法定相続分の決まり方
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(公開日:2013年8月22日)
相続が開始した場合、被相続人が遺言を残していれば、基本的にはそれに従いそれぞれの相続人の相続分が決まります。ここで基本的にはといったのは、被相続人が指定したとしても、相続人に一定の権利が認められる場合があるためです。
遺言があればその通りにするとして、ない場合はどうなるのでしょうか。だれもがキチンとした遺言を残しているわけではないので、気になるところでしょう。遺言がない場合は、法定相続分に従って相続が行われることになります。
まず、どのような人が相続人になるかです。
配偶者(法律的に婚姻関係にある配偶者です)がいる場合は、必ず相続人になります。
- 子供がいる場合、配偶者と子供が相続人になります。
- 子供がいない場合、被相続人の直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母と被相続人に近い順に権利があります)と配偶者が相続人になります。
- 直系尊属もいなければ被相続人の兄弟姉妹が配偶者とともに相続人となります。
では、それぞれの相続分はどのように決められているのでしょうか。
配偶者の相続分は、その他の相続人の相続分を引いた分と定められていますので、1~3の場合で考えてみましょう。
- 子供の相続分は2分の1と決められています。ですから、配偶者は2分の1を受け取ることになります。
子供は全員で2分の1なのでその人数によって額が変わってきます。例えば、3人兄弟なら、2分の1を3人で分けるので、一人当たり6分の1が相続分となります。
このように、兄弟姉妹が複数いるとき均等に分けることになりますが、嫡出子でない子や父母の一方のみを同じにする兄弟姉妹の場合、他の兄弟の半分となります。
家庭内に2人の兄弟がおり、家庭外に認知された子が1人いたとします。この場合、配偶者は2分の1、家庭内の2人は2分の1の5分の2、つまり5分の1ずつ相続分があります。認知された子は2分の1の5分の1、つまり10分の1となります。 - 直系尊属は3分の1の相続分があるので、配偶者は3分の2となります。
- 兄弟姉妹は4分の1の相続分があるので、配偶者は4分の3となります。
このように他の共同相続人がだれかにより、配偶者の相続分は変化します。
婚外子の相続分(司法書士からの一言)
現在の民法では、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とされています(民法900条4号)。
この規定が、子供自身に責任や選択の余地の無いことで差別を受けることになり、法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないかと議論されてきました。
平成7年7月5日の最高裁による決定では、次のような理由を示し合憲と判断しています。
本件規定(民法900条4号)の立法理由は、法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重するとともに、他方、被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して、非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものと解される。これを言い換えれば、民法が法律婚主義を採用している以上、法定相続分は婚姻関係にある配偶者とその子を優遇してこれを定めるが、他方、非嫡出子にも一定の法定相続分を認めてその保護を図ったものであると解される。
現行民法は法律婚主義を採用しているのであるから、右のような本件規定の立法理由にも合理的な根拠があるというべきであり、本件規定が非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことが、右立法理由との関連において著しく不合理であり、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって、本件規定は、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項(法の下の平等)に反するものとはいえない。
ただし、この決定には補足意見・反対意見が付されており、更にこのときからすでに20年近くが経過し時代は大きく変化しています。この秋に出る予定の最高裁判決では、婚外子の相続分を定めた民法の規定について、違憲判決が出るのでは無いかと予想されています。
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