所が公証する行為であるとされています。
つまり、相続放棄の申述が受理されたとしても、相続放棄の実体的な要件を備えていることが確定するわけではなく、相続人の放棄の意思表示があったことが公に証明されるだけなのです。したがって、相続放棄が実体要件を備えていないと主張し、申述受理の取り消しを求めることが可能なのは当然だといえます。
相続放棄申述の受理手続きにおける、家庭裁判所の審理の範囲
家庭裁判所は却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述を受理すべきであるとされています(東京高裁平成22年8月10日決定)。それでは、相続放棄申述受理の要件の存否につき、家庭裁判所は、どの程度までの審理をおこなうのでしょうか?
家庭裁判所は、相続放棄申述受理の申立に対し、熟慮期間の要件の存否について実質的に審理すべきだとされていますが、その審理は一応の審理で足りるとされています。
相続放棄申述受理の審判は、相続放棄の意思表示を裁判所が公証する行為です。しかし、形式的なチェックのみにとどまるのでは無く、熟慮期間の要件の存否についても、一応の実質的な審理をおこなうわけです。
松戸の高島司法書士事務所ウェブサイト「相続放棄のよくある質問」の、家庭裁判所での相続放棄申述受理の効力は絶対なのかでも、くわしい解説や裁判例がご覧になれます。
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