推定相続人の相続開始前の権利

単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位行使することはできません。推定相続人は、将来相続開始の際、被相続人の権利義務を包括的に承継すべき期待権を有するだけであって、現在においては、未だ当然には、被相続人の個々の財産に対し権利を有するものではないとされているからです。

推定相続人の相続開始前の権利

両親が健在な時に、その息子が『俺には相続権があるのだから、この家を処分できるんだ。』と言ったとして、はたしてそれは正しいのでしょうか。

この場合、息子は将来相続が開始された時に相続人となる「推定相続人」という立場にいます。
推定相続人の法的地位は「相続権」と呼ばれることもありますが、実際に相続が始まった後の相続人とは全く異なります。
もちろん、この息子に現時点で家を処分する権利はありません。

では、親が息子に財産を譲りたくないために、財産隠しをしようとしていたとします。
将来、その財産を相続する推定相続人の息子は、相続をしたとき財産が減り損をすることになります。そこで、推定相続人の権利として『やめてくれ』と法律的に主張することはできるでしょうか。
この息子は、いつか相続人となるという期待権を持っていると考えられます。しかし、その期待権は将来相続が開始した時、欠格や廃除になって資格を失わなければ相続できるというだけにすぎません。

このような不安定な期待権を基に、法律的に主張することを許せば、もし相続できなかった場合混乱が起こります。したがって、他人の財産に対して何らかの要求をする権利も、推定相続人の立場では認められていません。

次のような場合はどうでしょう。
現在は元気な父親と、将来父の財産を相続する予定の兄弟が3人いたとします。この3人はみんな、推定相続人という事になりますが、その中の一人が勝手にお父さんの印を使って、贈与契約書を作り土地を自分のものにしてしまいました。
他の兄弟が、『贈与契約は無効だ!登記を抹消しろ。』と請求することができるでしょうか。

裁判ではこれも認められていません。
この土地はお父さんの財産なので、推定相続人である他の兄弟が何かを主張する権利はないのです。推定相続人には、相続を受ける期待権がありますが、相続が始まるまでは何かの権利が具体的に認められているわけではありません。
推定相続人とは、たぶん相続人になれるだろうという、希望や期待があるというだけの存在なのです。

推定相続人の権利(司法書士からの一言)

推定相続人とは、将来、相続が開始したときに、第1順位の相続人となる地位にある者をいいます。

将来的には財産を相続する権利があるとしても、相続開始前に、被相続人の所有財産を処分できないのは当然として、相続財産を保全するため被相続人に代わって請求をおこなうこともできません。

推定相続人は、単に、将来相続開始の際、被相続人の権利義務を包括的に承継すべき期待権を有するだけであって、現在においては、未だ当然には、被相続人の個々の財産に対し権利を有するものではない(最高裁昭和30年12月26日判決)。

したがって、単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位行使することはできません。つまり、上記の例でいえば、被相続人である父に代わって、推定相続人である子が、贈与契約の無効確認を求めることはできないわけです。

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