エンディングノートと遺言書の違い
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(公開日:2013年10月11日)
最近「エンディングノート」を作成する人が増えているようです。書店などで、簡単に書ける既製品を見かけますし、書き方講座なども開催されています。エンディングノートとは、自分が “死亡” “意識が無くなる” “意思疎通が難しくなった” などの場合に、どのような希望があるか記載したものです。
エンディングノートに書く内容としては、
・病気や介護が必要になった時、どのような対応を希望するか
・相続に関して、誰に財産を引き継がせたいかなど遺言書のような内容
・財産、大切にしているものなどがどこに保管されているかといった情報
・自分の葬儀、墓に対する希望
・家系図やプロフィール
・残された人に伝えたいメッセージ
などがあります。このように、エンディングノートには死亡後のことだけでなく、介護などについても書かれている場合があり、遺言書とは内容が異なります。また、エンディングノートに相続に関する内容が書かれていたとしても、法的形式を満たしていなければ、単なる本人の希望という事になります。それでも、エンディングノートは気軽、簡単に書けますし、相続に関しても利点があります。
エンディングノートの利点をあげると、第一に忘備録として使うと、本人も周りの人にも便利です。「あれ?どこにおいたっけ?」と大切なものも場所を忘れてしまう事ありませんか。こんなことを防止するには、生きている間は自分が忘備録として活用するといいでしょう。そして、動けなくなった時や亡くなった時には、エンディングノートで大切な物の場所を伝えることができます。いざ相続となった時に、“何がどこにあるかわからず困る”というのは実際ありがちなことです。
第二に、自分の自由な言葉、形式で気持ちを伝えることができます。これは、残された人の悲しみをいやし、故人の意思を尊重してあげよう、と思わせる効果があります。相続に関しては、相続人同士で感情がぶつかる場合もあります。そんな時、エンディングノートに書かれた言葉が役立つかもしれません。
エンディングノートが気になった方は、自由に書きたいことを書いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
エンディングノートと遺言書(司法書士からの一言)
エンディングノートを作っておくのはとても良いことですが、コラムにもあるように、相続に関する事項については遺言によらなければ法的効力が生じません。たとえば、遺産の分割方法の指定や、相続分の指定、遺贈などは、遺言によらなければ単なる希望に過ぎず、相続人に対しての拘束力をもちません。
一方、遺言によってできること(法的遺言事項)以外のことを、付言事項として遺言書に書くことも可能ではありますが、時とともに変わっていくことを書くのはふさわしくありませんし、そもそも、遺言書は相続開始後に開封するものですから、介護に関する希望などを書いても意味がありません。
そこで、どちらを作るか選ぶのではなく、遺言書とエンディングノートの両方を作っておくのがベストな方法だといえます。
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