相続人の欠格事由・排除
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(公開日:2013年8月13日)
親が死亡した場合、その子供は財産を相続します。
ですから親が生きている間も、その子供は推定相続人とよばれます。
推定相続人とは、法律の規定によって相続人となる可能性がある人のことを言います。
しかし、推定相続人はあくまで、『相続人になる可能性がある人』というだけなので、
実際には相続人になれないことがあります。
「相続欠格(民法891条)」と「廃除(民法892条)」という
相続資格を失わせる2つの制度が民法には定められています。
相続欠格とは、被相続人(親など財産を相続させる側の人)の財産を相続するのが
正義に反するような場合に、相続資格を失わせる制度です。
次のような場合、推定相続人であっても相続をすることができなくなります。
- 被相続人を殺害したり、自分に有利になるよう他の相続人を殺害するなどして
刑に処された場合 - 被相続人が殺害されたことを知りながら、告発・告訴をしなかった場合
(ただし、殺害者が配偶者や、子や親などの直系血族であった場合、
物事の判断ができない状態の人である場合などは、
告発・告訴をしなくても許されます)。 - 被相続人が詐欺や脅迫されて相続に関する遺言をしたときに、
それを変更しようとするのを邪魔した場合 - 詐欺や脅迫の手段を使って被相続人に相続に関する遺言をさせたような場合
- 相続に関する遺言書を、偽造、変造、破棄、隠匿
(隠すなど見つかりにくくする)した場合
1から5の場合、かなり悪質なので当然相続資格がなくなるわけですが、
そこまででなくても相続をさせたくないことがあります。
素行の悪い息子に対して、「勘当だ!お前に財産を渡したら何をするかわからん。」
なんて場合です。
このように、相続人の素行が悪く、財産を譲りたくない、被相続人を虐待したり、
ひどい侮辱したりといった場合には、被相続人は家庭裁判所に申し出て
相続資格をはく奪することができます。
これが廃除と呼ばれる制度で、生前に行うことも遺言で行うこともできます。
相続人の廃除について(司法書士からの一言)
ある相続人に財産を渡したくないと考える場合、遺言書の作成をしておく方法があります。
遺言によって、別の相続人や受遺者に財産を相続させるわけです。
けれでも、兄弟姉妹以外が相続人である場合には、遺留分がありますから、
その相続人には一切の財産を相続させないとの遺言書を作成した場合でも、
遺留分減殺請求をされる恐れがあります。
そこで、絶対に財産を相続させたくないと考えるときには、
相続人の排除を検討することになります。
ただし、相続人の廃除ができるのは、被相続人に対する虐待、重大な侮辱、
その他の著しい非行があったときに限られます。
家庭裁判所における、廃除事由に該当するかの判断は慎重に行われており、
その基準としては、「当該行為が被相続人との家族的共同生活関係を破壊させ、
その修復が著しく困難なほどのものであるかどうか」によります。
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